ラゴス島の主を求めて・・・




「‐」モスラ『そういえば、今回会いに行く「ラゴス島の主」は以前わたくしとその仲間が異次元に迷い込んだ時に、同じ場所に迷い込んだ「後にこの世界に現れるゴジラ」となる者らしいのですが・・・』
呉爾羅「えっ!本当か!?」
最珠羅「いや、よく考えるんだ。後の世に現れるゴジラとなると、あいつしかいない。」
呉爾羅「あっ、あのムッツリゴジラか・・・喋った事ないけどなんかムッツリしてて苦手なんだよな、あいつ。だってムッツリだし。」
最珠羅「ムッツリムッツリと、くどいぞ。」
「‐」モスラ『まぁ、そのムッツ・・・ゴジラがまだ恐竜だった頃、この島にいたと封筒に書いてありまして、なので・・・』



「‐」モスラが最後まで言い終わる前に突如、最珠羅は素早く右手を横に突き出し、「‐」モスラの動きを静止した。



「‐」モスラ『えっ、ちょっと何を・・・』
最珠羅「早く後ろに避けるんだ!呉爾羅も!」
呉爾羅「へっ!?う、後ろ?」



突然の最珠羅の行動に二人はうろたえるが、最珠羅の表情は凄まじいまでに険しいものになっていた。
そしてその理由を、二人はすぐ知る事になる。



???「・・・死ねぇ!」



刹那、風を切る音と共に聞こえて来る、殺意の掛け声。
それは三人の真上から聞こえ、見上げたそこには刀を振りかざしてこちらへ飛び降りて来る、一人の影があった。



呉爾羅「う、うおあっ!」
「‐」モスラ『きゃあっ!』



最珠羅が察知した影の正体を確認した二人は全力で背後へ跳ね飛び、最珠羅も一閃の届かない範囲まで下がる。
影はそのまま土埃を軽く舞わせながら着陸するも、直ぐ様姿勢を低くして最珠羅への距離を詰めに行った。



最珠羅「くっ・・・」
呉爾羅「こんにゃろ・・・!」



迫る影に対し、最珠羅が動く前に後ろの呉爾羅が動いた。
マントの中の両手を前に出し、その手を燃える炎のような白光に包み、突き出る刀を受け止めた。



最珠羅「呉爾羅!」
「‐」モスラ『な、なんと無茶な事を・・・』
???「くっ・・・」



まさしく真剣白刃取りの格好となり、素早さで目視出来なかった影の動きも抑えられていた。
歌舞伎、もしくは神楽を舞う者が着ているような真っ白の着物に、後ろで一つにまとめられた深い黒の長髪。
そして、何者をも睨む鋭い黒の瞳を持った男。



呉爾羅「こ、こいつ、かぶいてる!」
???「離せ・・・!」



呉爾羅の気が緩んだ隙に男は刀を持つ手を力ずくで後ろに引き、呉爾羅の手の拘束を解く。
それと同時に男は後方へ跳躍して距離を取るが、まだ刀と目の奥の殺意を仕舞ってはいない。



???「また現れたな、不審者め・・・!このラゴス島に何度も無断で侵入するとは、貴様らもいい度胸だな?」
最珠羅「私達は正式な招待を受け、この島にいると言う『ラゴス島の主』に会いに来たんだ。」
「‐」モスラ『ですから、わたくし達な不審者などではありませんわ!』
???「そう言えば何度も通用すると思うな。お前達の目的が『あいつ』なのは分かった。だが、だからこそ貴様らを安易に通すわけにはいかない!部外者がこの島に何度も足を踏み入れるな!」
呉爾羅「わけが分かんねえのはこっちだ!俺は『あいつ』に会いに来ただけなんだ!」
最珠羅「お前こそ訳の分からない事を言うな!何を勘違いしてるのかは分からないが、このままでは私達が危険だ・・・ひとまず、奴を黙らせるぞ!」



呉爾羅の隣に立った最珠羅は額の勾玉を蒼く光らせ、呉爾羅と同じようにその手をたゆたう海面のような光に包む。
更にその隣に、「‐」モスラが立った。



「‐」モスラ『わたくしも加勢致しますわ。』
最珠羅「君、闘えるのか?」
「‐」モスラ『仮にもモスラ一族のわたくしを、馬鹿にしないで下さらないこと?これでも、元の世界では「世界を救う三大怪獣」の一体ですのよ?』



そう言うと「‐」モスラは羽衣を赤色に変化させ、両手に小型の弓の様な武器を出現させる。
今の彼女は幾つもの形態変化の内の一つ、「ファイヤー」体になっているのだ。



呉爾羅「うおおぉーっ!すっげぇーな、モスラ!ずっと白とか地味だって思ってたし、俺もやりてぇー!」
最珠羅「こら、油断するな呉爾羅!」
???「やる気か・・・だが、何人来ようとただ斬るのみ・・・!」
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好釦