ロダン温泉湯煙事件 前編・後編




ここまで見て下さって、ありがとうございます。
本作は2018年8月11日に「特撮のDNA展 明石」にみかんさんと行く事になり、僕にとって久々のオフ会という事で合わせて書いたもので、第八弾で唯一やり残した点・・・と言うよりあえて描かなかった「温泉の話題」を、短編として形にしたものです。
最初は第三弾ラストで「‐」ゴジラとバトラが話していた「家族揃っての温泉旅」をなんとなく形にしたかった程度で、特に内容も決まっていなかったのでまずは女性陣にシチュエーションのリクエストを行い、それを元にコメディ重視の一つの話にしました。
ロダン温泉がラドン旅館2号店と言うのもとっさの思いつきで、古い感じの温泉宿なのも僕がかつて行った事のある温泉の記憶や、僕の中にある温泉へのノルスタジーなイメージを優先したからです。
ちなみにバラゴンだけメンバーから抜いた理由は劇中の理由だけでなく、「「‐」怪獣側で最近モンスターバース絡みで妙に目立ち過ぎている?」「キャラが捌(さば)ききれなくなる事への対策」と言う理由もあるのですが、前者はともかく後者の判断は正しかったと思いますf^_^
それと僕自身はあまり温泉に行かないので、本作は「温泉そのもの」の話よりも「みんなで温泉に行ったら」と言う方を重視して書いております。



では、順を追ってリクエストの解説を。
本作のタイトルは柳さんのサイトにある短編「ラドン温泉湯煙事件 前・後編」からで、この短編のオマージュをして欲しいと言うみかんさんからのリクエストです。
なので本作は珍しく前後編に話が分かれていますが、実は「特撮のDNA展」までに執筆が間に合わず、前編の部分をどうにか当日までに完成させ、後編の部分を後日女性陣に送った経緯があるので、あながち前後編も間違ってはいなかったりします・・・
他にも大体の展開や一部台詞回し、デストロイアを蟹光線と呼んだり某名探偵の真似をするJr.、後述のリクエストと同じではありますが「機龍ゾーン(元ネタは某バトルテニス漫画)」などのありえない卓球勝負、オマージュ元の話に出ているのでデジャブを感じる「VS」ゴジラ達・・・などでオマージュ、と言うよりもはやパロディを盛り込みましたが、元の短編は「VS」ゴジラの回想場面を第七弾にて引用させて頂いた事があるくらい、シリアス要素がある話です。
が、本作はそもそも話のコンセプトが違ったり、シリアス要員となるキャラもいないので、あえてその点の再現は行いませんでした。
そこに不満がある方もいらっしゃると思いますが、どうか悪しからず・・・
また、勘違いで男達が女湯に突入する展開もこのメンバーでは無いだろうと判断したので、代わりにカントに直権乱用で高度かつ斬新な覗きをさせる事にしました(汗)
「プロジェクト・テイル・リバース」でのシュウのように、これは貧乏くじ役・・・「禁じ手」ではないか?と思う方もおられるかもしれませんが、シュウはあくまで「無意識」に迷惑をかけてしまうが悪いと思えば責任は取るキャラなのに対し、カントは「明確な意思」の元にナンパをしたりわざと腹黒い発言をするキャラですので、やりそうな要素はあるかな・・・と思いました。



男・女・混浴風呂での会話については、僕が全て考えています。
なのでチハヤのバストサイズ比べも、完全に僕の独断ですf^_^
ただ、その後の彼女以外のメンバーの反応については城村さんからの提案で追加したもので、イードゥも最初はのぞき側の反応だったのですが、柳さんからの指摘を受けてセコム側(過激派?)の反応に変更しています。
ここの没展開として、カントの存在を警戒するあまりアンバーにきつく忠告された「‐」バランが勢いで真っ先に混浴風呂に入ってしまい、一人露天風呂に入りながら反省している所にアンバーも入って来て、あくまで「‐」バランは「同志」だからこうして久々にゆっくり二人で過ごしたかった、異性との混浴を恥ずかしがるのは人間みたいなどとアンバーに諭されるも、恥じらいから全身熱気だらけの「‐」バランにはそれどころではなく、しばらくしてアンバーと「‐」バランが混浴風呂から出て来たのを目撃したカントは嫉妬の感情にかられ、「何故・・・なぜ貴方はいつもいつもアンバーさんと一緒にいるんだぁぁぁぁぁ!!バラァァァァァン!!」と叫ぶ・・・と言う展開がありましたが、色々あって没にしました。
本作でカントと「‐」バランの小競り合いが特に無いのは、この展開の没による影響です。



