プロジェクト・テイル・リバース
・あとがき
ここまで見て下さり、ありがとうございました。
本作は第八弾のあとがきでも触れましたが、第八弾の暫定完成後に皇さんから提案された、劇中での「悪しき怪獣達」の動向を描いたサイドストーリーが執筆のきっかけになりました。
加えて、第八弾で僕が展開や執筆時間諸々の都合でカットした「招待」怪獣達の初対面時の描写や、既にプロットは出来上がっている第九弾への伏線、もっと会話させたかった怪獣同士の交流を描いたりと、第七弾後に発表した様々なSSSを一つのテーマと言う一本串を刺して一つの短編としたオムニバス短編とは違う、テーマに特化した最初から一つの話としてのサイドストーリーとなったかと思います。
では、本作の特記事項を順番に。
まず導入部として、第八弾ではいつのまにか悪しき怪獣側にいたシン・ゴジラ(蒲田くん)が何故悪しき怪獣側に付いたのかの描写を入れました。
クリス姐さんが唆すのは皇さんのアイデアで、蒲田くんの内に秘めた願いの補強や怪獣ランドでの計画の伏線もここで入れました。
最後のブルトンのみ、第八弾1ページ目のオマージュとして独自に登場させています。
次のラドン旅館でのガイガン・メガロによるカントの丸め込みも皇さんのアイデアですが、僕はどちらかと言うとカントが何故相手の思惑や危険を承知で悪しき怪獣に協力したのか・・・と言う点をちゃんと描きたいと思い、その理由付けを描きました。
やや強引なのは正直、否めないですが・・・カントも出来る限りの手段は尽くし、いざとなれば自分を犠牲にしてでも事態を解決しようと言う覚悟はしっかり描けたと思います。
理由の更なる深堀りとこの決断がもたらした結果は、後々のゴジラタワーでの一幕で描いています。
あとさりげなく、「エピソード・オブ・バラン」で登場させたフレアのコードネーム「カンピ・ルーラ」も出してみたり・・・
続けての「KAIJU」達による徹夜でのゴジラタワー建築も皇さんリクエストで、第八弾でナイフヘッドがイライラしていた原因を詳しく描く・・・予定でしたが、他の「KAIJU」達も参加していたと言う部分を拡大する事にして、元締めのスラターンを除く未登場の「KAIJU」達を登場させる事にしました。
オニババは勝手に現場の指揮を取り、ライジュウは自由な言動を繰り返し、その板挟みにあうスカナー・・・と言う構図はすぐに浮かびましたf^_^
別にオニババはライジュウ・スカナーといつも一緒にいるわけではないようですが、組ませてみると意外に合ったので、今後本編に登場したらトリオを組んでいるかもしれません。
「ゴジラジオin京都」で名前だけ、第八弾ではジンの声真似と言う形で出しているムタヴォア(ブレードヘッド)とアックスヘッドもようやく出せましたし、温和そうなのにきつい事を言う兄と、可愛らしいお嬢様な感じなのにきつい事を言う妹に挟まれ、怪獣ランドのマスコットキャラになる夢も奪われたナイフヘッドの苦しみが理解して頂けたと思います(笑)
わずかながら、怪獣ランドと言う施設を建てられた理由やレザーバックが怪獣ランドで妻子と共に家族サービスをしていた理由を書きつつ、執筆当初に公開したばかりだった「パシフィック・リム アップライジング」ネタも多数取り入れました。
ネタバレしまくっていますが、大体の怪獣ファンは観に行ったでしょうから大丈夫です・・・よね?
