叔父さんのゴルーグの様子がやっぱりおかしい
【所謂前回のあらすじです】
先日、私の叔父、"シュウ" がシンオウ地方にやってきた。叔父と言いつつ血縁関係は無いので "叔父さんの様な存在のお兄さん" みたいなもんである。ニュアンスで理解してほしい。
そしてこのシュウは何とも珍妙なポケモン、「喋るゴルーグ」を生み出した。なんかよくわからない理屈で特訓を行い、その末に人語を介しテレパシーを使って人間との会話能力を身に付けさせたのだ。つまるところ「テレパシーで喋れる様になった叔父さんのゴルーグ」が完成した。自分でも何を言ってるのかよくわからないけど喋るのだ、シュウのゴルーグは。
ちなみにここまでのあらすじを語っている私 "ロウ" は未だに喋るゴルーグが受け入れられない、いや改めて振り返ってみたけどゴルーグが喋るってどういう事?
「おお流石ロウさん!語り手として前回のあらすじを完璧になさっていますね!
ですが今は助けてください、私ピンチです!ゴルーグですがピンチです、ゴルーグなのですがピンチです!!」
ほら見なよ当たり前の様に話しかけてくるんだよ。何で普通にポケモンから「ロウさん」呼びされてるの。ていうかなんでピンチなの何がピンチなんだよ。最初からクライマックスって事?
「謎の美女に誘拐されかけています!!ガブリアスさんとミロカロスさんに攻撃的な意味で攻められています、これは相性的に私ピンチ!ゴルーグですがこれは流石に脱却できない状態、助けてくださいロウさーん!!」
「ゴルーグってイッシュ地方のポケモンよね、どうして喋るの何で喋るのどうやって喋っているというの!?
水臭いじゃないロウちゃん、こんな素敵なポケモン教えてくれないなんて!!お願い少しでいいの調査、いえ言語での意思疎通ができるなら取材と言うべきかしら!?ちょっとだけでいいから調べさせてー!」
Oh,本日も全開ですね "チャンピオン" 。
「……よかったなゴルーグ、素敵だってよ。シロナさんに褒めてもらえてよかったなぁ、そんなんだけどその人チャンピオンだからアレだよ、まぁあの……アレだからさ」
「ロウさんそちらに私はいませんよ!?何処を見ていらっしゃるのですか帰って来てくださいロウさん!!」
まさか「シロナ」さんに見つかるのは予想外の外だったなぁ……
いくら有名人で人気者のシロナさんでも彼女の事を知らない人は確実に一定数はいると思うので簡単に説明すると、彼女はポケモンに関する神話を調べたり……こう、何か色々としている考古学者でありシンオウリーグの現チャンピオンだ。
詳しくは百科事典とかポケペディア見てほしい。大体そこに書いてるから。
「もしやロウさん考古学者がどの様な職業かご存知でない?」
「お黙りゴーレムポケモン。
あのーシロナさん、そのゴルーグ 私のポケモンじゃなくて身内のなんであんまり変な事しないでください」
現在進行形で自分のポケモン使ってゴルーグを捕まえようと、いや話を聞こうとしてるけど一応チャンピオンだ。あんな事してるけどチャンピオンなんです信じて。
ゴルーグの攻撃をひたすら流すガブリアスと、ゴルーグとガブリアスの攻撃の射程外から2匹に当たらないギリギリのところを狙って───恐らくあえて攻撃を当てず、無駄に動かす事で体力の消耗を図るミロカロスのコンビネーションに流石のゴルーグも圧され気味みたいだ。繰り出すパンチにキレがなくなってきている。いい加減止めた方が良さそうだ、流石に可哀相だし。
「(シュウに何か言われるのも嫌だしなぁ……)
実力行使だ。ムーランド、威嚇ついでにこおりのキバでガブリアスの足止め。ジャローダはミロカロスをリーフブレードで牽制。バトルじゃないしゴルーグ飛ばす為の時間稼ぎしてくれ」
「バウッ」
「シャウゥ」
ボールを投げて指示を言い切るのと同時に駆けて行く2匹。ムーランドはこおりのキバで噛みつく訳ではなく、見せつける様にガブリアスの前に躍り出ていく。ジャローダも指示通り「それ以上動けば容赦はしない」と言った様にリーフブレードをミロカロスの前で構えて動かない。
「これはチャンスですね、理解できますともゴルーグですので!流石ロウさんダブルバトルもお手のも」
「いいからはよ飛んで逃げろや!!」
「なるほど飛ぶという手がありましたか。ロウさんの指示であれば聞きますともゴルーグ、飛び まーす!!」
(ポケモンにこの表現を使うのが正しいかはわからないが)手を格納してまるで飛行機みたいにジェット噴射で大空へ飛び上がっていくゴルーグ。十分な高度まで上がったところで腕の向きを変えて進路を上から横、クロガネ病院を目指して飛んでいく。
……何気に「そらをとぶ」を使うゴルーグって初めて見たな。あんな感じで飛ぶんだ……
「素晴らしいわ、イッシュ四天王のシキミさんから話には聞いていたけれど、ゴルーグって本当にそらをとぶを使えるのね!益々気になるわ」
「いやいやいや、気になるからって人のポケモン消耗させてから話聞こうとすんのやめてくださいよ」
「だってゴルーグは古代からいたとされるポケモンよ?もしかしたら私達が神話と言い伝えている時代に生きていた可能性だってあるじゃない!そう考えたら彼はとっても貴重な当事者であり歴史の証人よ、是非 話を聞かなくっちゃ!」
「だぁからその貴重な証人を物理的に追い詰めるのやめろ言ってんでしょお!?つかあいつ出身地イッシュ地方だからシンオウ神話 知りませんって!良くてイッシュの……?
