親愛なるママへ


前世のお母様ーークイーン、どうしていますか?

セレニティは、前世から寄り添ってくれていた四守護神と恋人のエンディミオンであるまもちゃんを失ってしまい、失意のどん底にいます。

四守護神もまもちゃんも、お母様がいる死後の世界に行ってしまったのでしょうか?

そちらで又、みんなと再会しているのでしょうか?

もしそうであれば、みんなを守って下さい!

そして、私が無事みんなのクリスタルを取り戻して肉体を元に戻すまで、見守って下さると有難いです。

……お母様

私、余りにも知らない事が多すぎて漠然としています。

前世で勉強は上の空で、色恋に走っていた正真正銘の箱入り娘だった。

エンディミオンと恋に落ちて過ごした日々に後悔は今も全くしていない。

だって、同じ星に生まれてまた恋人になれたんだもん!

クイーンだって、私に幸せになって欲しかったから銀水晶にみんなを同じ星に生まれ変わらせてくれるように頼んだのでしょう?

戦いの日々だけれど、それでも愛する人とこうして何のしがらみも隔たりも無く堂々と一緒に過ごせていてとても幸せだから。

でも、月のプリンセスとして知っておかなければならない事を知らずに死んでしまった私は、生まれ変わってセーラー戦士として敵と戦う中で、弊害が出てしまっていて色々大変です。

もっとクイーンと多くを話しておけばよかったと後悔してもし切れません。

その一つが、銀水晶の事。

シルバームーンクリスタルが、銀河一の力を持つセーラークリスタルだなんて知らなかった。

このクリスタルが敵を作り、戦いを引き寄せているなんて思ってもみなかった。

それに太陽系以外にも星系が沢山あって、それぞれに守護戦士が存在する事も知らなかった。

クイーンはシルバームーンクリスタルが外宇宙の敵から狙われる事を、狙われている事を知っていたのですね?

だから、自身を守る為にウラヌスやネプチューン、プルートの様に外敵からの侵入者を排除する役割を持った戦士を配置していたのですね?

そして万が一、王国に危害があればいけないと思ってサターンを緊急用に破滅の戦士として迎え入れたのですね。

全ては銀河最強の銀水晶ーーシルバームーンクリスタルと、自身の身を守る為。

こんなたった一つの小さな石のせいで、こんな気苦労があったなんて……

もっともっと銀水晶の事をクイーンから学んでおきたかった。

もっともっと太陽系の事も、銀河の事もクイーンから聞いておきたかった。

もっと私がしっかり月のプリンセスとして重く受け止めていれば、クイーンの負担をかけなくて済んだかもしれない。

クイーンにばかり重荷を背負わせなくてよかったかもしれない。

私には未来から来た娘がいた。

ブラックムーンとの戦いの時も、師・ファラオ・90との時も、ネヘレニアとの時も、ちびムーンがいてくれたから心強かった。

クイーンも私を、私にとってちびムーンの様な役割をして欲しかった。そんな存在が欲しかったのかなってふと考えてしまった。

ギャラクシアにみんなのクリスタルが奪われて、私を守ってくれていたみんながいなくなって初めてクイーンの偉大さと、一人で立ち向かう心細さ、そして芯の強さを垣間見た気がします。

出来の悪い娘でごめんなさい。
思い通りの娘になれなくて、ごめんなさい。

それなのに、こうして普通の女の子として生まれ変わらせてくれてありがとう。

もしまたあなたの娘として生まれ変わる事が出来たなら、その時はもっとクイーンから多くの事を学ぶ素敵なプリンセスになりたいです。


かしこ

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