第3章〈完結〉
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次の日訓練室で赤井秀一が狙撃を教えていると言う事が広まってしまい、訓練所の入口で一目見ようと多くの人が集まっていた。
指導後休憩しようと喫煙所に向かおうとした時、余りの観客の多さに赤井は驚いて周囲に仕事に戻れと一喝した。
諦めてほとんどの人は仕事へと戻ったが、1人だけ戻らずじっと見てくる女がいた。
ダークブロンドヘアーに赤い口紅。
潤んだ瞳で赤井秀一を熱心に見つめた。
「君も早く戻れ。俺は見世物じゃないぞ。」
そういうと女性は無言で微笑み、立ち去った。
その後からだった。
妙に視線を感じると思うと大半その女だった。
視線は休憩時間だけだったし、別に何をしてくる訳でもない。危害は無いので放っておいた。
それが何日も続いた。
ある日残党が目撃されたという事でナマエとキャメル、数名の捜査官と共に逮捕し戻ってきた。
車から降りてナマエのドアを開けてやり降りやすいよう手を差し伸べる。
車から降りて二人で並んで歩いていると何故か駐車場にまたあの女がいた。
ナマエを憎らしそうに睨んでいる。
「ナマエ、あの女に気をつけろ。数日前から付き纏われている。」
コソッと耳打ちする。
「了解。」
その時も特に何をしてくるわけでもなかった。
ーーー
数日前からシュウに付きまとっている女がいるとは聞いていたが、あんなに憎しみのこもった視線を向けられると思わなかった。
次の日私に何か接触してくるかと警戒していたが何かされる事はなかった。
ただ1つ変わった点はあの女が黒髪にしてきた事。
FBI館内で黒髪は私とシュウ以外には2人くらいしかいないので割と目立つ。
黒髪にイメチェンなのかなと特に気には止めていなかったが書類をシュウに渡しに行こうとした時に聞いてしまった。
「赤井さんって黒髪好きだったんですねぇー!赤井さん自身も黒髪ですもんね!」
「だったらなんだ。俺に付き纏うな。」
「何言ってるんですか〜!照れちゃって!私の事好きでしょ?」
「は?」
「私、人事部長の孫なんですぅ。だから私にしておけばさらに昇進出来ますよ!」
「昇進なんてどうでもいい。それに俺は結婚している。」
「私はバツイチでも気にしないわ。貴方は真実の愛をまだ知らないだけよ。私は貴方の運命の人よ!」
「おまえに興味はない。失せろ。」
「そんな怖い顔しないでー!怖がらなくて良いのよ!」
「はぁ…。」
逃げるシュウの腕をその女が掴んだ。
私は我慢できなくなって女に声をかけた。
「何してるんですか、仕事してください。
シュウ、これ書類。」
「あぁ、ありがとう。」
「…ねぇ、私の旦那にちょっかい出すの、やめてね。」あえてにっこり微笑んで牽制した。
「あら、やっぱり貴女が奥さん?…細いけど、ナイスバディには程遠いわね。
それに随分子供っぽく見えるわー。
…まぁ胸はそこそこみたいだけど、それにしても色気がないわ。」
その女はアメリカンな感じでちょっとふくよかだった。
「貴女の自信わけてほしいわ。」
嫌味を込めて言ったつもりだが相手は嫌味だと思わず喜んだ。
「私くらいになると誰でも落とせるの。色々教えてあげても良いわよ?」
「結構よ!」
イライラがピークになり、ムカついたまま人事部長の元へ行った。
「部長いますか。」
「ナマエさん!どうしました?」
部長がすっ飛んできた。
「貴女の孫が私の夫にちょっかいを出すので止めて下さい。」
「夫?あっ…あー…。何かしました?」
「実害はありませんが大変不愉快です。」
「すみません。時々様子を見ておきます。」
「よろしくお願いします。」
「はい、すみません!」
人事部長は私が最後の切り札である"N"の所属であることを知っている為頭が上がらない。
一言言っておけば大丈夫だろうと思い、後は放っておく事にした。
その後暫くは仕事中シュウに会わなかったので、状況は分からなかった。
が、どうやら更にエスカレートしていたらしい。
お昼食べていると目の前の席に座ったり、お弁当を作ってきたからと無理矢理食べさせようとしたり、隙を見て触ってくる、帰りに一緒に帰ろうと待ち伏せをする等他にも数え切れない。
完全に無視をしていたようだがそれでも1週間も経つと随分ストレスらしい。
「…初めて女性を殴りたい衝動に駆られた。」
「うん…気持ち分かるよ…。
あ!周囲の人に説明して昴として変装すれば…?」
「それは良いな。ただ変装道具を日本に置いてきてしまった。」
「私が変装させるよ。」
次の日ジェイムズや指導する新人に昴として変装して行くことを説明し了承を得た。
女はシュウがどこにも居ないことに残念がったものの、すぐに昴にも食いついてきたらしい。
「初めましてぇー。見かけない顔ですね?」