ライジュウが言った某金属生命体は出てくる予定はありませんが(汗)、アップライジング組は既に皇さんが設定を考えていますので、いつかは出したいです。
それから第八弾ではカットした、「招待」怪獣達の初対面の様子ですが・・・あれよあれよと書いている間にとんでもなく長くなりましたf^_^
最初は各グループで挨拶もほどほどにと言う感じで、城村さんが第八弾の感想でおっしゃっていた「アロナと他のモスラ姉妹、特にシンとの会話をもっと見たかったです。」と言うお言葉を受けてその辺りをじっくり描いたり、僕が入れたかったゴジラ・レッドとシュウの会話や、続編への伏線である「恐竜」の存在を愛美華さんに触れさせる、その程度で済ませる筈がいつもの悪い癖が出てしまいまして・・・
肝心の伏線や、今作が悪しき怪獣達が中心の話である点が薄まってしまいますので、ある程度で自重しなければ・・・
ちなみにレジェンドが触れた「アピ」は城村さん宅のGFWモスラ(チハヤの言う武闘派モスラ)の事で、既に城村さんがシュウ・ゆいと合わせて名前呼びのイラストを公開されているので名前を出してみました。
また、チハヤだけアイレナ「おかあさま」と平仮名で呼んでいるのは城村さんからのリクエストで照れ隠しをしている事を強調する為で、ラゴス・ゴジラが読心術を使う下りはみかんさんからのリクエストで追加したものです。
更にここから直結する形で、レザタチ夫妻によるドゴラ誘拐の詳細・・・と言う体のイチャイチャシーンになりますが、レザタチ夫妻がドゴラを誘拐するのは皇さんのアイデアで、結果的にシュウがドゴラ誘拐のきっかけを作ったのは城村さん・・・ではなく、僕の発案です。
カントもドゴラが危険な目に遭うのは分かっている、なら怪しまれない対策として護衛くらいは付けているはず、それなのにどうしてドゴラは誘拐されたのか・・・と連想する内に、「シュウが護衛のえんば組ごとお化け屋敷を爆破したから」と言う理由を思いつきました。
流れとしては自然な理由付けですが、結果シュウにドゴラ誘拐の責任の一因を担わせる・・・つまり貧乏くじ役を押し付けたと言う事でもあります。
情けない事にこれ以外に理由が浮かばず、一応城村さんは「シュウなら原因になっても仕方が無いです。」とは言って下さいましたが・・・ヴィラン役以外の他作者様のキャラを悪事の原因にするのは禁じ手であると、深く胸に刻んでおきます・・・
次のDG連合+ティフォン・ヒジュラスの会話シーンは僕の完全オリジナルですが、カントがゴジラタワーに引っかかるシチュエーションは皇さんからのアイデアです。
いつもの役割とこの後の落差を考え、このシーンのカントはなるべく滑稽になるようにしましたが、同時にいつもあえてぞんざいに扱っているヒジュラスにも一つくらいは良いと感じる所を書いておこうかな・・・と思い、第五弾ラストの意向返しとしてあの時と似た状態になったカントを助けさせる事としました。
これでカントとヒジュラスに因縁が出来たと思いますし、さりげなく「‐」バランとアンバーのデート・・・ではなく、散歩の様子も書けました(汗)
ここからなだれ込む「獅子身中の虫」になった結果起こったカントの贖罪と、「東宝チャンピオンまつり」のコンセプトに絡めた内に秘める仲間にしてライバルのゴジラ・レッドへの対抗心、まさに苦虫を噛むような思いを共有しながらカントに従うジンの忠誠心・・・
この辺りは第八弾序盤とリンクしながら進むので、本作ならではのストーリー進行になったかと思います。
・・・で、第八弾終了まで一気に進めた後に反省会のような会話が入りますが、これも僕が勝手に書いたものですf^_^
もちろん、シュウの責任の糾弾・茶化しが目的ではなく、ちゃんと謝らせたり他のゴジラ達からフォローされたり、更に悪い態度をするカントの平常運転を描く事で、シュウの責任とそれまでのシリアスさが少しでも軽減できれば・・・と言う思いで書いています。
第八弾と本作でだいぶ心が傷付いたカントも、これでようやく元の自分に戻れたかと思います。
続いては第八弾ラストで描かれた、UW・1973年の髑髏島でのコング・バラゴンVSスカル・クローラーズとの戦いの決着と、その後の補完は一部を除いて僕独自の案です。
髑髏島での下りはオリジナルの「キングコング 髑髏島の巨神」とオーバーラップさせる事を意識し、コングを助けた「人間」や「モナーク」、今の所は裏設定である「1995年にモナークが髑髏島を再調査した」事も入れてみました。
