前世レイうさ


『幸せって?』


「幸せになって下さい」

プリンセスからそんな言葉が私に向かって発せられると思ってなかったから少し悲しくなった。
どういう心理状態なのかその顔を見てもよく感じ取れない。
四天王の1人と心を通わせてしまっている事に気付いているの?
そんなはずはない!
誰にも気づかれていない、自分自身でさえも気付かぬよう育たぬ様蓋をしているのだから……。

「どうしてそのような事を仰るのです?」
「私、エンディミオンと出会って今が1番幸せなの。だからマーズ達も同じ様に幸せになって欲しいなって思ったの」

私の幸せはプリンセスがいつも笑顔で幸せで過ごしてくれること。
そんな彼女が幸せそうな顔で私たちの幸せを願ってくれている。

神の掟に背き、地球国の王子と恋に落ちてしまったプリンセスを心から容認出来ないと言うのに……。
いつも叱ってばかりの私達の幸せを思ってくれていることを知り、心がチクリと傷んだ。
優しいプリンセスに相応しく、静かで優しい夜だった。



END
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