Pray







人智の及ばない激闘が続き、レジェンドがギドラ達に追い詰められて行く中、ルンフイもカロルの猛攻に深く傷付けられながら・・・僅かな隙を突き、ルンフイの全身全霊を賭けた必殺の毒針が、カロルの首元を貫いた。



カロル『・・・!?
なんで、だ・・・ちき、しょう・・・!!』
ルンフイ『・・・許しは乞わない。「偽りの王」の片腕になってしまった、あなたに・・・今は眠りなさい、カロル。』



そのままルンフイは満身創痍の体を圧して「王」を・・・レジェンドを助けんとギドラ達に特攻し、消滅。
ルンフイが残した鱗粉はレジェンドの中の核弾頭を抑制したが、ルンフイの死はレジェンド自身に抑えきれない激怒と、真の「力」を与えた。
その怒りが、力が、「祈り」が、レジェンドの全身を灼熱に染め上げ・・・






シューニャ『ドゥッカと・・・アニトヤの・・・仇をォッ!!』
レジェンド『・・・地獄へ落ちろ、「偽りの王」・・・!業魔、灰塵ッ!!』
シューニャ『うがあああああああああッ!!キィ、サァ、マァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』



まるで太陽の如く燃えた、レジェンドの灼熱の行進(ヒートウォーク)が、ボストンごとギドラ達をこの世に一片も残す事無く、消し去った。






ベヒーモス『あなたが「真の王」か?』
ヒオニ『ギドラが、「偽りの王」達がいない?では、 貴方が本当に・・・「真の王」になったと言う事ですの?』
バーブ(ニュー・ムートー)『よりにもよって同族の、プライム様の仇が・・・!』
メトシェラ『王座決定戦は既に、終わってしまっていたのか・・・』



「偽りの王」達が廃された直後、「号令」を受けて「偽りの王」達に加勢する、もしくは自身が「王」になる為、ボストンへ向かっていたタイタンズ・・・ヒオニとメトシェラに加え、「深緑の大幻獣」ことベヒーモスと、「新たなる王の寄生獣」こと新種のムートーであるバーブがいち早く、レジェンドの元に到着。
レジェンドが真の「王」になった事を、即座に察した。



カロル『はっ・・・!?
オレ・・・生きてる・・・?』



また、ルンフイの慈悲によって一命をとりとめていたカロルも意識を取り戻し、洗脳が解けた彼は真の「王」たるレジェンドの元にどのタイタンズよりも早く跪き、必死に許しを請うた。



レジェンド『・・・何か用か?』
カロル『あ・・・と・・・す、すみませんでしたっ!!「偽りの王」に味方した事、王と敵対してしまった事、結果貴方や女王を傷付けてしまった事・・・!』
レジェンド『・・・』
カロル『謝って済む問題じゃ無い事は、承知してます・・・言い訳に聞こえるかもしれませんが、あの時の自分は・・・自分でも、どうしようもなく・・・て・・・』
レジェンド『・・・』



自分自身でも情けなく、惨めで憐れに思いながらも、生きる為に嘘の無い心からの言葉を「王」に伝えるカロル。
そんなカロルに「王」は右手を向けながら黙々と近付き、その凄みと自分の行為の後ろめたさからカロルは怯えながら逃げる事も出来ず、「王」からの報復を・・・「死」を覚悟した。



カロル『ひっ・・・!!』


ーー死にたくねぇ・・・怖い・・・逃げてぇ・・・!
でも・・・それは出来ねぇ・・・!
オレにも、タイタンズとしての誇りと・・・責任がある・・・
だから・・・オレは・・・ッ!!



レジェンド『・・・ふん。』
カロル『イッ、テェェ!!』



・・・が、「王」がカロルに下した「罰」は、額へのデコピン一発だけであった。
素の指圧の高さからのそれなりの痛みにカロルは悶打ちつつ、同時にそれだけで済んだ事に疑問を感じる。



カロル『・・・えっ?』
レジェンド『・・・己は一度、奴らに敗けた。勝者に従うのは、生きて行く上での道理だ。』
カロル『・・・』
レジェンド『・・・お前は、間違っていない。だから、己に赦しなど乞わなくていい。』
カロル『・・・!!
ありがと・・・ます・・・ッ!』



寛大な「王」の、レジェンドからの赦しの言葉に、自分が此処に居ていい・・・生きていい事を悟ったカロルは咽び泣き、詰まり気味の謝罪の言葉を言いながら頭(こうべ)を深々と下げ、服従と感謝の意をレジェンドに示した。



ベヒーモス、ヒオニ、バーブ、メトシェラ『『『・・・』』』



ヒオニ達、それに髑髏島よりの逃亡者である小さな凶鳥・リーフウィング達もまた、カロルに続けて服従のポーズを取り、レジェンドに恭順の意を表す。
もはや「偽りの王」達と「女王」がこの世界にいない今のレジェンドは、巨神達(タイタンズ)にすら誰も拮抗出来る者がいない・・・唯一の例外を挙げるならば「髑髏島の巨神」しかいないであろう程の、圧倒的過ぎる存在と化していたのだ。



レジェンド『・・・己と共に来い、タイタンズよ。
己こそが・・・真の「王」だ。』



これこそが、「キング・オブ・モンスターズ」誕生の瞬間である・・・
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好釦