オリジナルで現在髑髏島がどうなっているかは不明ですので、「先代の加護(GNウォール)」で髑髏島が見えざる存在になっている・・・としましたが、これからオリジナルでどうなるのかが不安です(汗)
また、幼いコングとレガシィの初対面した時の回想シーンは城村さんがツイッターで上げられていたイラストを元にして追加したもので、最後のコング(レガシィ)の台詞は城村さんからうかがったものをそのまま使っています。
ちなみにこの場面は「髑髏島の巨神」の前日談となる公式アメコミ「SKULL ISLAND:THE BIRTH OF KONG」にて、スカル・クローラーによって殺されたコングの両親の死体を見た幼いコングが嘆く・・・と言うシーンからインスパイアされたもので、第八弾で皇さんが追加したコングの回想シーン(別の同族がスカル・クローラーに殺される所)も似た状況ですが、このアメコミの存在を知らずに書いた偶然の一致です。
それと今回、レガシィの口から「先代の加護(GNウォール)」についての説明がありますが、多少かいつまんでの説明なので第八弾執筆前に城村さんに送った、「先代の加護(GNウォール)」及びレガシィの設定文を一部改編して以下に掲載します。
・ペルム紀、異世界から侵略して来るM.U.T.O.やプリカーサーから仲間を守る為、死した先代コング達は自らの魂を「GN(Guard of Never)ウォール」と言う粒子そのものに変え、侵略者達から世界を守る事にした。
この「先代コング達の意識集合体」の代表者がレガシィコングの正体で、元々は先代達と同じ時代にいたアルビノ個体のコング族だった。
「遺産、形見、先人の遺物」を意味する「Legacy(レガシー)」が語源なのも、この立ち位置にいる事による。
・1967年、先代達はレガシィに髑髏島の地下に「穴」を作らせ、コング族最後の生き残りでありスカル・デビル&クローラーズを刺し違えても全滅させようと地下に乗り込んだキングコングを強引に異世界に逃がそうとするが、「穴」の先は2011年の「‐」世界のファロ島と繋がっており、バラゴンと出会ったキングコングはスカル・デビル&クローラーズ達を全滅させて生き抜く決意を固め、再び髑髏島に戻る。
その後、1973年に島の地下の「穴」から第八弾翌日の時間軸から来たバラゴンがコングの助っ人として現れるが、これ以上の歴史と空間の歪みを防ぐ為にレガシィによって「穴」は塞がれる。
・2016年、「ゴジラジオin京都」でブラウニーが「‐」世界に乱入する為に無理矢理作ったブリーチの影響が「穴」としてUWに現れ、それによってレジェンドか偶然にも「‐」世界に迷い込み、レジェンドを回収する際にレガシィが他の招待主と遭遇。
レガシィの一存でUW側も「招待」に参加する事になり、第六・七弾を経て先代達は異世界の怪獣と招待主達を信用。
本人の希望もあり、第八弾で「現代のコング」を満を持して「招待」させる。
・悪しき怪獣サイドはブラウニーが作ったブリーチを機にUWの存在を知り、第七弾前(「閉ざされた世界」の時)にヴィラン怪獣達を引き込んだ。
・UW怪獣が異世界でパワーアップするのは、元々はキングコングを生き残らせやすくする為の先代達の意思による仕様。
・プリカーサーはGNウォールの影響でUWに侵攻出来なくなったので、今度は獣人界を狙った。つまり、このプリカーサーは皇さん宅のキャラ。
・レガシィは招待主としての活動を行った後、先代達がいるGNウォールが存在する異世界との境界線「天上」へ行き、先代達に「招待」の報告をしている。
・普段レガシィは人間体でいるが、全身のGNウォールを解放する事で最大数百メートルの怪獣体になれる(「「G」を継ぐ者」の時や、第八弾でゴジラ・レッド達を助けたのはこの姿)。
人間体でも全身をGNウォールに変化させる事も可能で、人間程度の大きさなら如何なるモノもGNウォールで複製する事が出来る。
ついでに最後にレガシィが話していたのは、今はとりあえず「招待主」とだけ言っておきます。
約一柱、名前が出てしまっていますが・・・皆様もなんとなくお分かりになっていたかと思います(汗)
そして、ラストの柳さん宅のデストロイアの登場と次回の伏線となる彼の野望を持って、本作は幕を閉じます。
ずっと人間界(柳さん)サイドから出したいと思っていたヴィラン怪獣なので、ある意味最高のタイミングで出せたと思います。
第八弾では「テイル・リバース」本体、本作では「核」として登場した「メテオライト」ですが、名前の元は昭和キングギドラのみならず、グランドギドラやモンスターX(カイザーギドラ)も乗って来た「隕石」からで、形も昭和キングギドラの隕石とほぼ同じイメージです。
