叔父さんのゴルーグの様子がやっぱりおかしい
【ゴルーグと性格】
よくわからん理屈と無駄な労力による無駄のない特訓のおかげで叔父さん(みたいな人)のゴルーグはテレパシーで喋れる様になった。どういう事なのか未だによくわからないので誰か私に説明してほしい。
そしてなんでシュウは私にゴルーグを預けてトバリシティまで行ったのか。ゴルーグがそらをとぶの担当だったんじゃないの、何故置いてった目立つからかそうか。
「クロガネ病院のお庭は流石に広いですねぇ。これでは手入れも一苦労なのでは?」
「いんやぁいつもはロウちゃんも手伝ってくれるし、今はゴルーグちゃんもいるから問題ねぇよ。それに患者さんの為にも綺麗にしとかにゃ、なぁ」
「なんと、そう言われては張り切らねばなりませんね!お任せくださいタカエさん庭の1つや2つ完璧に整備して見せましょう!」
「ゴルーグちゃん庭は1つしかねぇよぉ」
病院と契約している庭師のタカエさんと笑い合いながら、庭の整備をしていくゴルーグ。ゴルーグ笑うのかわからないけど。しっかしなんでみんなあのポケモンをすんなり受け入れてるんですかね、喋ってるんですが。
そしてこの間 判明したけど、シュウは私達に会いに来たついでに仕事の都合でシンオウ地方に滞在する事になったらしく、つまりまだゴルーグとの生活が続く事がわかった。わかりたくなかったけど、判明したのでしょうがない。
でも仕事がついでってどういう事?
「キュウゥン、キュアン!」
「んあ?何どうしたのレイドさん」
隣でじっと作業を見ていたロズレイドが服の裾を引っ張って来る。
花壇を指してタンタンと足を鳴らし睨まれる。あーなるほど、よく見ると私が植えていった花の列が微妙にズレてる、ちょっとずつ上がって斜めになってるなぁ。
つまりは「何よこの美しくない花壇は!直しなさい!」といった感じだろうか。
「……ズレてるだけだし良くない?ダメ?」
「キュアァン……?」
ずるりと花束の中から鞭が出てきたと思った瞬間、前髪と突然の別れをすることになった。5㎜くらいだけど、確かに目の前で私の髪が舞った。
「すみませんでした直します寸分のズレなく植え直します」
「キュアンッ」
危なかった、重心を反らさなきゃ今頃 首絞められてた。ロズレイドとのじゃれ合い()は今に始まった事ではないので鞭がどこを狙っているかは大体わかる。わかるし躱せるけど最終的に鞭が首に巻き付いてくるのは最早ご愛嬌と言うべきか。離れた場所にいたのに心配してわざわざ来てくれたジャローダが、何とか機嫌を宥めようとロズレイドに話しかけている。
「ロウちゃん、今日もレイドちゃんに首絞められてっぞぉ……大丈夫かぁ?」
「大丈夫ですこれ手綱みたいなもんなので。お気に召さなかったらもれなく毒(で死ぬ)か首が折れる(そして死ぬ)かのどっちかなんで」
「一大事でねぇかぁ……」
一大事ですね普通なら。でも大丈夫!長旅をしてきたおかげでポケモンが作る毒にある程度の耐性ができたので、巻き付いているだけで棘すら刺さってないこの状態なら痺れもしない。この話をセキエイリーグのキョウさんにしたら拉致……いや、修行への協力を求められた。断った。
そしてもし毒ではなく折る方向性を取られたらどうしようもない。死ぬしかないね!
「ロズレイドさんは几帳面な性格なのですね!あるいは美意識が強いと言いますか」
「どっちかというと後者の方だろうな……几帳面とかそんな性格ないし、くさタイプだから花好きだし、プライド高ヴッッッすみません絞めないで、何も言ってませんので。
─── ん、性格……?」
そういえば、(受け入れ難いけど)当たり前に会話しているこのゴルーグの性格ってなんだ……?
ポケモンには "性格" がある。いや当然だろみたいな顔してるそこの君、人間にとっての性格とポケモンにとっての性格には明確な違いがあるんだぞ。詳しい事はご近所にいるであろう博士とかに聞いてほしいんだけど、何でも同じポケモンでも性格が異なるとそれによって能力に違いが現れるらしい。トレーナーの中には強いと評判の性格のポケモンに出会えるまで何度でも繰り返すらしい、ゲットとか卵の孵化とか……まぁ努力するって大事だからね。私は努力するの死ぬほど嫌いだけど。
それは兎も角、この世にも奇妙で珍妙極まりないゴルーグの性格ってなんだろうか。普段ポケモンと接する時には性格とか意識してないけど、喋れるのだから口調やらテンションやらにちょっとくらい性格も影響してんじゃないか?