「初めまして。僕は沖矢昴です。普段は他の場所で勤務していますが手伝いで一時的にここに来ています。」
「そう。分からない事があったら言ってね?教えてあげるから。」
「そうですか、ありがとうございます。」
作戦としては沖矢昴に惹かれさせて赤井秀一に興味を無くさせるつもりらしい。
だが思いの外上手くは行かなかった。
毎日赤井秀一がどこにいるか探し回っているらしい。
何故そんなにシュウに執着しているのか不思議で、私は再度女の祖父である人事部長に聞きに行った。
「孫にとって、赤井秀一さんは王子様らしいんです。」
「え?王子様?」
「あの子が子供の頃、時々ここに遊びに来ていたんです。その時赤井さんは…ちょうどFBIに入ったばかりでしたかねぇ。
…子供だからあちこち歩き回って気付いたら建物の外に出てしまっていた。
そして外にあった狙撃訓練の場所まで近づいていて…恐ろしい事に柵が壊れていて訓練所の中に入ってしまい、的がある方に飛び出した。
その時訓練生がちょうど弾を放った瞬間で…
あやうく撃たれかけた所を同じくそこで訓練していた赤井さんが手元の銃で弾を弾き弾道を変え、彼女を救ってくれたと聞きました。
それからは赤井さんの事を熱心に色々聞きに来ていて、ずっと赤井さんにお熱でしたが…。
まさか今も続いているなんて。
今回赤井秀一さんご本人を目の前にして盛り上がってしまっているのかもしれません。
申し訳ありません…。」
「そんな事が…。だから運命だとか色々言ってたのか…。」
「しかし既婚者にまさかアプローチするなんて…。他の部署に異動させる事も検討します。」
「私達が本格的にアメリカに帰ってくるのは1年後です。今は仮に戻ってきているだけなので。
ですからそれまでに何とかして貰えれば、別に異動しなくても大丈夫ですので。」
「分かりました。善処します。」
帰ってからシュウにこの事を伝えて当時の事を聞いてみた。
「…悪いが全く記憶にない。言われればそんな様な事があった気がする程度だ。
訓練中の事故は他にもあった。俺は銃で弾を弾いて、弾道を変えさせた事は何度かある。一々覚えていない。」
「そう…。」
「あの妙な自信は何なんだろうな…。
あれだけ無視しているのに全く効果はない。
仮に昴として少しの間やり過ごす事は可能だが、1年後本格的に戻ってきた時が怖いな。」
「そうだよね…。あ!似たような状況を作って昴として同じように助けさせるとか…?」
「…"昴"には悪いが利用させてもらうか。」
とりあえず計画を立てる事にした。
指導後休憩しようと喫煙所に向かおうとした時、余りの観客の多さに赤井は驚いて周囲に仕事に戻れと一喝した。
諦めてほとんどの人は仕事へと戻ったが、1人だけ戻らずじっと見てくる女がいた。
ダークブロンドヘアーに赤い口紅。
潤んだ瞳で赤井秀一を熱心に見つめた。
「君も早く戻れ。俺は見世物じゃないぞ。」
そういうと女性は無言で微笑み、立ち去った。
その後からだった。
妙に視線を感じると思うと大半その女だった。
視線は休憩時間だけだったし、別に何をしてくる訳でもない。危害は無いので放っておいた。
それが何日も続いた。
ある日残党が目撃されたという事でナマエとキャメル、数名の捜査官と共に逮捕し戻ってきた。
車から降りてナマエのドアを開けてやり降りやすいよう手を差し伸べる。
車から降りて二人で並んで歩いていると何故か駐車場にまたあの女がいた。
ナマエを憎らしそうに睨んでいる。
「ナマエ、あの女に気をつけろ。数日前から付き纏われている。」
コソッと耳打ちする。
「了解。」
その時も特に何をしてくるわけでもなかった。
ーーー
数日前からシュウに付きまとっている女がいるとは聞いていたが、あんなに憎しみのこもった視線を向けられると思わなかった。
次の日私に何か接触してくるかと警戒していたが何かされる事はなかった。
ただ1つ変わった点はあの女が黒髪にしてきた事。
FBI館内で黒髪は私とシュウ以外には2人くらいしかいないので割と目立つ。
黒髪にイメチェンなのかなと特に気には止めていなかったが書類をシュウに渡しに行こうとした時に聞いてしまった。
「赤井さんって黒髪好きだったんですねぇー!赤井さん自身も黒髪ですもんね!」
「だったらなんだ。俺に付き纏うな。」
「何言ってるんですか〜!照れちゃって!私の事好きでしょ?」
「は?」
「私、人事部長の孫なんですぅ。だから私にしておけばさらに昇進出来ますよ!」
「昇進なんてどうでもいい。それに俺は結婚している。」
「私はバツイチでも気にしないわ。貴方は真実の愛をまだ知らないだけよ。私は貴方の運命の人よ!」
「おまえに興味はない。失せろ。」
「そんな怖い顔しないでー!怖がらなくて良いのよ!」
「はぁ…。」
逃げるシュウの腕をその女が掴んだ。