何故それが由来なのかは、デスギーが持って来たと言う点とデストロイアの台詞から推測すればお分かりになると思いますが、「メテオライト」の本当の能力は何なのか、何故ゴジラ・レッド達では壊せなかったのか、デストロイアはどのように使おうとしているのか・・・そこは次回明らかになるので、今は色々と予想してみて下さい。
ちなみにデストロイアが使った、空間を裂く技は「ヴァリアブル・スライサー」を意識したもので、ナイフヘッドの力を借りずとも独自にアンティヴァースに移動出来る設定です。
ここからは、本作の小ネタ・パロディの解説を。
・本作のタイトルはアニゴジ第二章「決戦機動増殖都市」公開前に発売された公式ノベライズ「プロジェクト・メカゴジラ」からで、皇さんが本作を提案して来た際の文面「『プロジェクト・テイル・リバース』みたいな話を・・・」を、そのまま採用しました。
・ドゴラの呪文「エコエコアザラク」は新宗教ウイッカの洗礼呪文から・・・ではなく、同名のドラマからです。僕も後で調べて語源を知りましたしf^_^
こちらには原作漫画や映画・アニメもありますが、やはり本放送時に人気を博すも神戸の「あの事件」で放送が打ち切られた事で放送禁止作品入りした、ドラマ版が出て来るかと思います。
僕も封印作品・放送禁止作品はちょくちょく調べる都合で、頭にこの単語が残っていましたし。
また、同じくドゴラの呪文「エロイム、エッサイム」は「悪魔くん」に登場する呪文からですが・・・どちらもかなり古い、もしくはマニアックなネタですね(汗)
・カナエの「汚名挽回してぇ~」と言う台詞に対してヒジュラスが「正しくは汚名返上だ。」と訂正する台詞がありますが、実は「汚名挽回」も言葉としては間違っていないと言う説があります。
この辺りは理由を書くと長くなるので、各自検索して頂きたいのですが・・・「汚名挽回」は間違った四文字熟語ではないと言う方へ、この場面は「カナエは『汚名返上』と言いたかった所を『汚名挽回』と間違えて言ってしまった」、と言う場面である事を強調しておきます。
いやぁ、日本語ってやっぱりややこしいですね・・・
・ガイガンの台詞「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前の中ではな。」は、「ひだまりスケッチ」の台詞・・・ではなく、「少女ファイト」と言う漫画の台詞です。
「実は言ってないコラ台詞」の代表格ですね。
・続くメガロの台詞「よっしゃ、ラッキー!」は、「宇宙戦隊キュウレンジャー」の主人公・シシレッドことラッキーの口癖が元です。
・ガイガンの「お前が契約を破棄するのは勝手だ・・・」から「お前がオレ達の共犯になるしかないんだよ。」までの長台詞は、「仮面ライダービルド」の通称「万丈構文」のアレンジです。
こちらもこの構文に至るまでの経緯は話すと長くなるので各自調べて頂きたいのですが、とりあえず「お前が○○しないのは勝手だ。だがその場合、誰が○○すると思う?○○(万丈)だ。」と言う文章は見た事があるのでは無いでしょうか。前作の「エグゼイド」で言う「宝生永夢ゥ!」みたいな(笑)
個人的に、パロディの中でも上手くやれた方だと思っていますf^_^
・またまたガイガンの台詞「バカかお前は。人質は無事だから意味があるんだ~」は、「幽☆遊☆白書」の蔵馬の台詞が元です。
また幽白か!と思われたかもしれませんが、実際に幽白(特に蔵馬)の台詞って使い勝手がいいんですよね。
この台詞も、ぞんざいに扱われる・始末されるのが当たり前の認識になっている「人質」の本質を突いた台詞ですし。
・愛美華さんの長台詞「あら?もしかしてドゴラちゃんが攫われたのは・・・」は、「仮面ライダー鎧武」のマッドサイエンティスト・戦極凌馬の通称「私のせいだ」全文のアレンジです。
経緯は万丈構文と同じく各自で・・・なのですが、こちらは愛美華さん口調に合わせてかなりアレンジを加えていますので、ちょっと分かりにくかったかもしれません。
・同じく愛美華さんの台詞「だが私は謝らない」は、「仮面ライダー剣(ブレイド)」の烏丸(からすま)所長の有名なネタ台詞からです。
こちらも経緯は各自検索・・・で、上の「私のせいだ」と違って責任は感じつつも相手を信じていると言う台詞なのですが・・・解釈が難解でかつ、責任はあるのに謝っていないのは事実なので、故にネタ台詞と化している不遇の(?)台詞です。
