暴龍乃決意‐三魔獣怪獣島襲撃‐
アンギラスーー・・・嫌だ。
こんなの、嫌だ・・・ルシカが目の前で死ぬなんて、嫌だ・・・っ!
でも、体が動かない・・・何も出来ない・・・!
オイラが迷わなかったら、ルシカはこんな事にならなかったのに・・・!
兄貴・・・オイラ、やっぱり貴方の弟子に相応しくなんか無かったんだ・・・
オイラはモブで噛ませ犬が相応しい、情けない怪獣なんだ・・・!
ーー・・・それは違うな!こいつは役立たずでも、負け犬でもねぇ・・・
アンギラスーー・・・っ!?
アンギラスは思い出した。
あの日、ゴジラ・レッドに復讐を果たそうとして負けながら、何故彼に着いて行こうとしたのかを・・・
アンギラス『ぐ・・・ああっ・・・!』
ゴジラ・レッド『お前、優しそうな見かけに寄らず強いじゃねぇか。荒っぽさも、アイツ譲りだしな・・・!』
アンギラス『ちきしょう・・・!もっと、強くなって・・・今度こそ、お前を殺してやる・・・!』
ゴジラ・レッド『そうか。なら、いつでも来い。オレはお前に負けるつもりはねぇが、お前みたいに本当は強い奴の事も拒まねぇからな。』
アンギラス『言ってろよ・・・!絶対に・・・オイラは、お前を・・・!』
ゴジラ・レッド『・・・オレの事はいくらでも恨んでくれていい。お前が強くなれるなら。だがな・・・それ以外は絶対に間違うな!
お前は「復讐」の為だけに戦う奴なんかじゃない、きっとその身を擲(なげう)ってでも、大切な誰かを守る奴・・・そんな気がするからな。』
アンギラス『・・・』
ゴジラ・レッド『オレはいつでも怪獣島にいる。逃げも隠れもしねぇ。オレを倒したいなら、お前もこの島にいろ。』
アンギラス『・・・いいのかよ?オイラはいつでも、アンタの首元を噛みちぎっちまうぞ?アンタが、父ちゃんにやったみたいに・・・』
ゴジラ・レッド『いつでも来い、って言っただろ?オレはいつだって他の怪獣になんか、絶対に負けねぇ自信と力がある。だからオレは「怪獣王」なんだよ。だが、お前が自分の真の強さに気付けたなら・・・覆せる可能性はあるかもな?』
龍鬼『たかが首一本の下等生物が・・・この宇宙超怪獣に勝てると思うな!』
テレケ『ぐああああああっ!!』
ゴジラ・レッド『テレケ!?テメェ、オレの舎弟に何しやがんだァ!!』
龍鬼『来るがいい。儂を差し置き怪獣の王を名乗る、不届きな若造めが・・・!』
ゴジラ・レッド『ぐううっ・・・こんの、野郎・・・!!』
アンギラス『・・・何だよ、誰にも負けないとか言いながら二対一であんなジジイのギドラに負けそうじゃんか。怪獣の王様だとか、思い上がってるからだ・・・ざまあみろ。
オイラの手で殺れなかったのは悔しいけど、アイツが死ぬなら・・・別にいいか・・・』
ラーバ『あっ、アンギラスさんだ!』
ミニラ『アンギラスさん、おねがい!!父さんとテレケさんを助けてっ!!』
アンギラス『何だ、ミニラとモスラのチビか・・・なんでオイラがアイツらを助けないといけないんだよ。アイツと、その舎弟なんか・・・』
ミニラ『僕、父さんからきいたんだ!アンギラスさんは、だれかを守るためなら最強にだってなれるって!』
アンギラス『!』
ラーバ『だれかを守りたいってきもちは、ほんとうにつよい力になる・・・あたしたち、モスラいちぞくがそう。だからアンギラスさんだってぜったいつよいのに、どうしてゴジラさんをたすけてくれないの?』
アンギラス『・・・オイラは、そんな奴じゃない・・・オイラはゴジラを殺す為だけに、ここにいるだけの奴なんだよ・・・!』
ミニラ『じゃあ、父さんがしんじゃったらそれも出来なくなっちゃうんだよ!ずっと、こうかいしちゃうんだよ!それでもいいの?ずっと父さんをこえられないままで、それでいいのっ!?』
アンギラス『・・・なんでだよ。なんでオイラなんか信じてるんだよ、アイツ・・・!なんで、オイラの前で負けそうになってるんだよ・・・!
なんで、オイラをここに置いてくれてるんだよ、アイツはっ!!』
ミニラ、ラーバ『『アンギラスさん!おねがい、みんなの怪獣王をたすけて!!』』
アンギラス『・・・っ!!』
ゴジラ・レッド『がああっ・・・!』
テレケ『だっ、旦那ぁ!!』
龍鬼『トドメだ、地獄に落ちよ・・・』
アンギラス『待てええええええっ!!』
ゴジラ・レッド、テレケ『『!』』
龍鬼『ぬっ・・・!貴様、何者だ?』
アンギラス『オイラは、暴龍のアンギラス!!ゴジラを倒すのは、オイラだ!お前なんかに・・・こいつはやらせないぞ!!』
ミニラ、ラーバ『『やったぁ!』』
ミニラ『じゃあ僕、他の怪獣を呼んで来る!えっと、カントさんに、フレアさんに・・・ク、クモンガも・・・』
ラーバ『あたしもっ!エオリパさぁ~ん!!ルシカさぁ~ん!!』
テレケ『まさか、アイツが旦那を助けるなんて・・・』
ゴジラ・レッド『・・・へっ、来るのが遅ぇんだよ。まさか、オレがやられるとでも思って待ってやがったのか?』
アンギラス『う、うるさい!いいから、さっさと起きろ!あのジジイにお前がやられたら、オイラの今までの努力が全部台無しになる・・・それだけだ!お前を倒すのは、オイラなんだからな!』
ゴジラ・レッド『あぁ、分かってるぜ・・・!オレを倒す前に、まずアイツを一緒に倒すぞ!!テレケ、お前もいけるな?』
テレケ『当然・・・!宇宙超怪獣だろうがなんだろうが、ゴジラの旦那とオレ達地球怪獣をなめるなよっ!』
龍鬼『地球怪獣が束になろうと、儂には敵わん!まとめて、消えよ!!』
ゴジラ・レッド『消えんのは、テメェだァ!!行くぞ!テレケ!アンギラス!!』
テレケ『はい!!くらえっ、カンガルーキックゥ!!』
アンギラス『オイラも、アイツも・・・お前なんかに、負けないっ!!』
テレケ『・・・やっぱし、傷は思ったより深かったみたいで。もう思うように、足が動かねぇです・・・だから、オレ・・・旦那の弟子を止めます・・・!』
フレア『えっ!?』
カント『・・・』
エオリパ(角無しマンダ)『そなた・・・』
クモンガ『そうかい・・・その悔しさ、アタシにも分かるよ・・・』
ミニラ『そんなぁ・・・テレケさんが・・・』
ラーバ『せっかくみんなでちからをあわせて、あのギドラをたおしたのに・・・』
ルシカ『テレケはゴジラさんの相棒候補だったのに・・・こんなの、酷過ぎるよ・・・!』
ゴジラ・レッド『・・・分かった。今までよくやってくれたな、テレケ。本当にありがとう・・・ゆっくり養生してくれ。』
テレケ『へへへっ。旦那からそんな言葉が貰えるだけで、オレは感無量です・・・』
アンギラスーー・・・もしかして、オイラがもっと早く助けに行ってたら・・・アイツは、こうはならなかったのか?