……しまったイッシュ神話はワンチャンあり得るのかあいつ!?」
「そう言う事よロウちゃん!私がシンオウ神話だけ研究してると思ったら大間違いよ、考古学者だもの」
「それ関係あんのか?!……あるのか!」
「あるわよ!さぁそうと決まればさっきのゴルーグ……いいえトレーナーのところまで案内して頂戴。何だったらバトルに勝った報酬として教えてね!」
しまった嵌められた。
よく見ればシロナさんのミロカロスは既にバトルの体制に入っているし、ガブリアスに至ってはムーランドと交戦を始めている。指示無しで応戦して頑張ってくれてありがとう流石だよ姐さん。
もしかしてこの人、ゴルーグに話を聞くついでにバトルしたくなったんじゃ……いや流石にそこまでジャンキーではないだろう。
「ロウちゃんが相手なら "シンオウリーグ・チャンピオン" としてではなく "ただのトレーナー" として本気出したいものね!」
チクショウそっちかよ。やっぱりチャンピオンなんて変人でバトルジャンキーばっかりじゃないか、いやジムリーダーも大概だったけど。
2匹に指示を出しつつ携帯で電話を起動させる。ああくそ呼び出し音が長い、早く出てくれ。
「はい、シンオウリーグ問い合わせ窓口です」
「あ、もしもし四天王の中で誰か手が空いている方いませんか?そちらのチャンピオンにバトル嗾けられて困っているんですが。
ジャローダ、一旦退いてエナジーボール!ムーランドは左から行け!」
「なるほど、そういう事でしたらご自分で何とかなさってください。貴女なら大丈夫でしょう。
エルレイド、もういいですよ。電話切ってください」
「いや早く回収に来てくださいよ、あんた「ゴヨウ」さんでしょ声でわかりますよ」
「私はただの電話番ですよ、四天王のゴヨウではありません。
ああもう、リョウ静かにしてください、電話中ですよ」
「他の四天王呼び捨てにしてる時点でただの電話番な訳あるか!もぉ~誰でもいいから早く来てくださいよ!!
こうなったら一気にキメろジャローダ!ハードプラント!!反動は気にするなフォローする!」
「しまった、ミロカロス!」
「(声だけでも優勢だとわかるのに応援必要でしょうかねぇ……)」
この後、お互いに3体倒れた頃にやっとゴヨウさん……ではなく(恐らくパシられたんだろう)同じ四天王の「オーバ」さんが来て無事にシロナさんは回収されていった。もとい、ゴウカザルに丁重に抱えられて去っていった。人騒がせなチャンピオンだよほんとに……
しかしシュウになんて説明しようかなぁ。
一方その頃、クロガネ病院にて。
「ところでシュウさん、ロウさんはシンオウリーグ……だけではなくイッシュリーグ、ホウエンリーグ、カントー・ジョウト のチャンピオンに勝ってきたのですよね。何故現在ニートなのでしょう?」
「(ロウがいないからだろうが、明確にニートと言い切りやがった……)
ああ、一応チャンピオン就任は辞退出来るからな。辞退するにも当然条件があるが。ロウは一番最初のシンオウリーグの時はシロナに勝った後で "エキシビションマッチとして挑んだ" という事にして、チャンピオン就任から逃げたというかなんと言うか……
まぁなんだ、1つの場所に留まってただただ挑戦者を待つっていうのが嫌だったんだろ。旅の目的が "一番になる事" ではなかったから、尚更な」
「ではロウさんの旅の目的とは何だったのです?」
「…………本人に聞け」
先日、私の叔父、"シュウ" がシンオウ地方にやってきた。叔父と言いつつ血縁関係は無いので "叔父さんの様な存在のお兄さん" みたいなもんである。ニュアンスで理解してほしい。
そしてこのシュウは何とも珍妙なポケモン、「喋るゴルーグ」を生み出した。なんかよくわからない理屈で特訓を行い、その末に人語を介しテレパシーを使って人間との会話能力を身に付けさせたのだ。つまるところ「テレパシーで喋れる様になった叔父さんのゴルーグ」が完成した。自分でも何を言ってるのかよくわからないけど喋るのだ、シュウのゴルーグは。
ちなみにここまでのあらすじを語っている私 "ロウ" は未だに喋るゴルーグが受け入れられない、いや改めて振り返ってみたけどゴルーグが喋るってどういう事?
