もう、そんなこと言われたら嬉しくて泣きそうになるじゃない！
でも泣くなんてキャラじゃない。
その代わり、美奈を抱きしめて唇にキスをしていた。
自分の行動に驚いてすぐに離すと美奈は驚き過ぎて固まっている。
そして美奈の背後には守護霊として見守っているクンツァイトが、私たちの行動に驚いていた。
だけど流石に私に危害を加えようと言う考えは無いみたい。
それは私がどんな人か分かっているから。悪霊退散されると予想したのだと思う。
思慮深い人だから、感情だけで動かない、そんな人だ。私もそれが分かってて行動したんだけどね。
それに守護霊だから、見守る事しかしないって知ってるから。

そう、美奈には言ってないけど、ダークキングダム最終戦後、美奈には守護霊としてクンツァイトが取り憑いていた。
常にと言う訳では無い。いる時といない時がある。
そう言う時は大抵前世の主である衛さんの所にいるのだろうと思う。
衛さんを見たらよく四天王全員がくっ付いて来ていたから。
彼らは元々衛さんの守護騎士だから何らおかしい事では無いし。元の主の元に戻った。ただそれだけの事。

そしてやっぱり時々まこにはネフライト、亜美にはゾイサイト、そして私にはジェダイトが守護霊として取り憑いていた。
前世でよっぽど好きだったのね。
そんなに気になる？
死んでも忘れられないの？

美奈にクンツァイトがついている様に今日は私にもジェダイトが見ていた。
どんな反応するかと思ったら、衝撃的な顔をして私を見ていた。
私が誰とキスをしようがジェダイトには関係ない。
でも見えてしまっている分、気にはなってしまうわね。ダメね。

美奈を含め、3人にはこの事は勿論言ってない。
彼らもそれを望んではないから。
そっと愛しの彼女を見守りたいだけのようだから。
ただ、ジェダイトと私の場合は時々言葉を交わしていた。
見えてるから会話も出来る。
霊と交信する事だって出来るから何度か四天王と会話したこともある。

そして美奈にはクンツァイトだけでは無かった。
もう1人、私が見た事もない男の子が憑いていた。
白い短髪のまだ幼い顔の男の子。
クンツァイト同様、美奈を熱い眼差しで見ていた。
きっと生前は美奈のことが好きだったのだということが伝わった。
その子は、私と美奈のキスを見て、兎に角何故か何とも言えない顔で笑っていた。
嫉妬で顔が歪んだりするかと思ったけど、何故か反応がおかしい。
知らない人だから話したことないし、聞くのも違うし……。

｢レ、レイちゃん！？｣
｢美奈が可愛い事言ってくるから｣

例え数分でも、たった1人だけでもその気持ちだけで私は嬉しかったし、救われたわ。
それに美奈達のおかげで戦士をし始めてから気にならなくなっているから、私は平気よ。
ありがとう、美奈。
ありがとう、みんな。




END

2021.08.13

13日の金曜日に寄せて