「ねぇゴルーグ、お前の性格って何なの?」
「私の性格、ですか?」
「うん。話せるんだったらそ」
「なんと私の事を聞いて頂けるなんて!ロウさんは私にご興味がお有りなのですね!?」
「いや、興味っていうか聞けるんなら」
「それでしたら性格だけと言わず私の全てをお話致しましょう!!お任せくださいロウさん、こう見えて私 語り方が上手いと自負しておりますので。何でしたらシュウさんとの出逢いからお話致しましょう!そうあれは3年程、いえ4年……おやこれはうっかりですね、ゴルーグですがうっかりしてしまいました。インパクトがありましたので出逢い方は鮮明に覚えているのですが、肝心の時期が曖昧です。どわすれしてしまいました、どわすれし過ぎて防御力が上がってしまいましたね。では今回は間を取って5年という事にしておきましょう、そうあれは5年前のイッシュ地方で私は」
「待っっっっった。
待って、うるさい、シンプルにうるさいし台詞 が長い日が暮れるわ!!」
しまった変なスイッチ入れてしまったらしい、とりあえずジャローダをけしかけて一旦話を止める。というか間取れてないし、3年と4年の間が5年ってどういう事だよ。語り下手くそかよ。
「それはまた今度でいいから、今は性格だけ教えてくれ」
「なるほど了解致しました。つい熱くなってしまいました、熱くなりすぎて熱盛 になりましたね」
「うるさいほんっとうるさい」
何処で覚えてくんのそういうネタ……シュウが教える訳無いし、本当にこのゴルーグは珍妙過ぎる。良く言えば陽気だけど見たまんまの印象は奇妙奇天烈そして色々と奇抜、それしかない。
「んで?何なのやっぱ "やんちゃ" ?もしくは "のうてんき" とか "ようき" ?」
「んん~どれも違いますねぇ。違いますしロウさん普段 私の事そう思っているのですね?
私の性格それは……」
「それは……!?」
「それは─── "てれや" 、あるいは " ひ ・ か ・ え ・ め " ですよ、キャッ☆」
ご丁寧に内股になりながら両手をグーにして口元(?)に寄せる。
音が聞こえるんじゃないかと思う程に、痛い程にこめかみに血が走っていく。心なしか頬も引き攣っている気がする。まだゴルーグの背後にいるジャローダも口を開けたまま立ち尽くして動こうとしない。無理にでも動いてくれ頼む、渾身のハードプラントを叫ぼうと手を挙げたところで、窮屈だった首が自由になった。
そして右の花束に "シャドーボール" 左で "エナジーボール" を構えて宙を舞う、それはもう美しいフォームで飛ぶロズレイドが視界に入った。
「キュアァァァァァァァァァ!!!!!!
(特別翻訳:キャッじゃないわよこの泥人形風情がー!!!!!!)」
「ぎゃああああああ痛い!痛いです!!なんとロズレイドさんまさかのわざ2種類同時撃ちとはー!!!的確に弱点と急所を付いてくるなんて、流石、ロウさんのポケモンですね……ゴルーグびっくり……」
倒れた衝撃で地震の様な揺れが起きる。倒れそうになったタカエさんに巻き付いて助ける私のジャローダはポケモン1の紳士だろう。そして何より、
「……ありがとうレイドさん。なんかスッキリした」
「きゅうぅん」
「うんそうだな、キャッはないわキャッは……」
大事な事だからもう一度言うけど、キャッはないわ……
一旦落ち着こう。天を仰いで深呼吸をして、バトルで言うならば "ひんし状態" になったゴルーグを運べるであろうメンツ───バシャーモ、ボスゴドラ、ギャロップをボールから出す。そして運搬用の小道具としてあなぬけのヒモをバシャーモに渡した。
「なんか、どっか邪魔にならないとこに置いといて。何だったら庭のオブジェにしていいから……」
チラリと倒れているゴルーグを見てからボスゴドラとギャロップを引き連れて作業を始める。手際が非常に良い、良いけどクソでかい溜め息吐いてる。お前の様なバシャーモが他にいるだろうか。
「レイドさん、とりあえず花 植え替えよっか」
「キュン」
喋るゴルーグなんていなかった。ああ今日も良い天気だなぁ。
そうして今更ながら現実逃避を始めた。
「シュウー ゴルーグの性格って何?何の性格であんなことになるの?」
「ゴルーグの性格?あー……いやぁ……
……お前にこんな話はしたくないが、あのテンションのせいでな……忘れた」
「トレーナーのお前が忘れてどうすんだよ!!気持ちはわかるけど!めっちゃわかるけど!!
