ラゴス島の主を求めて・・・
顔を上げた途端、何故か驚きの表情を見せる呉爾羅。
しかも呉爾羅だけでなく、最珠羅も全く同じ顔をしていた。
ラゴス・ゴジラ「おい、どうしたんだ?」
「‐」モスラ『最珠羅までそんな顔をして、何があったのです?』
???「ちょっと!早く離しなさいよ!」
???「・・・zzz」
呉爾羅「ぎ、魏怒羅!」
最珠羅「婆羅護吽!」
彼らの前には、罠に掛かって木に逆さ吊りにされた二人の男女がいた。
短い裾の襦袢に藍色の羽織を着た、頭頂部の大きな一本の毛・・・所謂「アホ毛」が特徴的な赤髪の少女と、どうしてか吊されたまま眠りについている、例えるなら飛鳥時代の衣装のような緑と白の着物を身に付けた、金寄りの茶髪セミロングの青年。
少女にはタイガーアイ、青年には白水晶の勾玉が額に付いており、それは二人が最珠羅と似た存在である何よりの証拠であった。
そう、この二人が呉爾羅・最珠羅の仲間である護国聖獣、婆羅護吽と魏怒羅だ。
婆羅護吽「呉爾羅、最珠羅!来てくれたんだね!」
呉爾羅「二人とも大丈夫か!尻子玉が逆になってたりしてねぇか!」
婆羅護吽「そんなのあるわけないだろ~!いいから早く降ろして~!」
最珠羅「この二人は私の連れの仲間だ。離してやってくれ。」
初代ゴジラ「・・・分かった。だが、あの寝ている奴は起こしてからの方がいいか?」
魏怒羅「うぅ~ん・・・アブラ、カタブラ・・・」
最珠羅「いや、遠慮なくそのまま。」
初代ゴジラによって二人は木から降ろされ、婆羅護吽は吊されながらも短めのスカートを押さえていた両手を上げて背伸びをし、魏怒羅は降ろされた衝撃でようやくその目を開く。
婆羅護吽「ん~っ、んっ!もう少しで頭に血が登りきる所だった・・・」
魏怒羅「・・・ん、呉爾羅に最珠羅。早く出たのに遅いな。迷ってたのか?」
最珠羅「迷ってたのは、お前と婆羅護吽の方だろう・・・」
ラゴス・ゴジラ「呉爾羅、この二人は?」
呉爾羅「俺と最珠羅の仲間だ。ちっちゃいのが婆羅護吽で、のっぽが魏怒羅。」
婆羅護吽「ちっちゃいのって、もっといい言い方してよ、呉爾羅・・・」
「‐」モスラ『初めまして、可愛らしい貴女。わたくしは別世界から来た「最珠羅」ですわ。』
婆羅護吽「はい、宜しくお願い・・・って、か、可愛らしい!?」
シン「あたしはシン!あたしもまた違う世界のモスラなんだ☆それにしても、なんだかあたしの娘みたいで可愛いわ~♪」
婆羅護吽「か、可愛いなんて・・・そんな事ないですからっ!断じて無いですよ!」
呉爾羅「おっ、婆羅護吽の顔がゆでタコみたいに赤いな?ゆ~で、ゆでタコラ~♪」
婆羅護吽「えっ、そ、そう?やだな~、頭に血がまだ登ってるのかな?」
ラゴス・ゴジラ「えっ、とりあえず女の子って可愛いって言われたら嬉しいんだろ?」
シン「ゴジラは黙ってて。乙女心って言うのは、ゴジラが思ってるより複雑なの。」
スペース「コンプレックスからかは分からないが、自身の容姿については素直に受け止められない様子だな。」
「‐」モスラ『婆羅護吽ちゃんみたいな娘を、わたくしの世界の若者は何か別の言い方で呼んでいましたわね・・・えっと、確かツン・・・』
呉爾羅「ツンドラ!ツーカー!」
魏怒羅「・・・つんく?」
最珠羅――最近の人間文化はあまり知らないが、呉爾羅と魏怒羅が絶対に違うのは分かる・・・
「‐」モスラ『まぁ、そうしている婆羅護吽ちゃんも、やっぱり可愛いですわよ。』
婆羅護吽「ま、また、私の事を可愛いって・・・私だって、『くに』を守る由緒正しき聖獣なのに・・・もう。」