▼おや?叔父さん の ゴルーグ の 様子 が …… ?
【興味本位の実験】
「オクタンお姉様、おはようございます。本日も瑞々しいお体ですね!」
「ぎゅみぃ」
シュウとそのポケモン達、喋れる様になったゴルーグが滞在して2週間くらい経った。ボールから出て庭に降りようとするオクタンを抱えるゴルーグを横目に、スマートフォンを取り出す。
「えっと「ゴルーグ」、「人語を喋る」、「テレパシー」、検索……
うーん……」
やっぱり何度検索しても「ゴルーグは人語を理解できる」とは言われてるけど「人語を介しての会話能力を身に付けられる」なんて話も論文もない。トレーナーで人医とポケ医両方やってる養母さん にも聞いてみたけど、そんな人でも見た事ない事例らしい、あのゴルーグは。
「(そういえば初めて出会った時にエスパーやゴーストタイプは個体差あれど練習すれば基本的に人語を理解したり、人語を介しての会話能力は身に付くって言ってたな……」
ゴルーグの言葉を思い出すとその後に言っていたあれも同時に引っ張り出て来た。
『ロウさんのシャンデラさんも頑張れば喋るかもしれませんね!私の様に!』
まさかな……いやまさかな……
家にいる時は基本的にポケモン達をボールから出しているので、シャンデラを呼んでみる。しばらくすると、寝ていたのかフラフラしながら半分目を瞑ったシャンデラがやって来た。
「……寝てたの?」
「ンゥーン……」
「なんかごめん……
こんな事で起こして悪いんだけどさ、シャンデラもしかして喋れたりとかする?」
「ン~?ンーンっ!」
ぐらりと傾いて思い切り回転される。これはあれだな、「何言ってんのこの人?そんなんできる訳ないでしょ!」みたいな感じだ。
そりゃそうだよなぁ、いくら同じゴーストタイプだからと言ってシャンデラが喋る訳が無い。現に鳴き声も「ンー」しか言わないし。進化する前なら、ランプラーの時に1回だけ背後で「ラン・ラン・プー」って鳴いてとんでもなくビビったけど、あれ以来変わった鳴き方はしない。歌は歌うけどそれもポケモンの行動にはよく見られるものだし。
「だよねーよかったぁ~」
「ン˝ン˝ー!ン˝ー!!」
「ああうん、起こして本当にごめん。すいませんでした熱っアッツ、申し訳ありませんお嬢様。
お詫びにほらポフィンあげるからさ」
ポフィンケースから1個取り出して差し出すが、ぷいっとそっぽを向かれる。嫌いな味だっただろうか。
「これは嫌なのか、何味がいいのかな……」
「あまいの」
「甘いのね、それなら……あ?」
「ン?」
今喋らなかった?気のせいか?
ゆらゆらと左右に揺れるシャンデラに問いかけても「ンーン」と頑なにぐるぐる回り続ける。おかしいなさっきハッキリ「甘いの」って言った様な気がするんだけど。まぁ本ポケが否定してるし、あんまり問い詰めるのも良くないか。
「はい甘いポフィンだよ」
「ンゥーン」
「アハハ、美味しいか?」
「おいしい」
「そうかよかったよかった。ところでお前の口ってどこにあるんだ?まぁ食ってるし今更だし気にしなくていいか~アッハッハ。
…………待って、気にしないといけない何かがあった様な、んん?」
「ンー?」
辺りを見回して、私以外に "人間" がいない事を改めて確認する。うんやっぱりいない、シュウはたぶんトイレ行ってる。
もう一度シャンデラに向き直……っていないし?!普段なら一度呼んだらボールに戻すまでそのままずっと傍にいるのに何故、そんなに不都合な何かがあったんか。ていうか絶対喋ってたよ今。
「アァー困りますお姉様!ハイドロポンプは困ります!アァー困りますお姉様!