「おお流石ロウさん!語り手として前回のあらすじを完璧になさっていますね!
ですが今は助けてください、私ピンチです!ゴルーグですがピンチです、ゴルーグなのですがピンチです!!」
ほら見なよ当たり前の様に話しかけてくるんだよ。何で普通にポケモンから「ロウさん」呼びされてるの。ていうかなんでピンチなの何がピンチなんだよ。最初からクライマックスって事?
「謎の美女に誘拐されかけています!!ガブリアスさんとミロカロスさんに攻撃的な意味で攻められています、これは相性的に私ピンチ!ゴルーグですがこれは流石に脱却できない状態、助けてくださいロウさーん!!」
「ゴルーグってイッシュ地方のポケモンよね、どうして喋るの何で喋るのどうやって喋っているというの!?
水臭いじゃないロウちゃん、こんな素敵なポケモン教えてくれないなんて!!お願い少しでいいの調査、いえ言語での意思疎通ができるなら取材と言うべきかしら!?ちょっとだけでいいから調べさせてー!」
Oh,本日も全開ですね "チャンピオン" 。
「……よかったなゴルーグ、素敵だってよ。シロナさんに褒めてもらえてよかったなぁ、そんなんだけどその人チャンピオンだからアレだよ、まぁあの……アレだからさ」
「ロウさんそちらに私はいませんよ!?何処を見ていらっしゃるのですか帰って来てくださいロウさん!!」
まさか「シロナ」さんに見つかるのは予想外の外だったなぁ……
いくら有名人で人気者のシロナさんでも彼女の事を知らない人は確実に一定数はいると思うので簡単に説明すると、彼女はポケモンに関する神話を調べたり……こう、何か色々としている考古学者でありシンオウリーグの現チャンピオンだ。
詳しくは百科事典とかポケペディア見てほしい。大体そこに書いてるから。
「もしやロウさん考古学者がどの様な職業かご存知でない?」
「お黙りゴーレムポケモン。
あのーシロナさん、そのゴルーグ 私のポケモンじゃなくて身内のなんであんまり変な事しないでください」
現在進行形で自分のポケモン使ってゴルーグを捕まえようと、いや話を聞こうとしてるけど一応チャンピオンだ。あんな事してるけどチャンピオンなんです信じて。
ゴルーグの攻撃をひたすら流すガブリアスと、ゴルーグとガブリアスの攻撃の射程外から2匹に当たらないギリギリのところを狙って───恐らくあえて攻撃を当てず、無駄に動かす事で体力の消耗を図るミロカロスのコンビネーションに流石のゴルーグも圧され気味みたいだ。繰り出すパンチにキレがなくなってきている。いい加減止めた方が良さそうだ、流石に可哀相だし。
「(シュウに何か言われるのも嫌だしなぁ……)
実力行使だ。ムーランド、威嚇ついでにこおりのキバでガブリアスの足止め。ジャローダはミロカロスをリーフブレードで牽制。バトルじゃないしゴルーグ飛ばす為の時間稼ぎしてくれ」
「バウッ」
「シャウゥ」
ボールを投げて指示を言い切るのと同時に駆けて行く2匹。ムーランドはこおりのキバで噛みつく訳ではなく、見せつける様にガブリアスの前に躍り出ていく。ジャローダも指示通り「それ以上動けば容赦はしない」と言った様にリーフブレードをミロカロスの前で構えて動かない。
「これはチャンスですね、理解できますともゴルーグですので!流石ロウさんダブルバトルもお手のも」
「いいからはよ飛んで逃げろや!!」
「なるほど飛ぶという手がありましたか。ロウさんの指示であれば聞きますともゴルーグ、
(ポケモンにこの表現を使うのが正しいかはわからないが)手を格納してまるで飛行機みたいにジェット噴射で大空へ飛び上がっていくゴルーグ。十分な高度まで上がったところで腕の向きを変えて進路を上から横、クロガネ病院を目指して飛んでいく。
……何気に「そらをとぶ」を使うゴルーグって初めて見たな。あんな感じで飛ぶんだ……
「素晴らしいわ、イッシュ四天王のシキミさんから話には聞いていたけれど、ゴルーグって本当にそらをとぶを使えるのね!益々気になるわ」
「いやいやいや、気になるからって人のポケモン消耗させてから話聞こうとすんのやめてくださいよ」
「だってゴルーグは古代からいたとされるポケモンよ?もしかしたら私達が神話と言い伝えている時代に生きていた可能性だってあるじゃない!そう考えたら彼はとっても貴重な当事者であり歴史の証人よ、是非 話を聞かなくっちゃ!」
「だぁからその貴重な証人を物理的に追い詰めるのやめろ言ってんでしょお!?つかあいつ出身地イッシュ地方だからシンオウ神話 知りませんって!良くてイッシュの……?