・更にまたまた、愛美華さんの嘘予告の台詞「『それでも、兄様はやってない。』」は、映画「それでもボクはやってない」が元です。
この映画が痴漢の冤罪を描いた社会派作品で、嘘予告と合っているので引用しました(汗)
・レガシィの台詞「ソノウソホントォ?」は、ドラえもんに登場する同名のひみつ道具が元です。
「ウソ800」「うそつ機」等々の嘘に関するひみつ道具と若干被っていて、ウソ800の方が「帰ってきたドラえもん」での功績の影響で知名度がありますが、この道具もチート道具としてよく名前が挙がる道具です。
なにせ付けるだけで、喋った事が全て本当になるなんて・・・
最後に、本作は特別編でありながらこのあとがきを含め、第一・二・五弾のページ数もボリュームも抜いてしまう程の濃密な内容になりましたが、その分ヴィラン側の怪獣の魅力を描きつつ、第八弾でやり残した事を解消しながら次回への繋ぎとなった、特別編らしい話になったと思います。
とはいえ、実はまだやっていない事があと一つありまして・・・そう、第八弾終盤で話題に上った「温泉」の話です。
この件は本作を書き終わった後、また別の短編として既に執筆していますので、添削が終わっての公開を楽しみにしていて下さい。
ここまで見て下さり、ありがとうございました。
本作は第八弾のあとがきでも触れましたが、第八弾の暫定完成後に皇さんから提案された、劇中での「悪しき怪獣達」の動向を描いたサイドストーリーが執筆のきっかけになりました。
加えて、第八弾で僕が展開や執筆時間諸々の都合でカットした「招待」怪獣達の初対面時の描写や、既にプロットは出来上がっている第九弾への伏線、もっと会話させたかった怪獣同士の交流を描いたりと、第七弾後に発表した様々なSSSを一つのテーマと言う一本串を刺して一つの短編としたオムニバス短編とは違う、テーマに特化した最初から一つの話としてのサイドストーリーとなったかと思います。
では、本作の特記事項を順番に。
まず導入部として、第八弾ではいつのまにか悪しき怪獣側にいたシン・ゴジラ(蒲田くん)が何故悪しき怪獣側に付いたのかの描写を入れました。
クリス姐さんが唆すのは皇さんのアイデアで、蒲田くんの内に秘めた願いの補強や怪獣ランドでの計画の伏線もここで入れました。
最後のブルトンのみ、第八弾1ページ目のオマージュとして独自に登場させています。
次のラドン旅館でのガイガン・メガロによるカントの丸め込みも皇さんのアイデアですが、僕はどちらかと言うとカントが何故相手の思惑や危険を承知で悪しき怪獣に協力したのか・・・と言う点をちゃんと描きたいと思い、その理由付けを描きました。
やや強引なのは正直、否めないですが・・・カントも出来る限りの手段は尽くし、いざとなれば自分を犠牲にしてでも事態を解決しようと言う覚悟はしっかり描けたと思います。
理由の更なる深堀りとこの決断がもたらした結果は、後々のゴジラタワーでの一幕で描いています。
あとさりげなく、「エピソード・オブ・バラン」で登場させたフレアのコードネーム「カンピ・ルーラ」も出してみたり・・・
続けての「KAIJU」達による徹夜でのゴジラタワー建築も皇さんリクエストで、第八弾でナイフヘッドがイライラしていた原因を詳しく描く・・・予定でしたが、他の「KAIJU」達も参加していたと言う部分を拡大する事にして、元締めのスラターンを除く未登場の「KAIJU」達を登場させる事にしました。
オニババは勝手に現場の指揮を取り、ライジュウは自由な言動を繰り返し、その板挟みにあうスカナー・・・と言う構図はすぐに浮かびましたf^_^
別にオニババはライジュウ・スカナーといつも一緒にいるわけではないようですが、組ませてみると意外に合ったので、今後本編に登場したらトリオを組んでいるかもしれません。
「ゴジラジオin京都」で名前だけ、第八弾ではジンの声真似と言う形で出しているムタヴォア(ブレードヘッド)とアックスヘッドもようやく出せましたし、温和そうなのにきつい事を言う兄と、可愛らしいお嬢様な感じなのにきつい事を言う妹に挟まれ、怪獣ランドのマスコットキャラになる夢も奪われたナイフヘッドの苦しみが理解して頂けたと思います(笑)
わずかながら、怪獣ランドと言う施設を建てられた理由やレザーバックが怪獣ランドで妻子と共に家族サービスをしていた理由を書きつつ、執筆当初に公開したばかりだった「パシフィック・リム アップライジング」ネタも多数取り入れました。
ネタバレしまくっていますが、大体の怪獣ファンは観に行ったでしょうから大丈夫です・・・よね?