続いての風呂上りの髪下ろし談義もみかんさんからの、機龍の奇妙な行動は柳さんからのリクエストです。
髪を結んでいるキャラの選抜と、髪を下ろした各キャラの姿と関連キャラの反応を必死にイメージして書きましたが・・・「‐」モスラについては以前、みかんさんから年賀状イラストとして髪を下ろした姿を描いて頂いたので、イメージするのが楽でしたね。
機龍の奇妙な行動については、「風呂に入ると逆にエネルギーを使う」と言う描写がオマージュ元短編にあったとは言え、もう少しそれっぽい理由が必要かと思っていたら、皇さんからのリクエストの電気風呂ネタと組み合わせる事を思い付き、「品川くんに驚いてつい入ってしまった電気風呂で感電した結果」と言う理由にしました。
柳さんにも自然な理由だとお褒め頂いたので、これで・・・満足したぜ。
また、愛美華さんのメタ発言は城村さんからの添削時の提案で入れてみました。
基本的にゴジラジオ以外でメタ発言はさせない方針ですが、愛美華さんは一味も二味も違う人として描きたいので、例外として。
あとは・・・贔屓?f^_^



その後の各自の自由行動は、リクエストと僕の考案が混ざっていますので、一つずつ解説していきます。


・「‐」ゴジラ達がコーヒー牛乳を飲む下りは、僕の考案です。
風呂上がりにはやっぱりコーヒー牛乳かオロナミンCと言うのが、僕の中のイメージですね。
次のラゴス・ゴジラがひたすらあか飯を食べるのも僕の発案で、オーナーのカントの故郷ネタを一つは入れようと思いました。


・卓球対決は「ラドン温泉~」にもありましたが、城村さんからのリクエストでダブルスを追加し、オマージュ元では対決していない「VS」ゴジラとバトラ、それに半ば巻き込まれた機龍とヒタムが相方に付いた、同族コンビ対決にしました。
他にオマージュ元の「ありえない卓球」枠としてゴジラ・レッドとシュウを、「至って普通の卓球」としてゆいとアジゴに対決させました。
ちなみにこの卓球対決は当初入浴前に開催し、ほぼ全員にペアを組ませて卓球大会にする・・・と言う構想もありましたが、時間の都合といい感じの結末が思い浮かばず、没としました。
ペア自体は全員分決めているので、あとがきの後に卓球大会の書いていた分までを掲載します。


・ゲーセンでニュージェネレーション組がアーケードゲーム「ランペイジ」をプレイし、新モスラ組が古いプリクラに反応する所は僕の案で、お察しの方も多いと思いますが「ランペイジ」ネタは特撮ファンにとって飽和状態だった2018年春映画におけるダークホース、「ランペイジ 巨獣大乱闘」から引っ張って来たネタです。
「いや~、ランペイジって最高ですよね!」の気持ちを、あの僅かなシーンにそのまま持って来ています(汗)
また、ここでのサバイヴの台詞「俺はリジーで行く・・・!」はまさかのメカゴジラの登場で特撮オタクを歓喜させた「レディ・プレイヤー1」の屈指の名台詞、「俺はガンダムで行く・・・!」が元です。
平成ゴジラのレトロアーケードゲームの登場は皇さんのリクエストで、三台ともかつて実在したアーケードゲームです。
誰でも良いので上手くプレイ出来ずムキになる場面が欲しいとの事でしたので、最適と判断した紘平と愛美華さんにプレイさせてみました。
僕は記憶の片隅にある程度ですが、もしかしたら読者の皆様の中にも二人と同じ経験をされた方がいらっしゃるかもしれませんね。


・マッサージチェアの下りは僕の案で、最初はただ体験しているだけで終わっていた一番短いパートだったのですが、後日みかんさんがマッサージチェアから離れないレジェンドの絵を描かれ、それを見た城村さんがレジェンドの上に更に人間椅子のように品川くんが座る絵を描かれていたのを見て、絵を参考にその後の下りを追加しました。


・ダガーラ4のお土産選びと、アンバー・スペース・「‐」バランがアイスを食べる所も僕の案です。
これで「‐」バラン的にスペースへ、ちょっとしたリベンジができたかな・・・?と思います(笑)






