第3章〈完結〉
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看護師が部屋に来て点滴を外してもらった。
その後すぐに朝食が運ばれてきた。
「食欲はどうですか?」
「空腹なので食べられそうです。」
「そうですか、良かったです。点滴外したのでなるべく水分はきちんととってくださいね。」
「えぇ。売店等には行っても良いですか?」
「どうぞ、院内フリーですので院内であれば大丈夫です。退院は2日後ですので外へ出るのは我慢して下さいね。」
「喫煙所は」
「ありませんし全面禁煙ですので御協力下さい。」
「…先程いた女性は…?」
「帰られましたよ。」
「もしあの女性が来ても部屋には入れないで下さい。」
「…分かりました、周囲のスタッフにも伝達しておきます。」
「よろしくお願いします。」
腹は減っていた。胃酸で胃がキリキリ痛みそうなくらいには。恐らくしばらく何も食べていなかったんだろうな。
しかしいざ食事が運ばれてきても喉の奥でがつかえるような感じがした。
そのせいでどうにも飲み込みづらく食が進まない。
記憶を失った事で自分の軸となる思考が失われて精神のバランスを崩しかけている。
精神的な辛さが食に現れているんだろう。
俺はこんなにも弱い人間だったのか。
医師の説明の前に、目が覚めた時点で中途半端な記憶しかない事は自分で気付いていた。
思い出される記憶はごく一部だろうが、どれも辛く苦しく悲しい出来事ばかりだった。
その上犯罪者かもしれないという重圧と苦しみ、今後の見通しが立たない現在。
正直不安と絶望しかなかった。
警察に行くべきなんだろうか。
だが誰を殺したのかも全く分からないので相手にされないかもしれない。
モヤモヤしたまま三分の一位食べたところで吐き気が襲い、食べるのを辞めた。
食膳を下げて部屋でカバンを漁ってみる。
財布に入っている免許証を見た。
日本のものと、アメリカの免許証だ。
どちらも『赤井秀一』となっている。
これは本名ではないかもしれない。
俺の瞳の色は緑だった。
黒髪だが彫りの深い造形、少々日本人離れしているような気がした。
ライ、のほうがしっくり来る気がした。
他にも漁っていると警察手帳のようなものを見つけた。
「F…B…I…だと?」
笑わせるな、バカバカしい。
何がFBIだ。きっとFBIだと偽って生活していたんだろうな。日本ならFBIだと言ってもバレないと踏んでいるのか、俺は。
「くだらんな。」
警察手帳をゴミ箱に放り投げ、財布を持って売店へ向かった。
売店でブラックコーヒーとパンを買った。
米よりかはパンの方が食べられそうな気がした。
会計をしようと財布を開いた時何かが足元に落ちた。
2枚の紙切れだ。
とりあえずさっと拾い金を支払う。
売店から出て紙を見ると何かのチケットだった。
「は?…ディズニーランド?」
期日は来週の日曜日だ。
この俺が?何のために?
破り捨ててしまおうかと思ったが、心の何かがセーブをかけた。
物凄く大切なものだった気がする。
何かを思い出せそうで思い出せない。
微かに震える手でチケットを財布にねじ込んで見なかった事にした。
財布をポケットにしまい病室に戻ろうとした時、
院内放送から流れてくる音楽が切り替わった。
🎶〜♪〜
「パッハベル…カノン……うっ…っ…ああぁっ。」
頭が割れそうに痛い。頭を抱えてその場にうずくまる。
手から缶コーヒーやパンが落ちるも気に止める余裕はなかった。
あまりの痛みに無意識に過呼吸を起こした。
苦しい…。
「目を覚ましましたか?」
「…。俺は…。」
「売店の前で倒れていたんです。」
横を見ると台に少しへこんだ缶コーヒーとパンが置いてあった。
「曲を聞いたら頭が割れるように痛くなって、意識を失いました。」
「どんな曲でしたか?」
「パッハベルのカノンです…。」
「そうですか。午後に貴方の事情を知っている方が来ますので一緒に話を聞いてみましょう。
その曲の事も何か分かるかも知れません。」
「それは…男ですか、女ですか?」
「分かりません、降谷さんという苗字しか聞いていませんので。」
