集合!絶対無敵最強可憐美女姉妹!
その頃のゴジラ組はと言うと、休憩場のベンチを半分独占し、トークに熱が入っている所であった。
「‐」ゴジラ『そういや、そのモスラたちがたのしそうに話してた「プリキュア」って、なんなんだ?』
バトラ「あれ、知らないのか?最近人間の女の子に大人気の、悪と戦うプリティーでキュートなヒロイン達を?」
ジラ『それ、私も聞いた事あるよ。あんたも中々詳しいんだね?』
バトラ「こんなの、娘のいる父親には当たり前だろ・・・父親ならそれくらいは知っておかないとな?」
そう言うや否や、バトラは「VS」ゴジラのいる方にわざとらしく向き、これまでの暴言の仕返しか、自慢げな表情をそれはそれは嬉しそうに見せつける。
「VS」ゴジラはこの無言の報復に内心苛立ちつつ、同時に「父親」として思う事があった。
「VS」ゴジラ――・・・あいつ、絶対後で消し炭にしてやる・・・
しかし、あいつに賛成するわけじゃないが・・・父親なら、やはり知っておかないといけないものなのか?
「‐」ゴジラ『そっか。おれもまだまだ、いろいろべんきょうしないとな。』
ジラ『・・・そうだ!ここにゴジラも沢山いる事だし、モスラ姉妹に対抗して私達も何かしないかい?』
Jr.「それなら、ゴレンジャイがオススメですよ。」
ラゴス・ゴジラ、呉爾羅、「‐」ゴジラ「「『ゴレンジャイ?』」」
Jr.「プリキュアみたいに、悪に立ち向かうヒーロー達の事。色んな色と個性のヒーローが5人くらいいて、こっちは男の子に大人気なんだ。」
ジラ『なんか、アメリカでやってる「パワーレンジャー」みたいだね。でもそれ、凄くいいじゃないか!じゃあまずは色を決めないと!』
Jr.「俺なら・・・」
呉爾羅「はいはい!俺、朱色だからな!誰にも譲らないからな!」
ラゴス・ゴジラ「オレは紅色!」
「‐」ゴジラ『おれは、オレンジ!』
呉爾羅、ラゴス・ゴジラ、「「さっ、お前はどうなんだ?」」
「VS」ゴジラ「お、俺は・・・マゼンダ。」
ジラ『僕は当然ピンク!ってわけで、五人揃って・・・』
ゴジラ達「「『ゴレンジャイ!』」」
テンションの高さとノリに合わせ、各自バラバラの決めポーズを決めながら名乗りを決めるゴジラ戦隊達。
あの「VS」ゴジラですら、控えめながら腕組みをして混ざっている。
しかし、この結果に納得行かない者がいた。
Jr.「ま、待てよ!おかしいだろ!なんでそんなに赤っぽい色で固まるんだよ!バラバラの色って言っただろ!」
そう、Jr.だ。
元ネタに関してこだわりがあるのか、体中から煙を出しながら今にもメルトダウンを起こさんばかりに、ゴジラ戦隊に向かって激昂する。
呉爾羅「いや、俺は朱色だから赤じゃねーし。」
Jr.「薄いだけで、立派な赤系統だから!」
「‐」ゴジラ『おれ、オレンジって言ったぞ?』
Jr.「オレンジは黄色が混ざった赤だから!」
「VS」ゴジラ「マゼンダは駄目か?」
Jr.「人によってはピンクに見えるけどそれも赤系統だから、父さん!」
ジラ『僕、ピンクだけど?』
Jr.「・・・それはいいです。」
ラゴス・ゴジラ「いいじゃん、ちょっとくらい被ってたって。紅色ってなんかヒーローっぽいし!」
Jr.「良くないから!ちびっ子は見た目だから!」
呉爾羅「仕方ねぇなぁ。じゃあ、丹色でいい?」
Jr.「それも結局赤だから!」
ラゴス・ゴジラ「あっ、もしかして紅色はJr.がやりたかったのか?なら、オレ緋色に変えるけど。」
Jr.「それも一理あ・・・いやいや、だから赤系統なのが問題だから!」
ジラ『1人1人の個性があれば、見た目は関係ないと思うけどねぇ。被ってるならそこは努力でなんとかすればいいじゃないか。』
Jr.「いい事言ってるけど今はそんなのどうでもいいから!」
「VS」ゴジラ「それに、偽物のお前が言っても説得力に欠ける。」
ジラ『お、親子揃って酷いっ!』
「‐」ゴジラ『Jr.、お前はどうしたいんだよ?』
Jr.「だから俺は1人1人が違う色じゃないとってだけで・・・」
機龍「まぁまぁ、落ち着いて。Jr.。言ってる事は分かるけど、その前にちょっと頭を冷やそうか。なんなら俺のアブソリュート・ゼロでも・・・」
Jr.「頭冷めたからいい。」
胸元で冷気の結晶を作り始めた機龍に静止され、正気に戻ったJr.は即座に機龍の提案を断った。
ちなみにJr.の言う「ゴレンジャイ」も実は間違っており、本当は「ゴレンジャー」が正しい名前で、ゴレンジャイはかつて放送されていたとあるコント番組における、ゴレンジャーのパロディコーナーの事である。
更に蛇足ながら、ジラの言っていた「パワーレンジャー」はゴレンジャーから始まる「スーパー戦隊シリーズ」を海外向けにリメイクした作品である。
しかしながら、人間の文化にそこまで精通している者はいないので、面々がこの事実を知る事は無いのだが。