ロダン温泉湯煙事件 前編・後編

‐ロダン温泉湯煙事件・後編‐






前回迄の粗筋―――



事件はここ、ロダン温泉で起きた。
オーナーのカントがいつまで経っても警備室から出てこない。内側から鍵がかかっているので、呼び掛けたが返事が無い。
そこでジンは合鍵を持ってきて、扉を開いた。



するとそこには、包丁が胸に刺さったカントが床に倒れていたのだ。
部屋は無残に荒らされており、壁に設置された大きなモニターは盛大に破壊されていた。



第一発見者や、「招待」関係者が集う。
第一発見者はドゴラ・・・ラドン温泉の従業員で、前々からカントの女癖の酷さに呆れていた。
ジン・・・従業員。一応食べられる側なので、彼と部下のえんば組にとってカントは危険の種だ。
ゴジラ・レッド・・・かつてはアドノア島で、先程は怪獣ランドで本気で戦った。カントの腹黒さには心底ドン引きしている。
「‐」バラン、レジェンド・・・ここに来る前、アンバーを巡ってカントと一悶着あった。
アンバー・・・「招待」中に度々カントから口説かれ、内心困惑していた。
キングシーサー・・・昔、カントにしつこく口説かれた。
モスラ姉妹、愛美華、ゆい・・・入浴を覗かれかけた恨みがある。
シュウ・・・怪獣ランドの器物破損の弁償代を未だ払っていない。入浴後、一人で何処かに行ったと言う目撃情報も。
バトラ、ヒタム・・・愛する妻子の入浴を覗く筈だと疑っていた。
ダガーラ、ニルヤ、イードゥ、サバイヴ・・・新モスラ組のセコム。当然カントは警戒対象。
シゾット・・・その昔キングシーサーを口説いたと聞くや、分かりやすく苛立っていた。
ラゴス・ゴジラ、スペース、シン・ゴジラ(鎌倉さん)・・・シンとイシュタルを困らせる者、許すべからず。
紘平、幸・・・愛美華から「自分に手を出す不届者には容赦しないように」と言われている。
「VS」ゴジラ、機龍・・・アンバーの口説き現場に遭遇。喋っていないが、嫌いな部類に入るのは確実。
「‐」ゴジラ・・・自分の世界にもラドンがいたと言う格好の絡みポイントがあるにも関わらず、一度も話しかけられなかった。
ラドン・・・異世界の同族。女と勘違いされて一度口説かれた。
チャイルド、リトル、ジュニア、シン・ゴジラ(蒲田くん・品川くん)・・・幼い故の、残酷さ。
そう、この場にいる誰もに動機があった。



Jr.「これは完全な密室殺人事件・・・そして犯人は、この中にいる。このトリック、絶対暴いてみせる。」



Jr.が全員の顔を確認する。
そして・・・



Jr.「じっちゃんの名に賭けて!!」



・・・絶対にどこかで聞いた事のあるような台詞を言った。
以前にも似た事があったからか、はたまたこの台詞の知名度からか、一部の者は激しい既視感を感じている。



幸「・・・金田一君?」
サバイヴ「じっちゃんなんかいないだろ。と言うか、自分だけ容疑者から外してんなよ。」
「VS」ゴジラ「また三文芝居か、Jr.・・・」
レオ「私、あんなにハジケてるJr.なんて久々に見た・・・」
スペース「以前怪獣界に来た時に、ゴレンジャイとやらの色で騒いでいた時以来だな。」
機龍「Jr.がツッコミを捨てたら、誰が収集付けるんだろうねぇ。」
チハヤ「ちなみにツッコミ役って常人の三倍はストレス貯めてるみたいなんだけど、分かる?」
愛美華「それより、どうしてさり気無く私を呼び捨てにしているのかしら?ねぇ、Jr.君?」
紘平「気にするとこ、そこじゃねぇよ。」
シュウ「くっだらねぇ・・・ってか、いいから起きろテメェ!いつまで死んだふりしてんだ、コラ!」
カント「・・・やはり、貴方にはお見通しでしたか。」
ドゴラ「カ、カントさん!?」
ジン「アイエエエエ!?カントさん、普通に起きた!ナンデ!?」






真相は、事件の約三十分前にさかのぼる。
延々と砂嵐を映し続ける監視カメラに業を煮やしたカントは、計画を変更して風呂上がりの女性陣を口説きまくる為に警備室を出ようとしたのだが・・・