ライジュウが言った某金属生命体は出てくる予定はありませんが(汗)、アップライジング組は既に皇さんが設定を考えていますので、いつかは出したいです。
それから第八弾ではカットした、「招待」怪獣達の初対面の様子ですが・・・あれよあれよと書いている間にとんでもなく長くなりましたf^_^
最初は各グループで挨拶もほどほどにと言う感じで、城村さんが第八弾の感想でおっしゃっていた「アロナと他のモスラ姉妹、特にシンとの会話をもっと見たかったです。」と言うお言葉を受けてその辺りをじっくり描いたり、僕が入れたかったゴジラ・レッドとシュウの会話や、続編への伏線である「恐竜」の存在を愛美華さんに触れさせる、その程度で済ませる筈がいつもの悪い癖が出てしまいまして・・・
肝心の伏線や、今作が悪しき怪獣達が中心の話である点が薄まってしまいますので、ある程度で自重しなければ・・・
ちなみにレジェンドが触れた「アピ」は城村さん宅のGFWモスラ(チハヤの言う武闘派モスラ)の事で、既に城村さんがシュウ・ゆいと合わせて名前呼びのイラストを公開されているので名前を出してみました。
また、チハヤだけアイレナ「おかあさま」と平仮名で呼んでいるのは城村さんからのリクエストで照れ隠しをしている事を強調する為で、ラゴス・ゴジラが読心術を使う下りはみかんさんからのリクエストで追加したものです。
更にここから直結する形で、レザタチ夫妻によるドゴラ誘拐の詳細・・・と言う体のイチャイチャシーンになりますが、レザタチ夫妻がドゴラを誘拐するのは皇さんのアイデアで、結果的にシュウがドゴラ誘拐のきっかけを作ったのは城村さん・・・ではなく、僕の発案です。
カントもドゴラが危険な目に遭うのは分かっている、なら怪しまれない対策として護衛くらいは付けているはず、それなのにどうしてドゴラは誘拐されたのか・・・と連想する内に、「シュウが護衛のえんば組ごとお化け屋敷を爆破したから」と言う理由を思いつきました。
流れとしては自然な理由付けですが、結果シュウにドゴラ誘拐の責任の一因を担わせる・・・つまり貧乏くじ役を押し付けたと言う事でもあります。
情けない事にこれ以外に理由が浮かばず、一応城村さんは「シュウなら原因になっても仕方が無いです。」とは言って下さいましたが・・・ヴィラン役以外の他作者様のキャラを悪事の原因にするのは禁じ手であると、深く胸に刻んでおきます・・・
次のDG連合+ティフォン・ヒジュラスの会話シーンは僕の完全オリジナルですが、カントがゴジラタワーに引っかかるシチュエーションは皇さんからのアイデアです。
いつもの役割とこの後の落差を考え、このシーンのカントはなるべく滑稽になるようにしましたが、同時にいつもあえてぞんざいに扱っているヒジュラスにも一つくらいは良いと感じる所を書いておこうかな・・・と思い、第五弾ラストの意向返しとしてあの時と似た状態になったカントを助けさせる事としました。
これでカントとヒジュラスに因縁が出来たと思いますし、さりげなく「‐」バランとアンバーのデート・・・ではなく、散歩の様子も書けました(汗)
ここからなだれ込む「獅子身中の虫」になった結果起こったカントの贖罪と、「東宝チャンピオンまつり」のコンセプトに絡めた内に秘める仲間にしてライバルのゴジラ・レッドへの対抗心、まさに苦虫を噛むような思いを共有しながらカントに従うジンの忠誠心・・・
この辺りは第八弾序盤とリンクしながら進むので、本作ならではのストーリー進行になったかと思います。
・・・で、第八弾終了まで一気に進めた後に反省会のような会話が入りますが、これも僕が勝手に書いたものですf^_^
もちろん、シュウの責任の糾弾・茶化しが目的ではなく、ちゃんと謝らせたり他のゴジラ達からフォローされたり、更に悪い態度をするカントの平常運転を描く事で、シュウの責任とそれまでのシリアスさが少しでも軽減できれば・・・と言う思いで書いています。
第八弾と本作でだいぶ心が傷付いたカントも、これでようやく元の自分に戻れたかと思います。
続いては第八弾ラストで描かれた、UW・1973年の髑髏島でのコング・バラゴンVSスカル・クローラーズとの戦いの決着と、その後の補完は一部を除いて僕独自の案です。
髑髏島での下りはオリジナルの「キングコング 髑髏島の巨神」とオーバーラップさせる事を意識し、コングを助けた「人間」や「モナーク」、今の所は裏設定である「1995年にモナークが髑髏島を再調査した」事も入れてみました。
オリジナルで現在髑髏島がどうなっているかは不明ですので、「先代の加護(GNウォール)」で髑髏島が見えざる存在になっている・・・としましたが、これからオリジナルでどうなるのかが不安です(汗)
また、幼いコングとレガシィの初対面した時の回想シーンは城村さんがツイッターで上げられていたイラストを元にして追加したもので、最後のコング(レガシィ)の台詞は城村さんからうかがったものをそのまま使っています。
