スキお礼SS


①『うたた寝(エンセレ←ヴィ)』


「ん…うぅ~…ん、エンディミオン…」

一日中公務に勉強にと久しぶりに忙しい一日を駆け抜けた我が姫はいつの間にか疲れ果てて勉強しながら机に顔を落とし、寝息を立ててうたた寝を始めていた。
起こそうかと考えたけど、勉強は終わりこの後の予定ももう無いからとマーキュリーの計らいで起こさずそのまま寝かしてあげることにした。
流石にシースルーのドレス1枚では寒いと思い、私の部屋から適当な掛け布団を持って戻ってきてかけてあげようとした所にさっきの寝言だった。
夢の中でまで王子との事を見ているのだと知り、何とも言えない複雑な気持ちになって私の心をザワつかせ、締め付ける。
王子とのどんな夢を見ているの?
その夢の中では幸せで、王子と一生一緒にいられるの?未来はあるの?
そこに私はいるの?

どんなに私が姫を心配して想っていても、それが伝わらないのがもどかしい。
王子がサラッと奪って行く。悔しい!
王子のバカやろう!


END



②『意地悪なキス(まもうさ)』



「たまにはうさからキスしてよ」

まもちゃんに言われた通り私からキスをしようとめいっぱい頑張って背伸びをしてるけど唇にぜんっぜん届かない!
2人とも立ったままで、まもちゃんは屈んでくれようともしなくて、とってもやりずらい。
いつも結構意地悪だけど、今回のは飛び切り意地悪で待ってる間中ずっとドヤ顔で笑ってて、明らかに楽しそう。
私の事をからかってるのが明らかだ。
この身長差がとても歯がゆい。
まもちゃんだって早くキスしたいはずなのに。
分かってるなら少しは屈んでくれたり、顔を近づけてくれたっていいのにこの状況を楽しんでる。

「どうした?早くキスしてくれよ」
「絶対分かってるくせにー意地悪過ぎるよ!」

からかわれて胸をポコポコと叩きながら悲しくなってウルウルと泣きそうになる。
泣きそうな顔を愛おしそうに見つめてくる視線にとろけそうになっていると、涙を拭いながら顔を近づけて来て唇を深く奪われる。

本当にずるい!まもちゃんには一生敵わないなぁ。


END



③『その花の花言葉は幸運(エンセレ)』


幸せになりたいと
地面に這いつくばり
必死になり探す姿は
銀髪を2つにお団子を結い
銀のドレスを身にまとった姿は
月のうさぎそのもの

綺麗なドレスが汚れる事も厭わず
夢中になって草の中をかき分け
探している花の名は
「四つ葉のクローバー」
別名シロツメクサ(白詰草)
花言葉は「幸運」「私のものになって」
葉1枚づつに込められた意味は
「希望」「信仰」「愛情」「幸福」
とても珍しく発生率は1万分の1とも

君が気に入るだろうと話したら
案の定 目を輝かせ「素敵」と一言
見つけにくいものだからと話すも
「平気よ!だからこそ見つけ出したい」
そう言って時間が許す限り探す彼女
案の定、中々見つからない
だけど根気強く探す姿に胸が打たれる

一緒になって探すもやはり中々見つからない
俺たちに未来はない
2人で一緒に幸せにはなれない
“今だけの儚く燃え上がる関係”
そう言われているようでとても胸が締め付けられる
当たり前の事を突き付け嘲笑うかのように
“見つけられるなら見つけてみれば?”
そんな声が聞こえてくる

「やっぱり3つ葉しかないな」
諦めようセレニティ…
声にならない諦めの言葉が出そうになる
だけど必死で探す彼女の姿を見ていると
そんな残酷な提案は軽く出来ず飲み込んだ
俺自身もその言葉を口に出すのが嫌だった
もう二度と彼女に会えない様な気がして…

笑顔で楽しそうに四つ葉のクローバーを
探す君を見ていると心打たれる
そして必ず見つけ出そうと誓いを立てる
しかし無常にも時は過ぎ
彼女が月に帰る時間が迫り来る
彼女と同じ目的で過ごしたこの時間も
またかけがえのない幸せな時間
そう思えば見つからずとも報われる

「あったわ!」
とうとう彼女は“幸福”を手に入れた
「これであなたと幸せになれるわね」
幸せそうな弾ける笑顔で無邪気に言ってみせる
俺も笑顔で答える
彼女のに額に光る三日月マークを見ないふりして
彼女が渡して来たクローバーを
彼女の左手の薬指に巻き付ける

今は未来の事は考えずこの時だけは
永遠の愛を誓いたい
そう願いを込めて


END

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