集合!絶対無敵最強可憐美女姉妹!







一方、湖をただ見つめながら待ち人・ダガーラはイシュタルを待っていた。
かつては自分を「失敗作」と罵った人間全てを敵視する海魔獣としてイシュタルと戦った身であるが、ナイチンゲール症候群とでも言うべきか、今や自分を救ってくれたイシュタルへの恋心に取り付かれた、ただの不器用な男になっていた。



ダガーラ――・・・時間か。
イシュタル・・・来てくれるだろうか?
いや、あいつも守護神として忙しいんだ。
来なくても責めずにまた、誘って貰うのを待てば・・・


イシュタル「ダガーラ!」
ダガーラ「!」


ダガーラ――や・・・
やはり、可愛い・・・!



イシュタルを見た途端、まるで熱湯に入った後の様に顔を真っ赤にするダガーラ。
慌てて自分の顔をイシュタルに見られないよう、右手で顔を覆いながらダガーラは下を向く。



イシュタル「ごめんね、お母さんやお客さんと話しちゃって。もっと早めに来る予定だったんだけど・・・どうしたの?」
ダガーラ「い、いや。何でも無い・・・」
イシュタル「・・・?もしかして、待たせちゃった?どれだけ待ってたの?」
ダガーラ「俺もさっき、来たばかりだから・・・大丈夫だ。」


ダガーラ――本当は、1時間前からここに来ていたが・・・


イシュタル「とりあえず、あそこに座りましょ。」
ダガーラ「あ、あぁ。」



ややぎこちなく、花壇の石段に座る二人。
しかし、それから二人の間に何故か会話が起こらなくなった。



イシュタル「・・・」
ダガーラ「・・・」



言葉を介す事無く、沈黙が続く。
ダガーラはイシュタルが自身に対して好意を持っている事は気付いているものの、それを態度や言葉に出す手段を持てずにおり、イシュタルはそもそも自分が持っているダガーラへの気持ちが「恋」である事にすら気付いていない。
そう、二人の感情は図らずもすれ違いのような状態になっていた。



イシュタル「・・・お花、いつもより綺麗ね。今日はビオランテさんの気分がいいのかな?」
ダガーラ「そ、そうだろうな・・・俺は気付けなかったのに、イシュタルは凄いな。」
イシュタル「そう?ありがとう。」



先にイシュタルが話し掛けたが、どうも会話が続かない。
ダガーラは上手く彼女と話せない自分へ対し、激しいもどかしさを感じていた。



ダガーラ――何をしているんだ、俺は・・・
きっとイシュタルは、俺からの会話を待ってる筈なんだ・・・きっとそうだ。
だから、さっきから黙って・・・


イシュタル「あっ、そういえばこの前のチョコ、どうだった?」
ダガーラ「え、えっと、その・・・お、美味しかった。こう・・・弾けるみたいな。」
イシュタル「弾ける?」
ダガーラ「だ、だから、また頼む。」
イシュタル「うん。来年のバレンタインになったら、必ず作るわね。」
ダガーラ「あぁ。また、楽しみにしている・・・」


ダガーラ――・・・駄目だ!早く何か、話をしなければ!
しかし、イシュタルに何を話せばいいんだ?
チョコの話はもうしてしまったし、イシュタルが好きな話なんて俺には分からない。
・・・どうすればいい、俺は・・・
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好釦