暴龍乃決意‐三魔獣怪獣島襲撃‐




ホーエンス『これ以上の勝手は、貴方様でも許されませんぞ・・・!あのバランは回避が得意だが、補助に長けるだけで攻撃性は無い・・・ならば、主と裏切り者をどうにかすれば・・・!』
フレア「キミさ、ちょっと自分の都合良く考え過ぎだよ。僕にだって、必殺の一撃くらいはあるんだから・・・!
熱風よ・・・寒風よ・・・今、僕の掌の中で一つになって・・・神風と、なれ!イフンケ、カムイッ!!」



波動でアンギラスとルシカを攻撃するホーエンスに対し、後回しにされたフレアが大胆不敵にもホーエンスの目の前に立ちはだかったかと思うと、額のゴーグルを目に付けて右手に熱風・左手に寒風をまとわせ、胸の前で一つにする。
そしてフレアは熱風と寒風が一つとなった、激しく逆巻く空気の弾丸・・・アイヌ語でエゾモモンガの呼び名と、「子守唄の神」の意味を持つ秘技「イフンケカムイ」を発射した。



ホーエンス『やはり使って来たか、真空を固めた攻撃・・・ふっ、いくら細工したと言えど、この至近距離からの波動ではひとたまりも・・・なにっ!? 』



熱気と冷気、ぶつかり合えば水蒸気爆発を起こしてしまう「相反する二つ」を絶妙なバランスで一つにしたフレアの弾丸は、ホーエンスの波動を軽々と押し退けホーエンスに直撃。
回避など出来る筈の無いホーエンスは、膝を付いて座り込む程のダメージを受けた。



フレア「・・・神の風を預かる僕を、甘く見過ぎない方がいいよ。まぁ、僕の憧れるカントさんはもっとスゴいヒトだけどね。」


アンギラスーー・・・フレアっていつもああ言ってるけど、なんでかカントの黒い噂や女癖の悪さを知らないから言えるんだろうなぁ・・・


ウルフォス『ちっ、なんで自分達があんな奴らに押されてるわけ?イライラするんだよ・・・!』
イーブルス『このままじゃ、前の二の舞になってしまうぞっ!?』
ホーエンス『それは無い・・・!バランこそいるが、未覚醒の主と負傷した裏切り者が相手なら、主が目覚めるまで持ちこたえれば・・・』
ルシカ「てめぇ、まだそんなめでたい事言ってんのか?アンギラスはてめぇらの味方になんて、絶対ならねぇって言ってんだ!アンギラスをナメんな!」
フレア「そうさ!今のアンギラスはキミ達のような悪を倒す、正義とこの島の守り人なんだ。僕が保証する!」
アンギラス「オイラは大魔獣になんて、絶対にならない!オイラはなりたいのは、みんなが認めてくれる強い大怪獣・・・みんなを守る英雄(ヒーロー)なんだ!!
だから、いい加減この島から・・・!」
アンギラス、ルシカ、フレア「「「出て行けえええええええぇっ!!」」」



怯む三魔獣へアンギラスは再び背中の棘を発射し、ルシカの火炎とフレアの寒風が加わった棘の雨は、三魔獣を軽々と空へ吹き飛ばした。



ウルフォス『お前ら、絶対・・・許さないからな!!』
イーブルス『覚えてやがれっ!!次こそ貴様らを、地獄へ送ってやるぞっ!!』
ホーエンス『主よ・・・!我らは貴方様が目覚める日を、何時までも待っていま・・・!』



それぞれの捨て台詞を吐きながら、三魔獣は空の彼方へと消えて行った。



フレア「・・・僕らの、勝ち・・・?」
ルシカ「アタイ達が、あいつらを・・・!」
アンギラス「追い払った・・・オイラ達、勝ったんだ!」
アンギラス、ルシカ、フレア「「「やった~っ!!」」」



自分達だけで三魔獣を追い払った・・・勝利したとびっきりの喜びを、アンギラス達は抱擁し合いながら分かち合う。
戦いを避け続けていたフレア、己の未熟さを拭い去れずにいたルシカ、そして怪獣王の腰巾着から脱せられずにいたアンギラス。
彼らはようやく無くしてしまった自信を取り戻し、強さを勝ち取ったのだった。



アンギラスーー・・・ゴジラの兄貴・・・!
オイラ、やりました・・・
ルシカとフレアと力を合わせて、この島を守りました・・・!
きっとあの時、兄貴とテレケが言っていたオイラの真の力は・・・こう言う事なんだ・・・!!
・・・父ちゃん。オイラが寝る前、父ちゃんは自分こそが地上で一番強い怪獣王だって、毎晩のように豪語してた。
今のオイラは・・・あの時の父ちゃんみたいに強い怪獣に、なれたかな?
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好釦