後半部分の初めのJr.による迷推理場面は大体はオマージュ元と同じですが、人数が多いので全員の動機のこじつけに苦労しましたf^_^
ついでにオマージュ元では某金田一の孫ネタだけだったのを、某見た目は子供で頭脳は大人な探偵ネタを加えていたりします(笑)
続けてのゆいの肝試しリベンジ及び幽霊ネタは城村さんからのリクエストで、本当に幽霊のようなキャラとカントの更なる受難を描く為に必要と判断し、皇さん宅のヘドラを許可を頂いて登場させました。
出番こそ少ないですが、第三弾のカメーバ達や第七弾でのジラ達のように同じ世界だからこその自由な登場・振る舞いをさせる事で、独特的でマイペースな彼の魅力は十分に描けたかと思います。
悪しき怪獣達側では無いですが、「招待」にも来なさそうなイメージがありますし・・・
肝試し自体はカントの受難と、第八弾の意向返しとしてゆいがドゴラに一泡吹かせられれば良いと思ったので、カントの受難と絡める形であえて簡略化しています。
アンバー・カント以外のメンバーがどう驚かせようとしていたかは・・・皆様のご想像にお任せします(汗)



それから第八弾では省いた、「招待」怪獣達一人一人の別れの挨拶を経て、それまでのコミカルな雰囲気から一転したカントの「家族」を温かく描いての終了となります。
この下りは本来は無く、疲弊したカントのちょっと情けない締めの言葉でコミカルに終わらせる予定でしたが、それでは流石にカントが可哀想かなと思っていた矢先にこの展開を急に思いつき、書いてみて本当に正解だと思いました・・・
第八弾や「プロジェクト・テイル・リバース」、そして今回と続いたカントの受難と苦しみを全て開放し、第八弾そのものを締めくくるまさに温泉に入った後のようなすがすがしさのある良い終わりに出来たと思いますし、皇さんと城村さんからもこの展開にはお褒めの言葉を頂きました。
僕としては、このような終わり方に出来たのもカントにラドン温泉やドゴラ・ジン・えんば組と言う皇さん独自の設定があったからで、もしカントが独り身なら当初のコミカルな終わり方になっていたと思うと、この設定を考えて下さった皇さんの功績です。
僕としても、このラドン温泉組はお気に入りのグループですし。
第八弾時点では裏主人公だったカントですが、ここまで目立てばなんだかもう、第八弾の正主人公でいい気がして来ましたね。



ここからは、本作での小ネタ・パロディについて。
機龍の満足ネタやJr.の探偵ネタについてはあえて解説しないので、今回は少なめですf^_^



・ゴジラ・レッドの冒頭の台詞は、第八弾序盤にて彼がゴジラタワーを見た時の台詞を意識したもので、所謂セルフパロディです。


・ジンの台詞「アッ、ハイ。」は、最近あからさまに使っている「ニンジャスレイヤー」の単語、通称「忍殺語」なのだ!
他にも「アイエエエエ!?」や「ナンデ!?」、「ヤッター!」「ガンバルゾー!」や「ワッショイ!」も同じ忍殺語ですが、おかしいと思いませんか?あなた。


・「VS」モスラの台詞「それはルール違反よ?」はなんて事の無い台詞のように思えますが、一応「VSキングギドラ」中盤にて未来人との出来事を本にしようとした寺沢の家に突如現れ、ストップをかけるエミーの台詞・・・からだったりします。
細かすぎるネタですね(汗)


・ジンの台詞「テルマエ・ユートピア」は、映画「テルマエ・ロマエⅡ」にて主人公・ルシウスが実現を目指した、誰もが幸せになれるテルマエの理想郷・・・つまりは混浴風呂の事ですf^_^
果たして「テルマエ・ユートピア」が実現したのかはどうかは、是非映画本編をご覧下さい!
ちなみに、怪獣界のメガギラスの特徴である「プライドは高いが、メンタルは弱い」はそのままルシウスにも当てはまったりします(笑)


・カントの独白、「もう何も怖くない、怖くはない。」は、「劇場版機動戦士ガンダム00」の挿入歌の名前が元で、悲壮ながらも何処か勇敢な曲調・歌詞と映画内で使われた場面は、「答え」を見つけたこの時のカントには合っていると思います。
決して、某魔法少女アニメのトラウマ発言からではありませんので・・・f^_^





最後に、本作は久々にシリアス要素が全く無いながらもぬるま湯な話でもない、確かに温かくなれる温泉のような話に出来たと思います。
怪獣達の交流もこれで十分に描き、もう第八弾関係でやり残した事もありませんので、あとは伏線を張った第九弾に進むだけ・・・なのですが、この短編を書き終わった後、このシリーズ全体に関わる重大で悲しい事が起こってしまいました。
詳細は、2018年10月2日の日記を見て頂ければと思います。
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好釦