……しまったイッシュ神話はワンチャンあり得るのかあいつ!?」
「そう言う事よロウちゃん!私がシンオウ神話だけ研究してると思ったら大間違いよ、考古学者だもの」
「それ関係あんのか?!……あるのか!」
「あるわよ!さぁそうと決まればさっきのゴルーグ……いいえトレーナーのところまで案内して頂戴。何だったらバトルに勝った報酬として教えてね!」
しまった嵌められた。
よく見ればシロナさんのミロカロスは既にバトルの体制に入っているし、ガブリアスに至ってはムーランドと交戦を始めている。指示無しで応戦して頑張ってくれてありがとう流石だよ姐さん。
もしかしてこの人、ゴルーグに話を聞くついでにバトルしたくなったんじゃ……いや流石にそこまでジャンキーではないだろう。
「ロウちゃんが相手なら "シンオウリーグ・チャンピオン" としてではなく "ただのトレーナー" として本気出したいものね!」
チクショウそっちかよ。やっぱりチャンピオンなんて変人でバトルジャンキーばっかりじゃないか、いやジムリーダーも大概だったけど。
2匹に指示を出しつつ携帯で電話を起動させる。ああくそ呼び出し音が長い、早く出てくれ。
「はい、シンオウリーグ問い合わせ窓口です」
「あ、もしもし四天王の中で誰か手が空いている方いませんか?そちらのチャンピオンにバトル嗾けられて困っているんですが。
ジャローダ、一旦退いてエナジーボール!ムーランドは左から行け!」
「なるほど、そういう事でしたらご自分で何とかなさってください。貴女なら大丈夫でしょう。
エルレイド、もういいですよ。電話切ってください」
「いや早く回収に来てくださいよ、あんた「ゴヨウ」さんでしょ声でわかりますよ」
「私はただの電話番ですよ、四天王のゴヨウではありません。
ああもう、リョウ静かにしてください、電話中ですよ」
「他の四天王呼び捨てにしてる時点でただの電話番な訳あるか!もぉ~誰でもいいから早く来てくださいよ!!
こうなったら一気にキメろジャローダ!ハードプラント!!反動は気にするなフォローする!」
「しまった、ミロカロス!」
「(声だけでも優勢だとわかるのに応援必要でしょうかねぇ……)」
この後、お互いに3体倒れた頃にやっとゴヨウさん……ではなく(恐らくパシられたんだろう)同じ四天王の「オーバ」さんが来て無事にシロナさんは回収されていった。もとい、ゴウカザルに丁重に抱えられて去っていった。人騒がせなチャンピオンだよほんとに……
しかしシュウになんて説明しようかなぁ。
一方その頃、クロガネ病院にて。
「ところでシュウさん、ロウさんはシンオウリーグ……だけではなくイッシュリーグ、ホウエンリーグ、
「(ロウがいないからだろうが、明確にニートと言い切りやがった……)
ああ、一応チャンピオン就任は辞退出来るからな。辞退するにも当然条件があるが。ロウは一番最初のシンオウリーグの時はシロナに勝った後で "エキシビションマッチとして挑んだ" という事にして、チャンピオン就任から逃げたというかなんと言うか……
まぁなんだ、1つの場所に留まってただただ挑戦者を待つっていうのが嫌だったんだろ。旅の目的が "一番になる事" ではなかったから、尚更な」
「ではロウさんの旅の目的とは何だったのです?」
「…………本人に聞け」