怪獣島ツーリズム・延長戦!




と、湖に手を入れてシーサーの行方を探すダガーラの隣に、周辺を見渡していたゴジラ・レッドがやって来た。



ゴジラ・レッド「よう、何してんだ・・・って、水の中を探ってるって事はまさか!?」
ダガーラ「いや、溺れてはいない・・・湖の中から特に気配は感じない。」
ゴジラ・レッド「そ、そうか。ったく、紛らわしい事すんな。」
ダガーラ「すまない。そ、そういえば・・・レッドはどうやって、キングシーサーと結ばれたんだ・・・?」
ゴジラ・レッド「なに?お前、見かけによらず変な質問をするんだな?」
ダガーラ「・・・俺にも、そういう相手がいるんだ・・・」
ゴジラ・レッド「そう言われても、一時的に相棒として過ごしている内にいつの間にかって感じだからな。ただオレとアイツはそうなる運命だった、それだけの話だろ。」
ダガーラ「運命か・・・なら、イシュタルはまさに俺の運命を変えてくれた存在・・・俺も、そんな存在になれるだろうか・・・?」
ゴジラ・レッド「なれるだろうか、じゃない。そんな存在に『なれ』。怪獣の王として、オレはそう思う。お前にも想い人がいるなら余計にな。」
ダガーラ「・・・分かった。ありがとう。参考にしてみる。」


ビオランテ――あの二人、見かけは違えど、愛に生きる怪獣なのは同じなんじゃな。
ダガーラですら、不器用ながらイシュタルに想いを伝えようとしておるのに、それに比べてうちのゴジラと来たら・・・いや、あいつは不器用以前の問題じゃな。
「不老長寿だから」とシンは言っとるが、その想いが報われるのは、いつになるのかのう・・・



ゴジラ・レッド「・・・やっぱ、待ってられるか!オレはもう一度シーサーを探しに行く!アンタ達はここで休んでていい。」
ビオランテ「待つんじゃ。手ぶらで再会しても、ムードも何もなかろう。せめてこれくらいは持っていかんとな。」



立ち上がり、シーサーを探しに行こうとするゴジラ・レッドにビオランテが差し出した物、それは先程見ていた南国風の花であった。
丁寧に摘まれたその花を受け取るゴジラ・レッドの顔は、はたから見ればいつもと変わらない、無愛想にも見える寡黙なものだったが、彼としばらく行動を共にした二人には、ゴジラ・レッドが内心感謝の気持ちで溢れているのが分かった。



ゴジラ・レッド「アンタ、優しいビオランテだな。是非奴に見習わせたい位だよ。ともかくシーサーが見つかりそうになかったら、すぐに戻る。」
ダガーラ「あぁ。ここで待っている。」
ビオランテ「お主まで、迷子にならんようにの~。」



二人に見送られ、ゴジラ・レッドは再びシーサーを探そうと、林の中に入って行った。



ゴジラ・レッド――こんな状況で無ければ、お前とこの島を周りたいんだが・・・何処にいるんだ、シーサー。



ただ彼女を求めるまま、あても無く林をさ迷うゴジラ・レッドだったが、やはりどこにも見つからず、一旦引き返そうとする。
しかしそこで彼はふと、ある物を見つけた。



ゴジラ・レッド「っ!これは、シーサーの髪止め!って事は、アイツはこの近くにいるのか!」



髪止めを拾い、持ち主を一刻も早く見つけんと、辺りを見渡すゴジラ・レッド。
そんな彼に向けて、その目線を釘付けにするくらいの「何か」が、空から降って来た。



ゴジラ・レッド「あ・・・あれは・・・!」



ゴジラ・レッドを襲った「何か」・・・空から伸びる光の柱は瞬く間に彼を飲み込み、それが再び空の彼方へ戻った時には既に、彼の姿は無かった。



ダガーラ「な、何だあの光は・・・?」
ビオランテ「確か、『招待』された客が帰る道だそうじゃ。あの阿呆達も、異界のモスラも・・・それからあやつも、元の世界に帰ったんじゃろうな。」
ダガーラ「しかし、まだシーサーが見つかっていないが・・・」
ビオランテ「今見つかったか、そもそも飛ばされて無かったんじゃろう。次会う時は、彼女と一緒にもっと色々話を聞きたいのう。」



その通り、ゴジラ・レッドが光の道に消えたと同時に、人間界と「‐」世界の怪獣達も元の世界に戻っていた。
そしてゴジラ・レッドがいた場所には、彼が確かにこの世界にいた事を示すかのように、赤い花びらが一片(ひとひら)残っていた。



ダガーラ――・・・行ってしまったか・・・
少ししか話せなかったが・・・俺も行ってみたい。人間と怪獣が、共存し合えた世界に。
そして出来るなら・・・イシュタルと、一緒に・・・
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好釦