何故です "男の中の男" とお褒めしただけですのに!!アァー困りますお姉様ァー!!痛いですハイドロポンプはとても痛いです!ゴルーグですので、ゴルーグですので!!」
「……やっぱりあいつうるっさいな。仕方ないオクタン止めてこよ……」
ゴルーグが喋れる様になってからわかった事だけど、どうやらオクタンは他のポケモン達に自分の事をお姉様と呼ばせているらしい。多様性の世の中だし、最近の研究でそれは人間だけではなくポケモンにも当たり前にあるものなのだと判明したし、何もおかしい事じゃない。
一旦シャンデラの謎は置いておくとして、今は庭のカオスを止めよう。心配そうに窓の外を眺めるピカチュウとプラスルを肩に乗せて、ついでにオロオロしていたシュウのジバコイルも連れて庭に降りた。
ちなみに物凄い蛇足だがシュウのオクタンは───オスだ。
「ゆだんしてしゃべっちゃったけどあのゴルーグとどうるいとおもわれるのはしんがい。ロウにこわがられるのもきらわれるのもいや。
……しかたない───後で生命力と一緒に記憶燃やしておこう」
「オクタンお姉様、おはようございます。本日も瑞々しいお体ですね!」
「ぎゅみぃ」
シュウとそのポケモン達、喋れる様になったゴルーグが滞在して2週間くらい経った。ボールから出て庭に降りようとするオクタンを抱えるゴルーグを横目に、スマートフォンを取り出す。
「えっと「ゴルーグ」、「人語を喋る」、「テレパシー」、検索……
うーん……」
やっぱり何度検索しても「ゴルーグは人語を理解できる」とは言われてるけど「人語を介しての会話能力を身に付けられる」なんて話も論文もない。トレーナーで人医とポケ医両方やってる
「(そういえば初めて出会った時にエスパーやゴーストタイプは個体差あれど練習すれば基本的に人語を理解したり、人語を介しての会話能力は身に付くって言ってたな……」
ゴルーグの言葉を思い出すとその後に言っていたあれも同時に引っ張り出て来た。
『ロウさんのシャンデラさんも頑張れば喋るかもしれませんね!私の様に!』
まさかな……いやまさかな……
家にいる時は基本的にポケモン達をボールから出しているので、シャンデラを呼んでみる。しばらくすると、寝ていたのかフラフラしながら半分目を瞑ったシャンデラがやって来た。
「……寝てたの?」
「ンゥーン……」
「なんかごめん……
こんな事で起こして悪いんだけどさ、シャンデラもしかして喋れたりとかする?」
「ン~?ンーンっ!」
ぐらりと傾いて思い切り回転される。これはあれだな、「何言ってんのこの人?そんなんできる訳ないでしょ!」みたいな感じだ。
そりゃそうだよなぁ、いくら同じゴーストタイプだからと言ってシャンデラが喋る訳が無い。現に鳴き声も「ンー」しか言わないし。進化する前なら、ランプラーの時に1回だけ背後で「ラン・ラン・プー」って鳴いてとんでもなくビビったけど、あれ以来変わった鳴き方はしない。歌は歌うけどそれもポケモンの行動にはよく見られるものだし。
「だよねーよかったぁ~」
「ン˝ン˝ー!ン˝ー!!」
「ああうん、起こして本当にごめん。すいませんでした熱っアッツ、申し訳ありませんお嬢様。
お詫びにほらポフィンあげるからさ」
ポフィンケースから1個取り出して差し出すが、ぷいっとそっぽを向かれる。嫌いな味だっただろうか。
「これは嫌なのか、何味がいいのかな……」
「あまいの」
「甘いのね、それなら……あ?」
「ン?」
今喋らなかった?気のせいか?
ゆらゆらと左右に揺れるシャンデラに問いかけても「ンーン」と頑なにぐるぐる回り続ける。おかしいなさっきハッキリ「甘いの」って言った様な気がするんだけど。まぁ本ポケが否定してるし、あんまり問い詰めるのも良くないか。
「はい甘いポフィンだよ」
「ンゥーン」
「アハハ、美味しいか?」
「おいしい」
「そうかよかったよかった。ところでお前の口ってどこにあるんだ?まぁ食ってるし今更だし気にしなくていいか~アッハッハ。
…………待って、気にしないといけない何かがあった様な、んん?」
「ンー?」
辺りを見回して、私以外に "人間" がいない事を改めて確認する。うんやっぱりいない、シュウはたぶんトイレ行ってる。
もう一度シャンデラに向き直……っていないし?!普段なら一度呼んだらボールに戻すまでそのままずっと傍にいるのに何故、そんなに不都合な何かがあったんか。ていうか絶対喋ってたよ今。
「アァー困りますお姉様!ハイドロポンプは困ります!アァー困りますお姉様!
何故です "男の中の男" とお褒めしただけですのに!!アァー困りますお姉様ァー!!痛いですハイドロポンプはとても痛いです!ゴルーグですので、ゴルーグですので!!」
「……やっぱりあいつうるっさいな。仕方ないオクタン止めてこよ……」
ゴルーグが喋れる様になってからわかった事だけど、どうやらオクタンは他のポケモン達に自分の事をお姉様と呼ばせているらしい。多様性の世の中だし、最近の研究でそれは人間だけではなくポケモンにも当たり前にあるものなのだと判明したし、何もおかしい事じゃない。
一旦シャンデラの謎は置いておくとして、今は庭のカオスを止めよう。心配そうに窓の外を眺めるピカチュウとプラスルを肩に乗せて、ついでにオロオロしていたシュウのジバコイルも連れて庭に降りた。
ちなみに物凄い蛇足だがシュウのオクタンは───オスだ。
「ゆだんしてしゃべっちゃったけどあのゴルーグとどうるいとおもわれるのはしんがい。ロウにこわがられるのもきらわれるのもいや。
……しかたない───後で生命力と一緒に記憶燃やしておこう」
6/6ページ