私は我慢できなくなって女に声をかけた。
「何してるんですか、仕事してください。
シュウ、これ書類。」
「あぁ、ありがとう。」
「…ねぇ、私の旦那にちょっかい出すの、やめてね。」あえてにっこり微笑んで牽制した。
「あら、やっぱり貴女が奥さん?…細いけど、ナイスバディには程遠いわね。
それに随分子供っぽく見えるわー。
…まぁ胸はそこそこみたいだけど、それにしても色気がないわ。」
その女はアメリカンな感じでちょっとふくよかだった。
「貴女の自信わけてほしいわ。」
嫌味を込めて言ったつもりだが相手は嫌味だと思わず喜んだ。
「私くらいになると誰でも落とせるの。色々教えてあげても良いわよ?」
「結構よ!」
イライラがピークになり、ムカついたまま人事部長の元へ行った。
「部長いますか。」
「ナマエさん!どうしました?」
部長がすっ飛んできた。
「貴女の孫が私の夫にちょっかいを出すので止めて下さい。」
「夫?あっ…あー…。何かしました?」
「実害はありませんが大変不愉快です。」
「すみません。時々様子を見ておきます。」
「よろしくお願いします。」
「はい、すみません!」
人事部長は私が最後の切り札である"N"の所属であることを知っている為頭が上がらない。
一言言っておけば大丈夫だろうと思い、後は放っておく事にした。
その後暫くは仕事中シュウに会わなかったので、状況は分からなかった。
が、どうやら更にエスカレートしていたらしい。
お昼食べていると目の前の席に座ったり、お弁当を作ってきたからと無理矢理食べさせようとしたり、隙を見て触ってくる、帰りに一緒に帰ろうと待ち伏せをする等他にも数え切れない。
完全に無視をしていたようだがそれでも1週間も経つと随分ストレスらしい。
「…初めて女性を殴りたい衝動に駆られた。」
「うん…気持ち分かるよ…。
あ!周囲の人に説明して昴として変装すれば…?」
「それは良いな。ただ変装道具を日本に置いてきてしまった。」
「私が変装させるよ。」
次の日ジェイムズや指導する新人に昴として変装して行くことを説明し了承を得た。
女はシュウがどこにも居ないことに残念がったものの、すぐに昴にも食いついてきたらしい。
「初めましてぇー。見かけない顔ですね?」
「初めまして。僕は沖矢昴です。普段は他の場所で勤務していますが手伝いで一時的にここに来ています。」
「そう。分からない事があったら言ってね?教えてあげるから。」
「そうですか、ありがとうございます。」
作戦としては沖矢昴に惹かれさせて赤井秀一に興味を無くさせるつもりらしい。
だが思いの外上手くは行かなかった。
毎日赤井秀一がどこにいるか探し回っているらしい。
何故そんなにシュウに執着しているのか不思議で、私は再度女の祖父である人事部長に聞きに行った。
「孫にとって、赤井秀一さんは王子様らしいんです。」
「え?王子様?」
「あの子が子供の頃、時々ここに遊びに来ていたんです。その時赤井さんは…ちょうどFBIに入ったばかりでしたかねぇ。
…子供だからあちこち歩き回って気付いたら建物の外に出てしまっていた。
そして外にあった狙撃訓練の場所まで近づいていて…恐ろしい事に柵が壊れていて訓練所の中に入ってしまい、的がある方に飛び出した。
その時訓練生がちょうど弾を放った瞬間で…
あやうく撃たれかけた所を同じくそこで訓練していた赤井さんが手元の銃で弾を弾き弾道を変え、彼女を救ってくれたと聞きました。
それからは赤井さんの事を熱心に色々聞きに来ていて、ずっと赤井さんにお熱でしたが…。
まさか今も続いているなんて。
今回赤井秀一さんご本人を目の前にして盛り上がってしまっているのかもしれません。
申し訳ありません…。」
「そんな事が…。だから運命だとか色々言ってたのか…。」
「しかし既婚者にまさかアプローチするなんて…。他の部署に異動させる事も検討します。」
「私達が本格的にアメリカに帰ってくるのは1年後です。今は仮に戻ってきているだけなので。
ですからそれまでに何とかして貰えれば、別に異動しなくても大丈夫ですので。」
「分かりました。善処します。」
帰ってからシュウにこの事を伝えて当時の事を聞いてみた。
「…悪いが全く記憶にない。言われればそんな様な事があった気がする程度だ。
訓練中の事故は他にもあった。俺は銃で弾を弾いて、弾道を変えさせた事は何度かある。一々覚えていない。」
「そう…。」
「あの妙な自信は何なんだろうな…。
あれだけ無視しているのに全く効果はない。
仮に昴として少しの間やり過ごす事は可能だが、1年後本格的に戻ってきた時が怖いな。」
「そうだよね…。あ!似たような状況を作って昴として同じように助けさせるとか…?」
「…"昴"には悪いが利用させてもらうか。」
とりあえず計画を立てる事にした。