だから悩むな軽率に聞いてめっちゃごめんだから悩むな!!頑張れ!!」
よくわからん理屈と無駄な労力による無駄のない特訓のおかげで叔父さん(みたいな人)のゴルーグはテレパシーで喋れる様になった。どういう事なのか未だによくわからないので誰か私に説明してほしい。
そしてなんでシュウは私にゴルーグを預けてトバリシティまで行ったのか。ゴルーグがそらをとぶの担当だったんじゃないの、何故置いてった目立つからかそうか。
「クロガネ病院のお庭は流石に広いですねぇ。これでは手入れも一苦労なのでは?」
「いんやぁいつもはロウちゃんも手伝ってくれるし、今はゴルーグちゃんもいるから問題ねぇよ。それに患者さんの為にも綺麗にしとかにゃ、なぁ」
「なんと、そう言われては張り切らねばなりませんね!お任せくださいタカエさん庭の1つや2つ完璧に整備して見せましょう!」
「ゴルーグちゃん庭は1つしかねぇよぉ」
病院と契約している庭師のタカエさんと笑い合いながら、庭の整備をしていくゴルーグ。ゴルーグ笑うのかわからないけど。しっかしなんでみんなあのポケモンをすんなり受け入れてるんですかね、喋ってるんですが。
そしてこの間 判明したけど、シュウは私達に会いに来たついでに仕事の都合でシンオウ地方に滞在する事になったらしく、つまりまだゴルーグとの生活が続く事がわかった。わかりたくなかったけど、判明したのでしょうがない。
でも仕事がついでってどういう事?
「キュウゥン、キュアン!」
「んあ?何どうしたのレイドさん」
隣でじっと作業を見ていたロズレイドが服の裾を引っ張って来る。
花壇を指してタンタンと足を鳴らし睨まれる。あーなるほど、よく見ると私が植えていった花の列が微妙にズレてる、ちょっとずつ上がって斜めになってるなぁ。
つまりは「何よこの美しくない花壇は!直しなさい!」といった感じだろうか。
「……ズレてるだけだし良くない?ダメ?」
「キュアァン……?」
ずるりと花束の中から鞭が出てきたと思った瞬間、前髪と突然の別れをすることになった。5㎜くらいだけど、確かに目の前で私の髪が舞った。
「すみませんでした直します寸分のズレなく植え直します」
「キュアンッ」
危なかった、重心を反らさなきゃ今頃 首絞められてた。ロズレイドとのじゃれ合い()は今に始まった事ではないので鞭がどこを狙っているかは大体わかる。わかるし躱せるけど最終的に鞭が首に巻き付いてくるのは最早ご愛嬌と言うべきか。離れた場所にいたのに心配してわざわざ来てくれたジャローダが、何とか機嫌を宥めようとロズレイドに話しかけている。
「ロウちゃん、今日もレイドちゃんに首絞められてっぞぉ……大丈夫かぁ?」
「大丈夫ですこれ手綱みたいなもんなので。お気に召さなかったらもれなく毒(で死ぬ)か首が折れる(そして死ぬ)かのどっちかなんで」
「一大事でねぇかぁ……」
一大事ですね普通なら。でも大丈夫!長旅をしてきたおかげでポケモンが作る毒にある程度の耐性ができたので、巻き付いているだけで棘すら刺さってないこの状態なら痺れもしない。この話をセキエイリーグのキョウさんにしたら拉致……いや、修行への協力を求められた。断った。
そしてもし毒ではなく折る方向性を取られたらどうしようもない。死ぬしかないね!
「ロズレイドさんは几帳面な性格なのですね!あるいは美意識が強いと言いますか」
「どっちかというと後者の方だろうな……几帳面とかそんな性格ないし、くさタイプだから花好きだし、プライド高ヴッッッすみません絞めないで、何も言ってませんので。
─── ん、性格……?」
そういえば、(受け入れ難いけど)当たり前に会話しているこのゴルーグの性格ってなんだ……?
ポケモンには "性格" がある。いや当然だろみたいな顔してるそこの君、人間にとっての性格とポケモンにとっての性格には明確な違いがあるんだぞ。詳しい事はご近所にいるであろう博士とかに聞いてほしいんだけど、何でも同じポケモンでも性格が異なるとそれによって能力に違いが現れるらしい。トレーナーの中には強いと評判の性格のポケモンに出会えるまで何度でも繰り返すらしい、ゲットとか卵の孵化とか……まぁ努力するって大事だからね。私は努力するの死ぬほど嫌いだけど。
それは兎も角、この世にも奇妙で珍妙極まりないゴルーグの性格ってなんだろうか。普段ポケモンと接する時には性格とか意識してないけど、喋れるのだから口調やらテンションやらにちょっとくらい性格も影響してんじゃないか?