ちなみにこの場面は「髑髏島の巨神」の前日談となる公式アメコミ「SKULL ISLAND:THE BIRTH OF KONG」にて、スカル・クローラーによって殺されたコングの両親の死体を見た幼いコングが嘆く・・・と言うシーンからインスパイアされたもので、第八弾で皇さんが追加したコングの回想シーン(別の同族がスカル・クローラーに殺される所)も似た状況ですが、このアメコミの存在を知らずに書いた偶然の一致です。
それと今回、レガシィの口から「先代の加護(GNウォール)」についての説明がありますが、多少かいつまんでの説明なので第八弾執筆前に城村さんに送った、「先代の加護(GNウォール)」及びレガシィの設定文を一部改編して以下に掲載します。
・ペルム紀、異世界から侵略して来るM.U.T.O.やプリカーサーから仲間を守る為、死した先代コング達は自らの魂を「GN(Guard of Never)ウォール」と言う粒子そのものに変え、侵略者達から世界を守る事にした。
この「先代コング達の意識集合体」の代表者がレガシィコングの正体で、元々は先代達と同じ時代にいたアルビノ個体のコング族だった。
「遺産、形見、先人の遺物」を意味する「Legacy(レガシー)」が語源なのも、この立ち位置にいる事による。
・1967年、先代達はレガシィに髑髏島の地下に「穴」を作らせ、コング族最後の生き残りでありスカル・デビル&クローラーズを刺し違えても全滅させようと地下に乗り込んだキングコングを強引に異世界に逃がそうとするが、「穴」の先は2011年の「‐」世界のファロ島と繋がっており、バラゴンと出会ったキングコングはスカル・デビル&クローラーズ達を全滅させて生き抜く決意を固め、再び髑髏島に戻る。
その後、1973年に島の地下の「穴」から第八弾翌日の時間軸から来たバラゴンがコングの助っ人として現れるが、これ以上の歴史と空間の歪みを防ぐ為にレガシィによって「穴」は塞がれる。
・2016年、「ゴジラジオin京都」でブラウニーが「‐」世界に乱入する為に無理矢理作ったブリーチの影響が「穴」としてUWに現れ、それによってレジェンドか偶然にも「‐」世界に迷い込み、レジェンドを回収する際にレガシィが他の招待主と遭遇。
レガシィの一存でUW側も「招待」に参加する事になり、第六・七弾を経て先代達は異世界の怪獣と招待主達を信用。
本人の希望もあり、第八弾で「現代のコング」を満を持して「招待」させる。
・悪しき怪獣サイドはブラウニーが作ったブリーチを機にUWの存在を知り、第七弾前(「閉ざされた世界」の時)にヴィラン怪獣達を引き込んだ。
・UW怪獣が異世界でパワーアップするのは、元々はキングコングを生き残らせやすくする為の先代達の意思による仕様。
・プリカーサーはGNウォールの影響でUWに侵攻出来なくなったので、今度は獣人界を狙った。つまり、このプリカーサーは皇さん宅のキャラ。
・レガシィは招待主としての活動を行った後、先代達がいるGNウォールが存在する異世界との境界線「天上」へ行き、先代達に「招待」の報告をしている。
・普段レガシィは人間体でいるが、全身のGNウォールを解放する事で最大数百メートルの怪獣体になれる(「「G」を継ぐ者」の時や、第八弾でゴジラ・レッド達を助けたのはこの姿)。
人間体でも全身をGNウォールに変化させる事も可能で、人間程度の大きさなら如何なるモノもGNウォールで複製する事が出来る。
ついでに最後にレガシィが話していたのは、今はとりあえず「招待主」とだけ言っておきます。
約一柱、名前が出てしまっていますが・・・皆様もなんとなくお分かりになっていたかと思います(汗)
そして、ラストの柳さん宅のデストロイアの登場と次回の伏線となる彼の野望を持って、本作は幕を閉じます。
ずっと人間界(柳さん)サイドから出したいと思っていたヴィラン怪獣なので、ある意味最高のタイミングで出せたと思います。
第八弾では「テイル・リバース」本体、本作では「核」として登場した「メテオライト」ですが、名前の元は昭和キングギドラのみならず、グランドギドラやモンスターX(カイザーギドラ)も乗って来た「隕石」からで、形も昭和キングギドラの隕石とほぼ同じイメージです。
何故それが由来なのかは、デスギーが持って来たと言う点とデストロイアの台詞から推測すればお分かりになると思いますが、「メテオライト」の本当の能力は何なのか、何故ゴジラ・レッド達では壊せなかったのか、デストロイアはどのように使おうとしているのか・・・そこは次回明らかになるので、今は色々と予想してみて下さい。
ちなみにデストロイアが使った、空間を裂く技は「ヴァリアブル・スライサー」を意識したもので、ナイフヘッドの力を借りずとも独自にアンティヴァースに移動出来る設定です。
ここからは、本作の小ネタ・パロディの解説を。
・本作のタイトルはアニゴジ第二章「決戦機動増殖都市」公開前に発売された公式ノベライズ「プロジェクト・メカゴジラ」からで、皇さんが本作を提案して来た際の文面「『プロジェクト・テイル・リバース』みたいな話を・・・」を、そのまま採用しました。
