ある日のフルーツパーラー“CROWN”で


大学生組は自分達で何とかするとして、今日はもう一組。気になっている二人組が来ていた。

「まこちゃん、浅沼くん、いらっしゃい」

レイカさんと喋っている時、二人揃って店へと入って来るのが見えていた。私の今イチオシのカップルーーー木野まことちゃんと浅沼一等くん。

この二人も兄達と同じでまだ付き合ってはいない様子。別にそれは何も変なことでは無い。
だってこの二人はまだ中学生だから。ゆっくり関係を育んで行けばいと思うの。
だけど、やっぱり雰囲気がもうそれは恋人と言う感じで。もう付き合ってるんじゃないかって雰囲気を纏っている。
これは、若い2人の方が若い勢いで付き合っちゃうんじゃないの?

「宇奈月ちゃん、こんにちは」
「宇奈月先輩、お久しぶりです」

うーん、初々しい!そして瑞々しい!
あっち(元基とレイカ)とは違う若さ特有のキラキラで眩しい。勿論あっちはあっちで大人の落ち着きがあっていいけどね!

「二人揃って、さてはデートね?」

お節介女子高生、宇奈月が世話を焼いちゃう!
付き合って無いのは知ってるけど、意識させてあげるわ。

「ブーーーーーッッ」
「やだ、浅沼くん。大丈夫?」
「浅沼ちゃんっ」

私のストレートな質問に、飲んでいたジュースを盛大にこぼしてしまった浅沼くん。
やだ、やっぱり可愛い!こんな事で動揺してる様じゃあ、まだまだね。

「ぼ、僕たち、そんなんじゃ……」
「そうそう、そんな関係じゃないって」

気を取り直した浅沼くんが慌てて否定。まこちゃんも被せるように否定してきた。残念。
浅沼くんはどこからどう見ても“まこと先輩の事、惚れてます”と言う感じ。
対するまこちゃんだって浅沼くんを見る顔は優しい。

「弟みたいなもんだよ、浅沼ちゃんは」

浅沼くんより一つだけ年上のまこちゃん。年下の子に告白して断る常套句を口にしていた。

「そうですよ!まこと先輩は、先輩です」

まこちゃんを“先輩”と言って慕っているからか、まこちゃんに弟と言われたことで壁を作ってしまった。
あら、これは私、お節介やり過ぎたかしら?

「えー、お似合いだと思うんだけどなぁ……」

そりゃあ女の方が年上で、体格もまこちゃんの方がいいから中々男としては見られないかもしれない。
けれど、例え女が年上で体格が良くてもそんなカップル幾らだっているんだから。試しに付き合ってみてもいいと思うのよね。

「いやぁ、そうかな?」
「参りましたね」

二人とも、見るからに動揺して戸惑っている。
やり過ぎはダメだから私はここで下がろうかな?

「じゃあ、後は若い二人で」

そんなに年は離れてないのに、何故だかおばさんみたいな言葉でその場を後にしてしまった。

まこちゃんはイケメンが好きで、恋多き女の子。恋愛に奥手だとは思っていない。
前の学校では先輩に振られたって言っていた。まだ、引きづっているのかな?
だったら、新しい恋をしてもいいと思う。過去の恋の傷を癒すのは、やっぱり新しい恋しかないと思うから。

そこに優しい年下の将来有望なイケメン完璧男子が現れたんだから、身を任せてみてもいいと思うの。
浅沼くん、本当に良い子だし、まこちゃんの事大切にしてくれそうだもん。
二人が付き合うなら私、全力で応援しちゃう!

どうなるのか、まこちゃんの親友として暖かく見守っていきたいと思う。
でも、お節介は程々にしないとね!




END

2022.09.06

妹の日、苦労の日

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