Pray












ーーさあ、目覚めよ・・・地球の巨神達(タイタンズ)。



ーー我らがこの地球の王となった。



ーー我らの声を聴け。



ーーそして、狩りを始めろ・・・!






約半年前、「人間は環境破壊ばかりしている地球の癌細胞であり、これ以上の環境破壊を防ぐ為に自然を戻す力を持つタイタンズに、地球の支配権を返すべきではないか?」と言う意見を持った過激思想の人間達により、モナークの監視の元に眠りに付いていたタイタンズを続々と目覚めさせる計画が実行され、手始めに南極に眠る「モンスター・ゼロ」と呼ばれる怪獣が復活した。
だが、「モンスター・ゼロ」の正体は宇宙から太古の地球に飛来した「異端の外来種」にして、かつて地球全土を壊滅の危機に追いやり、古代人が「竜・ドラゴン」と言う間接的な伝承でしか伝えなかった程に恐れた「偽りの王」・・・「一つにして無数」の意味を持つ名を冠する者・ギドラであった。



『あははっ☆すごーい!タイタンズみ~んな、おれらのフレンズになったみたいだよ?おもしろ~い!』
『・・・いや、コング族の最後の生き残りだけは拒否してやがる。どうするんだ、兄貴?』
『面白い奴だ、気に入った・・・殺すのは最後にしてやる。』



ギドラが他の怪獣と違う点は、オリジナルが三つ首の龍である事からか、人間体になると三人の兄弟の姿を取る事であった。
インドの僧が着る袈裟服のような黄色の服、左右が横に跳ねた金糸雀(カナリア)色のショートヘア、見る者の戦意を奪う鋭い橙の瞳、そして兄弟愛を持ちながら自分達以外の全てを見下す「偽りの王」に相応しい傲慢な思想は共通していたが、兄弟それぞれが違う個性を持っていた。



シューニャ『不様だな、「炎の悪魔」のカロルとやら?悪魔と呼ばれて満足しているお前如きが、俺達兄弟に勝てるとでも思ったのか?』



ギドラ兄弟長男、最も冷酷な眼差しと強大なオーラを持った、オリジナルの二又の尾に似た腰までのツーテールと毛先がウェーブがかった長めの前髪の「シューニャ」。



ドゥッカ『だが、そんなオマエでも邪魔な人間共や虫女の露払いとしてはお似合いだな?今のオマエにはオレらに忠誠を誓い、駒になるしか道はねぇんだよ。なぁ、カロル?』



ギドラ兄弟次男、短い左側の前髪と眉毛がかつてのシューニャへの反乱にして、現在の忠義の証である、袈裟服の左側を出して常に眉間に皺を寄せた好戦的な「ドゥッカ」。



アニトヤ『だってさ、カロルくん?今日からキミは、おれ達のペットだよ♪ほらほら、ペットはもっと頭を下げなきゃ~?ご主人様の命令だぞ~?』



ギドラ兄弟三男、ドゥッカとは逆に袈裟服の右側を出し、一番短い前髪に見開いた目が無邪気さと幼さを感じさせつつ、その実兄弟の中で一番の邪悪さ・・・子供故の残酷性を持つ「アニトヤ」。
彼ら「ギドラ兄弟」の復活を察知したレジェンドは南極に向かい、地球の均衡を保つ為に億年の因縁浅はからぬ宿敵でもあるギドラ達と対峙するが、強大過ぎる力を持つギドラ達にはレジェンドですら実力が数歩及ばずに取り逃がし・・・



レジェンド『・・・!!』



メキシコでの二戦目で、有利な海中戦に持ち込む事でレジェンドはアニトヤを倒す事に成功するも、突如米軍が差し向けた禁断の破壊兵器「オキシジェン・デストロイヤー」を受け、レジェンドは戦闘不能に追い込まれてしまう。



シューニャ「全く、手間を掛けさせるな・・・ニト。」
ドゥッカ「次またやられたら、オレも兄貴もオマエの再生を手伝わねぇからな?」
アニトヤ「ごめんねー?シュー兄ちゃん。ドゥ兄。よい、しょっと・・・はい!ニトちゃん、ふっか~つ!!」



一方で「外来種」と呼ばれる最大の理由である、自然の理から逸脱した凄まじい再生力を持つギドラ達にとってオキシジェン・デストロイヤーは致命傷にもならず、レジェンドに倒された(首を取られた)アニトヤは瞬く間に再生。
過激派集団によってギドラ達と同じ目的で眠りを覚まされたカロルはモナークの誘導でギドラ達に挑むも、敢えなく敗北。
カロルは保身の為にギドラ達への服従を強いられ、ギドラ達はカロルが支配していた地であるイスラ・デ・マーラの火山を占拠し、彼らを「偽りの王」たらしめる強制支配能力を発揮。
目の前で跪くカロルには、彼の名前を呼ぶ事で「命令」と言う名の強力な洗脳を施し、自らの駒とした。





狩れ・・・



カロルーーチッ・・・!
なんで、オレがこんな奴らに服従しなきゃ、 いけねぇ・・・んだ・・・
オレの、意思が・・・消えて・・・く・・・ッ!
チ、キ、ショ・・・ウ・・・!!






また、世界中で眠るタイタンズには強制力は低いが世界中にまで届く広範囲の強制支配能力「号令」を掛け、タイタンズを一斉に覚醒させると同時に、タイタンズの脳裏に残る自らへの恐怖によって彼らの行動を支配した。






狩れ・・・



メトシェラ『実に、不愉快な目覚めだ・・・』



「長命の山獣」の異名を持つこのメトシェラを筆頭に「号令」によって目覚めた、十七体の巨神達ーー髑髏島の王者を除くーーは本能が告げる恐怖からギドラ達の「号令」に逆らえず、世界中で破壊活動を始めながらギドラによる地球の支配の邪魔をする人間達と、辛くも逃げ去った堕ちた王・・・レジェンドを「狩る」為に動いていた。
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好釦