「ねぇゴルーグ、お前の性格って何なの?」
「私の性格、ですか?」
「うん。話せるんだったらそ」
「なんと私の事を聞いて頂けるなんて!ロウさんは私にご興味がお有りなのですね!?」
「いや、興味っていうか聞けるんなら」
「それでしたら性格だけと言わず私の全てをお話致しましょう!!お任せくださいロウさん、こう見えて私 語り方が上手いと自負しておりますので。何でしたらシュウさんとの出逢いからお話致しましょう!そうあれは3年程、いえ4年……おやこれはうっかりですね、ゴルーグですがうっかりしてしまいました。インパクトがありましたので出逢い方は鮮明に覚えているのですが、肝心の時期が曖昧です。どわすれしてしまいました、どわすれし過ぎて防御力が上がってしまいましたね。では今回は間を取って5年という事にしておきましょう、そうあれは5年前のイッシュ地方で私は」
「待っっっっった。
待って、うるさい、シンプルにうるさいし
しまった変なスイッチ入れてしまったらしい、とりあえずジャローダをけしかけて一旦話を止める。というか間取れてないし、3年と4年の間が5年ってどういう事だよ。語り下手くそかよ。
「それはまた今度でいいから、今は性格だけ教えてくれ」
「なるほど了解致しました。つい熱くなってしまいました、熱くなりすぎて
「うるさいほんっとうるさい」
何処で覚えてくんのそういうネタ……シュウが教える訳無いし、本当にこのゴルーグは珍妙過ぎる。良く言えば陽気だけど見たまんまの印象は奇妙奇天烈そして色々と奇抜、それしかない。
「んで?何なのやっぱ "やんちゃ" ?もしくは "のうてんき" とか "ようき" ?」
「んん~どれも違いますねぇ。違いますしロウさん普段 私の事そう思っているのですね?
私の性格それは……」
「それは……!?」
「それは─── "てれや" 、あるいは " ひ ・ か ・ え ・ め " ですよ、キャッ☆」
ご丁寧に内股になりながら両手をグーにして口元(?)に寄せる。
音が聞こえるんじゃないかと思う程に、痛い程にこめかみに血が走っていく。心なしか頬も引き攣っている気がする。まだゴルーグの背後にいるジャローダも口を開けたまま立ち尽くして動こうとしない。無理にでも動いてくれ頼む、渾身のハードプラントを叫ぼうと手を挙げたところで、窮屈だった首が自由になった。
そして右の花束に "シャドーボール" 左で "エナジーボール" を構えて宙を舞う、それはもう美しいフォームで飛ぶロズレイドが視界に入った。
「キュアァァァァァァァァァ!!!!!!
(特別翻訳:キャッじゃないわよこの泥人形風情がー!!!!!!)」
「ぎゃああああああ痛い!痛いです!!なんとロズレイドさんまさかのわざ2種類同時撃ちとはー!!!的確に弱点と急所を付いてくるなんて、流石、ロウさんのポケモンですね……ゴルーグびっくり……」
倒れた衝撃で地震の様な揺れが起きる。倒れそうになったタカエさんに巻き付いて助ける私のジャローダはポケモン1の紳士だろう。そして何より、
「……ありがとうレイドさん。なんかスッキリした」
「きゅうぅん」
「うんそうだな、キャッはないわキャッは……」
大事な事だからもう一度言うけど、キャッはないわ……
一旦落ち着こう。天を仰いで深呼吸をして、バトルで言うならば "ひんし状態" になったゴルーグを運べるであろうメンツ───バシャーモ、ボスゴドラ、ギャロップをボールから出す。そして運搬用の小道具としてあなぬけのヒモをバシャーモに渡した。
「なんか、どっか邪魔にならないとこに置いといて。何だったら庭のオブジェにしていいから……」
チラリと倒れているゴルーグを見てからボスゴドラとギャロップを引き連れて作業を始める。手際が非常に良い、良いけどクソでかい溜め息吐いてる。お前の様なバシャーモが他にいるだろうか。
「レイドさん、とりあえず花 植え替えよっか」
「キュン」
喋るゴルーグなんていなかった。ああ今日も良い天気だなぁ。
そうして今更ながら現実逃避を始めた。
「シュウー ゴルーグの性格って何?何の性格であんなことになるの?」
「ゴルーグの性格?あー……いやぁ……
……お前にこんな話はしたくないが、あのテンションのせいでな……忘れた」
「トレーナーのお前が忘れてどうすんだよ!!気持ちはわかるけど!めっちゃわかるけど!!
だから悩むな軽率に聞いてめっちゃごめんだから悩むな!!頑張れ!!」