イースターパーティ
第2巻『マシュマロ大爆発』
イースターパーティー当日、卒業式を無事終え、各々クラスメイトや部活仲間達と別れを惜しみつつうさぎ達は一旦帰路に着く。
パーティー用にと買っていたお菓子を取りに帰る為と、制服から私服へ着替える為だ。
「十番高校のこのセーラー服も今日で最後か…」
部屋で私服へ着替えようとしたが、鏡の前に立ち、最後のセーラー服姿を目に焼き付けながら名残惜しそうにつぶやくうさぎ。
色んな思い出と共に脱ぎ始める。まるでセーラー戦士の引退儀式であるかの様にー。
セーラー服を着なくなってもこの先も戦士であること、敵と戦うことは変わらぬ現実(リアル)だがー。
感傷に浸っていても時間は無常にも過ぎて行き、パーティーの時間が刻一刻と迫って来ていた。
主催である自身が遅刻する訳には行かない。
今までも遅刻常習犯の為、最後の最後までやらかす訳にもいかない。
この先は笑って許してくれるみんながいない所で頑張らなくてはならないのだから、予行演習を兼ねて早く行かなければと気を引き締める。
それに恋人の衛にも早く会いたかった。
「ごめ~~~ん♡遅くなっちゃってぇ~~~~~♡」
『うさぎ!!アンタ主人公で主催の癖にどんだけ待たせんのよ!何やってたの?』
遅刻しない様に慌てて行ったものの結果として1番遅くに到着し、4人の見事なハモりで怒られる事になってしまった。
いつものパターンに苦笑いするしかない。
「えへへ、みんな早いね?私も早く来たつもりでいたんだけど、やっぱり叶わないや」
「あんたがモタモタしてるからでしょ?」
「ちょうど準備出来たから始めようぜ!」
「今日一日は勉強の事は忘れて想い出作り楽しみましょう!」
「亜美ちゃん…。イースターって言えばうさぎよね~♪イースターエッグあるわよ、うさぎ!」
「美奈P、私は動物のうさぎじゃないよ?でも食べる!まこちゃんの作った物、どれも美味しいもん♪」
駆けつけ一杯張りに美奈子に言われた通りイースターエッグ1つを頬張るうさぎ。
「うさぎ、慌てすぎよ。まだパーティー始まって無いのに1番遅く来たのに食べるなんて…」
「本当よね?まぁ主催で主役だし、イースターうさぎだし、今日は多めに見てあげるわよ!」
「美奈P…そのネタ、いつまで引っ張るの?」
「うさ、卵の黄身が付いてるぞ」
隣に座った恋人の口元に黄身が付いていることに気付いた衛は自然と取って食べる。
その一連の流れを微笑ましくも呆れて見ていた4人はやれやれと思いながら各々が用意して持ち寄ったお菓子に手を伸ばし、食べ始めた。
「そーだ!私も持ってきてたんだ!まもちゃんがチョコフォンデュしたいって言ってたからこの前、進悟とパパからバレンタインのお返しで貰ったマシュマロ持ってきたの」
「マシュマロってさ、焼いて食べると美味しいんだよねぇ~♪」
「そーなの?じゃあレンジでチンしよう」
持ってきたマシュマロを全て皿に入れ、レンジで温め始めた。
「焼いてって言ってるのに何でレンジで温めるの?」
「うさぎらしくていいじゃん」
呆れるレイに対してまことはうさぎらしいボケにほっこりする。
指摘されたうさぎは慌ててレンジを止め、マシュマロを取り上げる。
キッチンから運んでいるとレンジで膨張してしまったマシュマロがポップコーンの様に弾けて次々と爆発を起こし始めた。
まさかの事態にその場に居た全員は事態を飲み込めずに何も出来ずに呆然としていた。ただ1人を残してーー。