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1冊目

「だいせんせ」
「どしたのシャオちゃん」
「今度どっか行かへん?」

突然のお誘いだった。
一対一で出かけることはよくあるが、俺が驚いたのはお誘いがあったからじゃない。
今、なうで、現在進行形で、一緒に出かけているからだ。

「いや今出かけとるやん」
「まぁそうやけど。来週辺りにでもさ、水族館とか行かへんかなって」

水族館…最後に行ったのはいつやったっけなぁ、前の前の女と行ったかな?
でもよう考えたら友達と行くのは初めてやわ。よし、行ったろ。

「ええで」
「よっしゃ」
「…最近シャオちゃんとめっちゃ出かけてる気ぃするけど」
「気の所為やって」

そう言って微笑む彼はいつものシャオちゃんで。
俺は“よう懐いた犬やなぁ”と思い、ふふと笑みを零す。

その日は特に何事もなく、お互いに用事を済ませ、じゃあまたと別々に帰っていった。
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