Pray
ルンフイ『王・・・しばしのゆうよを。わたくしも「成体」となり、ともにたたかいます。』
ダゴン『・・・そなたの「王」は、他にいる筈。息子を、頼んだぞ。』
ルンフイ『・・・しょうち、しました・・・!』
しばらくして、王たるダゴン様からそう言われた時、私の中に主従と違う思いが生まれた。
守りたい?大切にしたい?いなくなって欲しくない・・・?
いや、ずっと一緒にいたい。死んで欲しくない。愛しい・・・
私はようやく、輪廻の輪の中で感じた感情が何なのか・・・私の王に会いたくて仕方なくなった理由は何故なのか、それが分かった。
ルンフイ『では、いきましょう。わたくしの・・・さいあいの・・・』
レジェンド『?』
ルンフイ『な、なんでもありません!いきますよ、わたくしのきんぐ!』
私は、王を愛しているのだと。
それから私は転生を重ねながら、王の成長を見届け続け・・・
レジェンド『・・・ルンフイ、己への敬語をやめてくれ。』
ルンフイ『えっ?』
レジェンド『・・・お前が、マルギルと話しているのを偶然見た。本来の、砕けた話し方をするお前の姿が、衝撃にも近かった。正直・・・あの感覚は苦手だ。』
ルンフイ『で、では・・・あなたへも、普段の喋り方をすれば宜しいのですか?』
レジェンド『・・・頼む。』
ルンフイ『・・・分かった、わ。あなたがそう言うなら・・・だから、これからも宜しくね?私の王。』
レジェンド『・・・あぁ。』
王からの頼みで、あえて敬語を使う事を止めたりしつつ、巨神(タイタンズ)の眠りの時が来るまで、私は王に寄り添い続けた。
それから何度かの王がいない時代を経て、王が再び地上に降り立っている今の世に私は「生まれた」。
辺りを見たら、前の生の時に私を崇拝していた筈の人間達が私を閉じ込め、怯え、支配しようとしていたのが伝わり、動転して暴れてしまった。
そんな私を抑えてくれたのは、何処か懐かしくも不穏さも感じる「音」と、二人の女性の親子・・・その内の一人、恐らく母親が「偽りの王」達を目覚めさせたと知った時は愕然としたけど、もう一人の娘・・・私の王を「偽りの王」達の元に導いた、勇気ある人間の彼女だけは守り通しながら、王に反旗を翻したカロルに「罰」を与えた。
『・・・だから、今は・・・またね。
私の、最愛なる王(キング)。』
そして、私はギドラ達から王を守る為・・・再び、その命を捧げた。
私は「天上」に戻り、もう顔見知りを越えた関係になった土御門と、途中から会うようになった、先代のコング族の魂と一つになって「先代の加護」となり、私と違った形の「不死」の存在として、この世界を異世界よりの侵略から守りながら見つめ続けている、「レガシィコング」と名を変えたあのアルビノのコング族、キコと会った。
レガシィ『グッドモ~ニング♪ルンルン様☆今回の怪獣生も、ゴクロー様でした~♪』
ルンフイ『久しぶり、キコ。それと・・・あなたとは何度目の再会になるのかしら?土御門。』
土御門『1961度目だ。今回は特に短命だったな。』
ルンフイ『でも・・・心から生きていて良かったと思えた生だったわ。だから今すぐ、輪廻の輪に連れて行って。』
レガシィ『あれれ?ボクちゃんとここで会うようになったくらいから鈍行列車な輪廻コースだったのに、今回は特急列車な感じなんだねぇ?』
ルンフイ『キコと会うようになってからは、王は眠りに付いていたから。けれど、今は違う。王はきっと、私の再誕を待っている・・・だからこそ、ギドラ達と戦う前に私は中国に再び卵を残しておいたの。王が、すぐ分かるように。』
レガシィ『相変わらず、貴女様は熱狂的なレジェっちマニアですねぇ~。まっ、貴女様を「招待」に連れて行った時の他のみんなの反応は、ボクちゃんも楽しみだからね♪まさか、あの硬派を地で行くレジェっちに数億年前の前前前世から約束した恋人がいたなんて!まさか、まだこの世界にモスラ族がいたなんてっ!まさか、レジェっちに先を越されるなんて・・・っ!みたいな☆』
ルンフイ『「招待」?』
レガシィ『ボクちゃんが最近始めた、異世界の怪獣達との交流の事さ。ぶっちゃけるとボクちゃんはその主催者・・・「招待主」の一人で、レジェっちも既に「招待」済みだよん♪あれ・・・?でもレジェっち、確かアンバーって言う異世界のヤマトナデシコなバラン族の女子に目移りしてたような・・・?』
ルンフイ『・・・じゃあその「招待」に参加して、そのアンバーと言うバラン族について問うて、出来れば会う為にも・・・早く王の元に戻らないといけないわね?』
レガシィ『おおっ、ルンルン様がちょっとこわ~い!』
土御門『だが、お主が「招待」に参加出来るかどうかは、この後のレガシィコング次第だ。レガシィコングはギドラ達の復活と同時に、髑髏島の「先代の加護」を意図的に解いた疑いがある。その辺りの質疑応答次第では、招待主として今後活動させるのかは不明瞭だからな。』
レガシィ『そ、それはガッテン承知の助だよ~!ツッチー様~♪』
土御門『ツッチーと呼ぶな。その渾名は妙に腹が立つ。』
ルンフイ『分かったわ。どちらにしても、私は早く王の元に戻らないといけない・・・さぁ、私を輪廻の輪に連れて行って。』
土御門『承知した・・・お主に、良き来世があらん事を。』
・・・これは、私の祈り(Pray)。
本当は教えて欲しい。
何が必要で、何が足りないのかを。
・・・それでも、あなたは一人で歩くだろう。
「何もいらない」、と強がるように。
あなたの胸の奥で、どんな本音が揺らいでせめぎ合っているのか・・・知る由も無い。
言う必要も無い・・・それは、あなただけのものだから。
でも、だとしても・・・私はあなたに、光を手渡す。
あなたが本当に、「何もいらない」。
そう言える日が来るまで・・・
だから、今は・・・私は祈る。
あなたと歩いて行く、その日が来るまで・・・
レジェンド『・・・今度の暇は、短かったな。』
ルンフイ『・・・はい。こうしてあなたが、すぐにきてくださるきがしましたので・・・
ただいま、もどりました。わたしの・・・きんぐ。』
レジェンド『・・・おかえり。ルンフイ。』
その日・・・
私はこの世に生まれ出で、
私の最愛の王に迎えられ、
私の「祈り」は、届いた。