「そうですか。」
降谷?…全く分からない。
話を聞くしかなさそうだ。
その後すぐに朝食が運ばれてきた。
「食欲はどうですか?」
「空腹なので食べられそうです。」
「そうですか、良かったです。点滴外したのでなるべく水分はきちんととってくださいね。」
「えぇ。売店等には行っても良いですか?」
「どうぞ、院内フリーですので院内であれば大丈夫です。退院は2日後ですので外へ出るのは我慢して下さいね。」
「喫煙所は」
「ありませんし全面禁煙ですので御協力下さい。」
「…先程いた女性は…?」
「帰られましたよ。」
「もしあの女性が来ても部屋には入れないで下さい。」
「…分かりました、周囲のスタッフにも伝達しておきます。」
「よろしくお願いします。」
腹は減っていた。胃酸で胃がキリキリ痛みそうなくらいには。恐らくしばらく何も食べていなかったんだろうな。
しかしいざ食事が運ばれてきても喉の奥でがつかえるような感じがした。
そのせいでどうにも飲み込みづらく食が進まない。
記憶を失った事で自分の軸となる思考が失われて精神のバランスを崩しかけている。
精神的な辛さが食に現れているんだろう。
俺はこんなにも弱い人間だったのか。
医師の説明の前に、目が覚めた時点で中途半端な記憶しかない事は自分で気付いていた。
思い出される記憶はごく一部だろうが、どれも辛く苦しく悲しい出来事ばかりだった。
その上犯罪者かもしれないという重圧と苦しみ、今後の見通しが立たない現在。
正直不安と絶望しかなかった。
警察に行くべきなんだろうか。
だが誰を殺したのかも全く分からないので相手にされないかもしれない。
モヤモヤしたまま三分の一位食べたところで吐き気が襲い、食べるのを辞めた。
食膳を下げて部屋でカバンを漁ってみる。
財布に入っている免許証を見た。
日本のものと、アメリカの免許証だ。
どちらも『赤井秀一』となっている。
これは本名ではないかもしれない。
俺の瞳の色は緑だった。
黒髪だが彫りの深い造形、少々日本人離れしているような気がした。
ライ、のほうがしっくり来る気がした。
他にも漁っていると警察手帳のようなものを見つけた。
「F…B…I…だと?」
笑わせるな、バカバカしい。
何がFBIだ。きっとFBIだと偽って生活していたんだろうな。日本ならFBIだと言ってもバレないと踏んでいるのか、俺は。
「くだらんな。」
警察手帳をゴミ箱に放り投げ、財布を持って売店へ向かった。
売店でブラックコーヒーとパンを買った。
米よりかはパンの方が食べられそうな気がした。
会計をしようと財布を開いた時何かが足元に落ちた。
2枚の紙切れだ。
とりあえずさっと拾い金を支払う。
売店から出て紙を見ると何かのチケットだった。
「は?…ディズニーランド?」
期日は来週の日曜日だ。
この俺が?何のために?
破り捨ててしまおうかと思ったが、心の何かがセーブをかけた。
物凄く大切なものだった気がする。
何かを思い出せそうで思い出せない。
微かに震える手でチケットを財布にねじ込んで見なかった事にした。
財布をポケットにしまい病室に戻ろうとした時、
院内放送から流れてくる音楽が切り替わった。
🎶〜♪〜
「パッハベル…カノン……うっ…っ…ああぁっ。」
頭が割れそうに痛い。頭を抱えてその場にうずくまる。
手から缶コーヒーやパンが落ちるも気に止める余裕はなかった。
あまりの痛みに無意識に過呼吸を起こした。
苦しい…。
「目を覚ましましたか?」
「…。俺は…。」
「売店の前で倒れていたんです。」
横を見ると台に少しへこんだ缶コーヒーとパンが置いてあった。
「曲を聞いたら頭が割れるように痛くなって、意識を失いました。」
「どんな曲でしたか?」
「パッハベルのカノンです…。」
「そうですか。午後に貴方の事情を知っている方が来ますので一緒に話を聞いてみましょう。
その曲の事も何か分かるかも知れません。」
「それは…男ですか、女ですか?」
「分かりません、降谷さんという苗字しか聞いていませんので。」
「そうですか。」
降谷?…全く分からない。
話を聞くしかなさそうだ。