ステイシスがスライムに補食されるやつ
ホワイト・グリントとの戦闘後、海中に沈んだステイシスはオーメル・サイエンスによって
回収された。
生死も行方も不明となったオッツダルヴァについて上はダンマリだが、何か考えがあるのだろう。
ステイシスだが、……新造したほうが早い程に破壊されていた。
明らかに戦闘による破損ではない、金属部分だけ舐め取るように失われている。
機体のログが回収できたのも奇跡に近い。
解析を進めていくと、暗号化された通信、そしてパイロットであるオッツダルヴァが脱出した形跡があった。
外部から未確認の機体がコアハッチを開け、そのまま回収されたようだ。
問題はその後起動したままのステイシスが残したログ。
悲鳴とも言える大量の警告が残されていた。
ただ水没しただけではない、擦り減る AP の数値から徐々に装甲を溶かされた事が分かる。
証拠隠滅?それならただ回収したほうが早い。こんな地道なことを、しかも海中でやる人間は存在しないだろう。
そもそも人間には不可能、ネクストをこれだけ破壊できる何かが海に存在するということだ。
ぞっとしない。
昔話にでてくるような化け物を想像してしまう。
とにかく、このおぞましいログを読み解くことにしよう。
ハッチが閉じられ、しばらくした後脚部を締め上げる様な圧力がかかった。
機体を飲み込む寸前の化け物の姿がカメラのデータに映る。
瞬時にこちらを覆う金属光沢をもった不定形の粘体。
俗に言うスライム型のモンスター。そんな感じだ。
“それ”は獲物を見定めるように機体を這い、飲み込む。
パイロットの緊急時を想定した自動操縦が起動する。
絡みつく物体を振り払う様にステイシスが藻掻き抵抗するが、一足遅い。
武装は圧力に歪められ役に立たなくなった。
ストレイト・ジャケットを着せられた人間のように腕部も脚部も胴体ごと締め上げられる。
ブースターを吹かせ脱出しようとするが、粘体が詰まったのか大量のエラーが吐き出される。
あまりにも早い動きにコマ送りで見直せば、とろけた金属光沢の中に塗装された破片が覗く。
直感が告げる。こいつはACを喰らう化け物だ。
自分が捕食された様な錯覚に陥り鳥肌が立つ。
ブースターを吹かしたなら少なからずこいつはコジマに暴露したはずだが全く動きが鈍らない。
ステイシスを飲み込み完全に拘束した後、徐々に金属装甲全体の異常が羅列され始めた。
プライマルアーマーなど役に立たなかったのだろう。
消化液でも出しているのか、徐々に関節部分やコア内部をも侵し始めた。
厚みの薄い脚部と腕部は溶かされ、ついには圧力で歪み、アルミ板を握ったようにクシャリとへし折れてしまう。
手足を失ったステイシスはアサルトアーマーを使用したようだがただただ機体が消耗するだけで侵食は止まらない。
コア内部一杯に粘体が雪崩込み内部機構を滅茶苦茶に消化し始めた。
断末魔のようなエラーとパイロットへの警告が遺されている。
ヘッドも押し潰され喰われてしまったのだろう。映像記録はここで途切れていた。
回収されたコアの残骸はシリコン等の樹脂部分しか残されておらず、その内部にあった為にこのデータは無事だった。
さて、これをどう報告したものだろうか。
コジマを克服した生物、これは研究価値がある。
ラインアーク周辺海域にのみ存在するのか、もっと広い生息域を持っているのか。
コジマを克服した生物の仕組みが分かれば更に戦争は続くだろう。
戦争によって消耗した人類は長らく生物の研究を放置してきた。その結果かもしれない。
あの化け物の調査に向かわされるであろう他部署の職員に十字を切り、報告書を書き始める。
回収された。
生死も行方も不明となったオッツダルヴァについて上はダンマリだが、何か考えがあるのだろう。
ステイシスだが、……新造したほうが早い程に破壊されていた。
明らかに戦闘による破損ではない、金属部分だけ舐め取るように失われている。
機体のログが回収できたのも奇跡に近い。
解析を進めていくと、暗号化された通信、そしてパイロットであるオッツダルヴァが脱出した形跡があった。
外部から未確認の機体がコアハッチを開け、そのまま回収されたようだ。
問題はその後起動したままのステイシスが残したログ。
悲鳴とも言える大量の警告が残されていた。
ただ水没しただけではない、擦り減る AP の数値から徐々に装甲を溶かされた事が分かる。
証拠隠滅?それならただ回収したほうが早い。こんな地道なことを、しかも海中でやる人間は存在しないだろう。
そもそも人間には不可能、ネクストをこれだけ破壊できる何かが海に存在するということだ。
ぞっとしない。
昔話にでてくるような化け物を想像してしまう。
とにかく、このおぞましいログを読み解くことにしよう。
ハッチが閉じられ、しばらくした後脚部を締め上げる様な圧力がかかった。
機体を飲み込む寸前の化け物の姿がカメラのデータに映る。
瞬時にこちらを覆う金属光沢をもった不定形の粘体。
俗に言うスライム型のモンスター。そんな感じだ。
“それ”は獲物を見定めるように機体を這い、飲み込む。
パイロットの緊急時を想定した自動操縦が起動する。
絡みつく物体を振り払う様にステイシスが藻掻き抵抗するが、一足遅い。
武装は圧力に歪められ役に立たなくなった。
ストレイト・ジャケットを着せられた人間のように腕部も脚部も胴体ごと締め上げられる。
ブースターを吹かせ脱出しようとするが、粘体が詰まったのか大量のエラーが吐き出される。
あまりにも早い動きにコマ送りで見直せば、とろけた金属光沢の中に塗装された破片が覗く。
直感が告げる。こいつはACを喰らう化け物だ。
自分が捕食された様な錯覚に陥り鳥肌が立つ。
ブースターを吹かしたなら少なからずこいつはコジマに暴露したはずだが全く動きが鈍らない。
ステイシスを飲み込み完全に拘束した後、徐々に金属装甲全体の異常が羅列され始めた。
プライマルアーマーなど役に立たなかったのだろう。
消化液でも出しているのか、徐々に関節部分やコア内部をも侵し始めた。
厚みの薄い脚部と腕部は溶かされ、ついには圧力で歪み、アルミ板を握ったようにクシャリとへし折れてしまう。
手足を失ったステイシスはアサルトアーマーを使用したようだがただただ機体が消耗するだけで侵食は止まらない。
コア内部一杯に粘体が雪崩込み内部機構を滅茶苦茶に消化し始めた。
断末魔のようなエラーとパイロットへの警告が遺されている。
ヘッドも押し潰され喰われてしまったのだろう。映像記録はここで途切れていた。
回収されたコアの残骸はシリコン等の樹脂部分しか残されておらず、その内部にあった為にこのデータは無事だった。
さて、これをどう報告したものだろうか。
コジマを克服した生物、これは研究価値がある。
ラインアーク周辺海域にのみ存在するのか、もっと広い生息域を持っているのか。
コジマを克服した生物の仕組みが分かれば更に戦争は続くだろう。
戦争によって消耗した人類は長らく生物の研究を放置してきた。その結果かもしれない。
あの化け物の調査に向かわされるであろう他部署の職員に十字を切り、報告書を書き始める。
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