暴龍乃決意‐三魔獣怪獣島襲撃‐










それから数年後。
今にも朝日が昇らんとする、夜明け前の橙色の輝きに包まれた怪獣島の岩山の頂上に、フレアの姿があった。
今日も彼の日課である、配達の仕事がこれから始まるのだ。



フレア「さてと、今日も仕事を始めるぞ・・・!みんな、待ってて・・・」
???「ちょっと待ってくれないか?むささび怪獣バラン。」
フレア「おわっと!?」



両脇の皮膜を広げ、崖から岩山を飛び立とうとしたフレアだったが、突然の静止の声にバランスを崩し岩山から転げ落ちそうになってしまう。
すんでの所で崖に手をかけて落下は防ぎ、慌ててフレアが崖の上に戻ると、そこには声の主である少年・ブルトンがいた。



フレア「はぁ、びっくりした・・・あの、突然声をかけるのは止めてく・・・あれ?キミ、誰?」
ブルトン「僕は四次元怪獣のブルトン。今日はキミに頼みがあって来たんだ。」
フレア「頼み?配達の依頼なら、今じゃなくて・・・」
ブルトン「いや、この事は早めに言っておかないといけない事なんだ。前に異世界から来た魔獣を追い払った、キミだからこその頼みだよ。」
フレア「あの時の事?と言うより・・・異世界?」
ブルトン「そう。あの時、ゴジラが異世界に行っていた事はもう知ってると思うけど、あれをきっかけにしてこれから僕達も異世界の怪獣と交流して行く事になったんだ。僕達は『招待』って呼んでて、その『招待』をする為にこの世界や異世界の怪獣達に『招待』したい事を知らせたいんだけど・・・その招待状を、キミに届けて欲しいんだ。」
フレア「僕が・・・異世界の怪獣に?」
ブルトン「うん。勤勉で堅実、なおかつ目的を達成する為に戦う事もためらわない強い意思を持っているキミなら出来るって、魔獣との戦いを見て僕は思ったんだ。どうかな?」
フレア「・・・話が壮大過ぎて、まだ話が飲み込めてないけど・・・僕を必要とする誰かがいるのなら、僕はやるよ。ただ、話の続きは今日の配達が終わってからでいい?まず、今日やらないといけない事を終わらせないと。」
ブルトン「分かっているよ。仕事が終わったら、ここに戻って来て。」
フレア「ありがとう。じゃあ、夕方までには必ず戻るから・・・行ってくるね!」



フレアはブルトンに手を振りながら、今度こそ岩山を飛び去って行った。



ブルトン「・・・僕はキミを信じているよ。婆羅陀巍山神。」






その後、フレアはブルトンの話を了承。
「カンピ・ルーラ」のコードネームで、異世界の怪獣達に「招待」状を渡す役目を請け負う事となった。
それから暫くして「招待」が行われ、ゴジラ・レッドが2013年の「‐」世界へと向かった。






ジャイガー「・・・」



時を同じくして、密かに「招待」の件を知ったジャイガーはウェスター島で瞑想を行っていた。
集中する為、バルゴンは既にニューギニアの虹の谷に置いて来ている。



ジャイガーーー「招待」とやらが行われれば、異世界へと繋がる。
もし、大魔獣アンギラスも現世への強い無念があるなら、奴等と同じように交感出来る筈じゃ。
その魂を捕らえ・・・儂の魔力で封じ、次元の狭間に追放する。儂に出来るのはこれくらいじゃが、これで勘弁願おうぞ・・・
さぁ、来るが良いわ・・・儂と同じ、「大魔獣」とやら・・・!






・・・が、ジャイガーがどれだけ瞑想を続けても大魔獣アンギラスの魂が見付かる事は無く、「招待」の終わりである夕刻を過ぎてしまった。
異世界との繋がりが無くなった事を察したジャイガーは瞑想を止め、内心焦りながら何故この結果になったのかを考察する。



ジャイガー「何故じゃ・・・何故、奴の魂が見付からんのだ・・・?手下の三魔獣は、はっきりと魂も声も分かった。なら、奴らを従える程の存在が分からない筈が無い・・・!
はっ、もしや・・・魂は既に、何処かで定着している・・・!?」
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好釦