初期まもうさでリレーSS

①みっこさん
衛が歩いていると、見慣れたお団子頭の中学生が明らかに柄の悪そうな男に絡まれていた。お団子頭は涙目で腕を振り解こうとしている。
②夕月さん
「ちょっと。やめて。」
そんな悲鳴みたいな声も聞こえる。
「いいじゃん。お兄さんとあそぼ」
柄の悪いチャラ男は彼女の腕を強めに掴んでいる。その姿を見て、無性に衛は腹が立ってくる。彼女の元に足を運ぶ。
③みっこさん
「おい」
「なんだぁ?」
振り向いた柄の悪い男は自分よりも上背があり、何より物凄く整った顔立ちの男が抑えた怒りの感情を露わにして睨んでいるのを見て、途端に威勢を無くした。
しかし「お前には関係ねぇだろ」と言いながら尚もうさぎの腕への手を離さない。
④みお
完全に引き下がれ無くなった男は掴んでいるうさぎの腕を引っ張り、強引に連れていこうとした。
しかし、それを許さない我を忘れた怒り狂う衛は追いかける。男をうさぎから離すと一発お見舞いしてやる。
ドカッ!
顔面にスクリーンヒットした男は「覚えてろ!」とその場を立ち去る。
⑤みっこさん
青ざめた顔で一部始終を見ていたうさぎは、今まで自分に意地悪を言ってばかりの衛が自分を守り男を撃退してくれた事実に上手く言葉が出てこない。その代わりに心臓が早鐘のように鳴っている。
その無駄のない動きはまるでいつもセーラームーンである自分を助けてくれるタキシード仮面の姿と重なった。
⑥みお
タキシード仮面であるはずが無いのにと思いながらも早鐘の様に鳴る心臓が止められず困惑しながらもやっとの思いでお礼の言葉を紡ぎ出す。
「あ…りが、と…」
尚も煩く鳴る心臓に、衛の顔をまともに見られないでいる。
顔を見てしまうともう後戻りが出来ないとそう感じてしまったから。
⑦みっこさん
「いや。怪我はないか?」
気遣う言葉を掛けられて更に心臓が跳ね上がる。
(何で?こいついつもと全然違うよ。調子狂っちゃうじゃない)
「う、うん。ちょっと腕が痛い、かな」
男に無理やり引かれていた手首を擦っていると衛は顔を歪めて見せてみろとそっと手を取る。うさぎは声を上げて手を離した。
⑧夕月さん
「ちょっと」そう言うがすぐに衛の顔を見て後悔に変わる。衛から歪んでいた顔から少し悲しい顔になった。
「いやか…」
衛は少し低い声でうさぎに聞いてしまう。「いやじゃないよ。ただ…」

ドキドキしているの…。

うさぎの方も思わず本音を言いそうになり、顔を真っ赤にしてしまう。
⑨みお
うさぎの思いもよらぬ反応に衛は困惑する。
「痛かったか?すまない…」
先程まで怒り、拳に力が入っていた事から痛がっていた腕に無意識に力が入ったのかと申し訳なく思った。
「ううん、そうじゃないの。ただ…」
触れられたら芽生えかけた想いが加速して止められない気がして…。
⑩夕月さん
「ただ…」
衛は困惑しているが、うさぎの気持ちを知りたくなる。前から芽生えていた想いが加速してゆく。でも…
「もう大丈夫か。」
その想いにまた蓋をする。
「うん、大丈夫…です」
彼女は真っ赤な顔のままで言う。
「そうか」
そう言うがやはり気になって、彼女の腕を優しく撫でる。今度は拒まなかった。
⑪みお
今度は拒まれずホッとするが、触れた腕が震えている事に気づく。よく見ると身体全体が震えていて心配になる。先程の事で怖い思いをしたのだろう。もっと早く助けに来ていれば…と後悔する。こんな状態の彼女を放っておけない。
「家まで送ってやる」
もっと一緒にいたいと下心から用心棒を買って出る
⑫みっこさん
どうして?どうしてこんなに優しくしてくれるの?勘違いしちゃうよ。だってこいつが私の事好き、なんてあり得ないのに。
でも、その蒼い瞳に見つめられると胸が勝手に騒ぎ出してしまう。逸らせない。
触れてくれた先から温かくなって不思議と震えも収まってきた。まるで彼から力を分けて貰ったみたいに。



END





☆☆☆☆☆
数日に渡り、140字程度ずつでツリーに繋げていきました。
一つの作品を数人で仕上げていく楽しさに参加できて良かったです♪
主催のみっこさん、ありがとうございましたm(*_ _)m
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