シュウ「見つけたぞォ・・・?この野郎がァ・・・!!」
カント「・・・な、なんですか?私に用でも・・・って、ぎゃあああああああああああああああああっ!!」



が、突如現れたシュウが警備室で暴れ回り、カントはそれを見ている事しか出来なかった。
あらかた破壊を終えたシュウは、次にカントの胸倉を掴む。



カント「ま、また器物破損を犯すなんて・・・こんな事していいと思っているんですか!これではもし、悪の怪獣が来た時のセキュリティが・・・」
シュウ「うるせェ、その言葉テメェに全部返してやっぞォ・・・!ゆいにとばっちり食らわせたら[ピー]すって、オレは言ったんだがなぁ・・・?」
カント「わ、私は知りませんし見てませんよ!と言うか、見えませんでしたって!」
シュウ「んな問題じゃ、ねぇだろうがァ・・・?まぁ、あの薔薇女がゆい達の為にワザと言ってねぇから、オレもこの事は言わないでやる・・・!」
カント「あぁ、やはり愛美華さんでしたか・・・流石は深窓の令嬢・・・」
シュウ「だが、テメェはただじゃおかねェ・・・!!」
カント「ぼ、暴力ですか!ゴジラ・レッドと言い、貴方と言い、ゴジラ一族はどうしてこうも野蛮で強引な方法ばかり・・・」
シュウ「・・・手伝え。」
カント「・・・ゑ?」
シュウ「この後夜になってから、ここの隣の工場跡でゆいの肝試しのリベンジをやる・・・だからテメェはゆいを泣かせないくらいの驚かし役をやれ。」
カント「そ、それをすればこの事は不問にしてくれるんですか・・・?」
シュウ「一応、な?まぁゆいが泣くか、驚かねぇくらいショボい真似しやがったら・・・容赦しねぇけどなァ・・・!」
カント「わ、分かりましたよ!レディに恥をかかせぬような役作りをさせて貰いますから!だから早く、この手をどけて出て行って下さいっ!」
シュウ「・・・その言葉、忘れんなよ?忘れたら・・・[ピー]す。」



こうしてカントも夜に行われる肝試し大会に参加する事となり、ダミーの死体役を練習していたのだが、度重なる心労からそのまま寝てしまい、その姿をドゴラとジンに勘違いされてしまった・・・
これが、事件の真相である。






ゴジラ・レッド「じゃあ、犯人なんて最初からいねぇって事か。ほんとメンドくせぇヤツだな、オイ!」
ドゴラ「もう・・・本気でしんぱいしたのに、カントさんったら・・・」
ジン「もし死んだふりなら、あの包丁KAIJUより上手かったんですけどね~?」
カント「すまないね、本当に事件にする気はなかったのだけれど・・・」
「VS」ゴジラ「やっぱりあいつ、俺の所の奴より面倒なラドンだな。」
「‐」バラン『だが、此れで彼のスケコマシに良い灸が据えられたで有ろう。』
セラフィ「愛美華さんが阻止してくれたからいいけど、管理者の権利を悪用するなんて・・・いくらカントさんでもあたし、許せない!」
「‐」モスラ『同感ですわ。わたくしも許せませんが、この罰と愛美華に免じて今回は不問にして差し上げますわ。』
バトラ「次やったら、もう容赦しねぇからな!覚えてろよ!」
イードゥ「ベーレムのフルコースを、無理矢理にでも受け取って貰うぞ?」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
愛美華「あらら。折角黙っていたのに、結局バレちゃったわね?」
カント「こ、これは本当に事件が起こりそうな感じだったり・・・?」
アンバー『ま、まぁ皆様。ひとまず今はカント様がご無事だった事を喜びましょう。』
ゆい「お兄ちゃんがやり過ぎなくって、よかった・・・あれ?でもあたしは、よくない?ほんとにまた肝試しやるの?」
シュウ「当たり前だ。心配すんな、今度はオレは着いて行かねぇからよ。」
ゆい「よ、よくないよそれ~っ!」






Jr.「こうして謎は解けた・・・真実は、いつも一つ!」
幸「・・・コナン君?」
サバイヴ「と言うか、Jr.がいる意味あったか?これ。」
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好釦