ちびちびのお守り


未来に帰ったちびうさちゃんは、また来るって言っていたのに、結局戻って来てはくれなかった。
分かっている。ちびうさちゃんの本当の家はここには無いってこと。ちゃんとパパやママがいて、暮らす場所がある。プリンセスだから、やる事もいっぱい。
全て分かっているけれど、寂しい。もっとちゃんと別れを言っておけばよかったなって後悔している。

「キャッキャ」

戻らないちびうさちゃんと交代で来たのが、“ちびちび”と名乗るうさぎお姉ちゃんやちびうさちゃんと似た女の子。
こっちに来る事が出来なくなったちびうさちゃんの代わりに送り込まれたちびうさちゃんの妹なのか。はたまたちびうさちゃんの子供なのか?
何者かは分からないけれど、目の前で砂遊びをするちびちびちゃんは、天真爛漫な可愛い女の子。敵意は全く感じられない。
やっぱり、私たちが寂しいと思って未来から来たのかな?

「ちびちびちゃん、面白い?」
「おもしろい?」
「砂遊びは好き?楽しい?」
「楽しい?」

うさぎお姉ちゃんが言っていた通り、本当に何を聞いてもオウム返し。
可愛いんだけど、話が通じないから困る。
年相応、と言えばそうなんだろうけど。

「ちびうさちゃんは、元気?」
「げんき?」
「未来から来たの?」
「きたの?」
「本当にオウム返しだな……」

傍で見ていたアルテミスも呆れる。

「まぁ、うさぎの子なら納得だな」
「そう言われると、妙に説得力が増すわね」
「ルナもアルテミスも辛辣ね。うさぎお姉ちゃんが聞いたら怒るよ」
「いや、だって事実だしな。な、ルナ?」
「まぁ、そう……ねぇ」

うさぎお姉ちゃんがいないと思って、二人とも言いたい放題。

「もし、本当にうさぎお姉ちゃん関係なら、未来に帰った時にクイーンに告げ口されるかもよ?」
「言われてみれば……」
「うさぎもいい所は沢山ある!」
「アルテミス、今更フォローしても遅いと思うよ?」
「ほたるも頭の回転早いから、厳しい事言ってくるよな。前のほたるとはまた別人格なんだな」
「そうかな?年齢が違うからじゃない?」

自分では分からないけど、他の人からすると前の私は大人しくて、今の私はやんちゃ娘なんだとか。はるかパパ達もそんな事言ってたっけ。

「ちびちびちゃんは、この戦いに関係しているの?」
「ているの?」

ダーメだこりゃ!
歳が近い私になら何か喋ってくれるんじゃないかと期待したけれど、ルナとアルテミスもいるせいか、ずっと惚けている。
誕生の戦士として、何か呼び起こせたら良かったのに。不甲斐ない。
えーん、ちびうさちゃん。帰って来てぇー。通訳してぇー。もう、私たちはお手上げです。




END

2023.05.27

1/1ページ
スキ