・ドゴラの呪文「エコエコアザラク」は新宗教ウイッカの洗礼呪文から・・・ではなく、同名のドラマからです。僕も後で調べて語源を知りましたしf^_^
こちらには原作漫画や映画・アニメもありますが、やはり本放送時に人気を博すも神戸の「あの事件」で放送が打ち切られた事で放送禁止作品入りした、ドラマ版が出て来るかと思います。
僕も封印作品・放送禁止作品はちょくちょく調べる都合で、頭にこの単語が残っていましたし。
また、同じくドゴラの呪文「エロイム、エッサイム」は「悪魔くん」に登場する呪文からですが・・・どちらもかなり古い、もしくはマニアックなネタですね(汗)
・カナエの「汚名挽回してぇ~」と言う台詞に対してヒジュラスが「正しくは汚名返上だ。」と訂正する台詞がありますが、実は「汚名挽回」も言葉としては間違っていないと言う説があります。
この辺りは理由を書くと長くなるので、各自検索して頂きたいのですが・・・「汚名挽回」は間違った四文字熟語ではないと言う方へ、この場面は「カナエは『汚名返上』と言いたかった所を『汚名挽回』と間違えて言ってしまった」、と言う場面である事を強調しておきます。
いやぁ、日本語ってやっぱりややこしいですね・・・
・ガイガンの台詞「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前の中ではな。」は、「ひだまりスケッチ」の台詞・・・ではなく、「少女ファイト」と言う漫画の台詞です。
「実は言ってないコラ台詞」の代表格ですね。
・続くメガロの台詞「よっしゃ、ラッキー!」は、「宇宙戦隊キュウレンジャー」の主人公・シシレッドことラッキーの口癖が元です。
・ガイガンの「お前が契約を破棄するのは勝手だ・・・」から「お前がオレ達の共犯になるしかないんだよ。」までの長台詞は、「仮面ライダービルド」の通称「万丈構文」のアレンジです。
こちらもこの構文に至るまでの経緯は話すと長くなるので各自調べて頂きたいのですが、とりあえず「お前が○○しないのは勝手だ。だがその場合、誰が○○すると思う?○○(万丈)だ。」と言う文章は見た事があるのでは無いでしょうか。前作の「エグゼイド」で言う「宝生永夢ゥ!」みたいな(笑)
個人的に、パロディの中でも上手くやれた方だと思っていますf^_^
・またまたガイガンの台詞「バカかお前は。人質は無事だから意味があるんだ~」は、「幽☆遊☆白書」の蔵馬の台詞が元です。
また幽白か!と思われたかもしれませんが、実際に幽白(特に蔵馬)の台詞って使い勝手がいいんですよね。
この台詞も、ぞんざいに扱われる・始末されるのが当たり前の認識になっている「人質」の本質を突いた台詞ですし。
・愛美華さんの長台詞「あら?もしかしてドゴラちゃんが攫われたのは・・・」は、「仮面ライダー鎧武」のマッドサイエンティスト・戦極凌馬の通称「私のせいだ」全文のアレンジです。
経緯は万丈構文と同じく各自で・・・なのですが、こちらは愛美華さん口調に合わせてかなりアレンジを加えていますので、ちょっと分かりにくかったかもしれません。
・同じく愛美華さんの台詞「だが私は謝らない」は、「仮面ライダー剣(ブレイド)」の烏丸(からすま)所長の有名なネタ台詞からです。
こちらも経緯は各自検索・・・で、上の「私のせいだ」と違って責任は感じつつも相手を信じていると言う台詞なのですが・・・解釈が難解でかつ、責任はあるのに謝っていないのは事実なので、故にネタ台詞と化している不遇の(?)台詞です。
・更にまたまた、愛美華さんの嘘予告の台詞「『それでも、兄様はやってない。』」は、映画「それでもボクはやってない」が元です。
この映画が痴漢の冤罪を描いた社会派作品で、嘘予告と合っているので引用しました(汗)
・レガシィの台詞「ソノウソホントォ?」は、ドラえもんに登場する同名のひみつ道具が元です。
「ウソ800」「うそつ機」等々の嘘に関するひみつ道具と若干被っていて、ウソ800の方が「帰ってきたドラえもん」での功績の影響で知名度がありますが、この道具もチート道具としてよく名前が挙がる道具です。
なにせ付けるだけで、喋った事が全て本当になるなんて・・・
最後に、本作は特別編でありながらこのあとがきを含め、第一・二・五弾のページ数もボリュームも抜いてしまう程の濃密な内容になりましたが、その分ヴィラン側の怪獣の魅力を描きつつ、第八弾でやり残した事を解消しながら次回への繋ぎとなった、特別編らしい話になったと思います。
とはいえ、実はまだやっていない事があと一つありまして・・・そう、第八弾終盤で話題に上った「温泉」の話です。
この件は本作を書き終わった後、また別の短編として既に執筆していますので、添削が終わっての公開を楽しみにしていて下さい。
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