Pray




レジェンドの口から告げられた、彼の「頼み」。
しかしそれを聞くや、余裕あるレガシィの笑顔が引きつり、眉間に一瞬だけ皺が寄り、急に冷や汗を掻き始め、一気におどおどしい感じになった。



レガシィ『・・・いやぁ、あの~、それってさ・・・逃走犯が自分から警察に自首しに行くようなもんなんだけど・・・?だからさ、他の頼みにしない?ほら、タイタンズといつでも連絡したいならスマホとかいるだろうし、全員分のスマホを用意する事くらい・・・』
レジェンド「・・・これ以外に、望みは無い。」
カロル「自業自得だろ。ってか謝るにしても自首するにしても、タイミング逃したらいつまでも出来ねぇんだぞ?」
レガシィ『ギドラ共にイキって挑んでボロ負けして、あいつらなんかに頭下げて配下になって、ルンルン様にあんな事やこんな事をしでかしたごますり君が言うと、説得力アリアリだねぇ~?』
カロル「誰がイキりごまちゃんだぁ!?アザラシみたいな呼び方に、誤解を生む言い方しやがって!こう見えてオレはな、人間共から『炎の悪魔』って恐れられてる立派なタイタンズなんだよ!燃やすぞ!」
ルンフイ「ごまちゃんなんて言っていないわよ、カロル。それよりこの頼みは、この世界だとあなたにしか頼めないのよね?だからお願い、キコ。自首する覚悟でやって?」
レガシィ『全く、ルンルン様も色々と気軽におっしゃいますねぇ・・・まぁ、別に「キコ」だった頃のボクちゃんを知ってる唯一のヒトにして、「キコ」呼びを特別に許してる旧知のヒトからの頼みだし・・・母蘇羅たんがボクちゃんの味方だから、ビオちゃん以外はどうにかなるなる、ケセラセラ?ボクちゃんもレジェっちにはお返しはしないとって思って・・・』
愛美華「私を呼んだかしら?」



と、そこに歩み寄って来たのはビオランテ・・・と言っても、レガシィの言うビオランテではなく、この世界のビオランテである愛美華であった。
薔薇の刺繍が入ったエコバックを右手に下げ、怪獣達の中でも上位に位置する強者揃いのタイタンズ相手にも全く臆する事なく、愛美華はさらりと会話に混ざる。



レガシィ『おっ、誰かと思えば呼んでは無いけど呼ばれて飛び出てエミーちゃんじゃないか~♪チョリチョリチョリースッ♪』
愛美華「こんにちは。レガシィさんにレジェンドさん、ルンフイさんに・・・チンピラドンさん?」
カロル「何でオレだけ変なアダ名なんだよ!つうか、あんたがヒオニが言ってた、最近出来た女怪獣友達だな?」
レジェンド「・・・また、気配を消して来たのか。」
ルンフイ「あなた、今日はヒオニと買い物に行くって聞いていたけれど、どうしてここへ来たの?」
愛美華「それが、ヒオニちゃんったら買い物の途中に観光客に写真撮られまくって、それに応えている間にレリゴーしちゃって・・・それでお暇になったから、日本に帰る最中に貴方達を見掛けたから、こっそり様子見してたってわけ♪」
カロル「アナ雪かよ。確かにあいつとエルサは似てるって思った事は多々あったけどよ。」
レガシィ『それで、この流れはエミーちゃんも飛び入り参加する感じ?』
愛美華「ええ。なにせ、あのレジェンドさんがやっと正しい恋に目覚めたみたいだから、昔ちょっとその件で困らされた私としては、この後の事を見届けたいって思って。ご一緒しても、いいかしら?」
レジェンド「・・・構わない。」
ルンフイ「私も大丈夫よ。」
カロル「オレはなんか気にくわねぇけど、王と女王がいいって言うなら逆らわねぇよ。」
愛美華「ありがとう。じゃあ、お邪魔させて貰うわね。」
レガシィ『・・・まっ、どうせ実質「招待」になるんなら100人行っても、だいじょーブイ!これはきっと、逃走中もここらが潮時って事なのかなぁ?シオシオの、パー・・・それかもしくは、今もボクちゃんを待ってくれてる母蘇羅たんからの、見えない思し召しなのかな?
じゃあ、ボクちゃん・・・ちょっと、自首してくるね?』



何かを思い出したのか、「頼み」を聞いた時に比べて少し吹っ切れたような様子でレガシィコングは緑色の粒子へと変わり、そのまま空の彼方の「天上」へ向かって行った。



愛美華「自首?レガシィさん、何か犯罪でもしたの?」
レジェンド「・・・言葉の文(あや)だ。ある意味、今の奴は罪を犯しているのかもしれないが。」
カロル「逃亡者なのは確かだからな。あの『土御門』が卵の中にいた女王にまであいつを探してくれ、って言うくらいだから、よっぽどの事をしたんじゃねぇの?」
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好釦