プロジェクト・テイル・リバース
「‐」世界・ファロ島ではUWから戻って来たバラゴンが迷宮洞窟を抜け、太陽が燦々(さんさん)と輝く外に出ていた。
バラゴン『ん~っ!!帰って来たっす、ねぇ・・・!じゃあ、とりあえず大桶谷の温泉にでも入って・・・』
???「チョリ~ス!バラゴン君、おっかえりなさぁ~い♪」
バラゴン『ただい・・・って、ええっ!?』
が、帰還早々に待ち構えていた人物にバラゴンは思わず腰を抜かしそうになる。
何せ、その相手はこの世界にいるはずの無い人物・・・レガシィコングだったのだから。
バラゴン『レ、レガシィさん!?なんで、ここにいるんですか!?』
レガシィ「細かい事は、気にしない☆それよりお願い聞いてくれてありがとね~!大変だっただろうけど、おつか~で~す♪」
バラゴン『い、いえ・・・それで、コングさんやあの島はあれからどうなりました?』
レガシィ「ボーちゃんは更に元気に過ごしてるよ~。バラゴン君が戦ってくれたお陰でクローラーズはほんの少しの残党だけになって、島の他の怪獣とか、原住民のイーウィス族のみなさんも無事だよ~?」
バラゴン『そ、それは良かったです・・・じゃあ、コングさんも今は島の外に行ったりしてるんですか?』
レガシィ「あ~、それがねぇ・・・昔色々あって、コング族は基本的に髑髏島から出ないんだ~。島の外は『王の一族』、つまりレジェっち達ゴジラ族の縄張りって事になってるから、勝手に出たらレジェっちとボーちゃんの世紀の一戦がヒィウィゴー!!しちゃうかもしれないんDeath!!』
バラゴン『えっ、それってレジェンドさんとコングさんが戦うかもしれない、って事ですか!?』
レガシィ『今はそうなるかも、だけどね?まー、今回出会った事で多少変わるかもしれないし、エンタメ大好きなボクちゃんとしたら、それはそれで好都合なんだけど・・・ね。
それに1995年、あれから20年くらいしてさっきバラゴン君が行った時にいた調査隊の人間達・・・『モナーク』って言うんだけど、そのモナークのメンバーの子供がボーちゃん達の存在を証明するとか言って、無理矢理再調査に来ちゃってさ。
当然、ボーちゃんは激おこぷんぷん丸!で、『先代の加護』をボクちゃんに使わせてそれ以降、島に誰も入れなくなっちゃってるってわけ。」
バラゴン『そんな・・・じゃあ、コングさんは今も島から出ずに・・・と言うか、その「先代の加護」って何ですか?コングさんもよく知らないって言ってました。』
レガシィ「え~っと・・・まぁ、これくらいなら大丈夫か、な?バラゴン君って、歴史は得意?」
バラゴン『は、はい。』
レガシィ「じゃっ、その言葉を信じて・・・時はペルム期、まぁ中生代より前の時代でこの頃はボーちゃんやレジェっちのご先祖が生きてた時代なんだけど、その頃のボクちゃんの世界はそれはそれは悲惨だったんだぁ・・・
宇宙から来た外来種みたいに迷惑な『偽りの王』とか言うふざけた奴らとか、怪獣ランドにもいた『KAIJU』の親玉とかの『侵略者』がどんどん押し寄せて来て、ボクちゃん達のご先祖がそれに必死に抵抗してたんだ。んで、そのご先祖達が死んだ後にこの世界を侵略者から護る為に自分達の意思を粒子状の力に変えて具現化して、この世界そのものをいかなる手段でも察知されないように遮断した・・・これが『先代の加護』さ。
今の髑髏島もそれで覆ってるから、人間どころか怪獣や侵略者にも『見えなく』なってるし、レジェっちがこの世界に来るまでボクちゃんの世界は招待主にも知られなかったんだ・・・まぁ、ほんとたま~にこの島にあるような『穴』が開いちゃう事があるんだけどね。」
バラゴン『す、すごい力ですね・・・あれ?でもじゃあレガシィさんって、何者なんですか?正直ここにいる時点でおかしいし、さっきの話もまるで昨日のように覚えてるみたいな感じで・・・』
レガシィ「・・・聞かれるかも、って思ってたけど、さ・・・今後も普通に『招待』されたければ、詮索も他言もしない方がいいんじゃないかなぁ?
キミも薄々この質問はタブーだって分かってるだろうし、もし逆らったら『今のままの君』ではいられなくなる、か・・・酷い時は、キミの存在そのものを消しちゃうよ?確実に。」
バラゴン『っ・・・!?』
黄金の瞳を開いた、本気モードのレガシィコングの回答・・・と言う名の脅迫。
首にナイフを突きつけられているわけでもないのに、バラゴンはまるで死神に魂を掴まれたかの如き恐怖心を感じ、自然と足がすくんで地面に座り込んでいた。
レガシィ「・・・な~んて、ねっ☆まっ、あんまりパパラッチみたいにしつこくしなけりゃオッケーオッケー♪バラゴン君は数少ないボーちゃんのマブダチなんだから、ボクちゃんもいなくなったらさみし~し!」
バラゴン『は・・・はい!もう詮索も他言も絶対しません!約束します!』
レガシィ「も~、驚かせ過ぎちゃってメンゴメンゴ!そうかしこまらないでって。ボクちゃんはただ、これから何があってもボーちゃんのマブダチになっててくれればいいからさ!」
バラゴン『わ、分かりました・・・と言うか、それだけでいいんですか?』
レガシィ「ウンウン!キミがボーちゃんのマブダチになってくれて、ボーちゃんはビフォーアフターくらい変わったんだから!なんと言う事でSHOW!それに多分、レジェっちにとっても・・・ね。
そう言うわけだから、これからも『招待』の参加、シクヨロで~す!ってわけで、チャオッ!!」
バラゴン『あっ、ちょっとレガシィさ・・・』
バラゴンが引き止める間も無く、レガシィコングの体は青緑色の粒子へと変わり、そのまま空の彼方へ消えてしまった。
バラゴン『・・・とにかく、今この疑問は胸の内に仕舞っておこう・・・でも、いつかちゃんと答えてくれますよね?レガシィさん・・・?』
呆然としながら、レガシィコングが去った空を見上げるバラゴン。
しかし彼は気付いていなかった・・・ファロ島地下迷宮の奥にある「穴」が、忽然と姿を消していた事に。
――レガシィコングよ、何だ今の会話は。
無闇に情報を開示し過ぎだ、疑えと言っているようなものではないか。
ーーそうよ、レガシィちゃん?
ガジャ・ナーガちゃんが既に多くの事を話してしまったのに、更に喋り過ぎな上に脅し過ぎよ。
自分達の事を勘づいてるのは、今は「あの子」だけで構わないのだから。
――まーまー、ゴジさんも母蘇羅たんもそう固い事言わないのっ!お灸は据えて来たし、ダイジョブダイジョブー!
――だいじょぶ、だいじょぶ~!!
――お前は反応せんでもよい。黙っておれ。
――何事も、平和的に解決するのが何よりさ。
ところで、次の「招待」の場所だけど・・・
――あっ、じゃあそろそろ俺の世界に・・・
――ねぇねぇ、次こそボクちゃんの世界に「招待」したいんだけど~、いいよね?
――うう・・・また、押し切られてもうたわ・・・
――・・・ふふっ。
そして遠い世界の果ての先、「高次元領域」。
今日も招待主達が、次の「招待」の相談を始めていた・・・