プロジェクト・テイル・リバース







怪獣ランド「招待」終了の翌日。
バラゴンはレガシィコングの頼みでUW・1973年の髑髏島に行き、キングコングとともに「髑髏の亡者」、スカル・デビルことイウィルア及びクローラーズと、壮絶な戦いを繰り広げた。



バラゴン『よくもコングさんの両親と仲間を・・・許さない!くらえっ、熱核光線!』
クローラーズ「「「ああ、べしぃ!!」」」



キングコングもまた、数日前から髑髏島へ調査に訪れていた人間達の中でキングコングの存在の大切さと、彼が心中に仕舞い込んだ孤独を理解した善良な人間の力も借りて、見事イウィルアを討ち取った。



イウィルア「がはっ・・・其の方への怨恨、魂魄になっても忘れぬぞ・・・必ずや、復しゅ・・・」
コング「悪魔はおとなしく、地獄へ堕ちろっ!!」
イウィルア「・・・!!」



コング――・・・父よ、母よ、仲間よ、そして先人達よ・・・!
オレは成し遂げました、悪魔の討伐を・・・
なのでどうか、遠い空の果てで安らかに見守っていて下さい・・・!



イウィルアとクローラーズを倒し、去って行く人間達を見届けたキングコングはバラゴンと合流。
どちらも疲労困憊だが、大きな目的を果たした達成感の方が大きい様子だ。



バラゴン『はーっ・・・やりましたね、コングさん・・・』
コング「そう、だな・・・共に戦えた事を感謝するぞ、バラナス・ドラゴン。それとあの人間・・・」
バラゴン『それと、あの?』
コング「いや、なんでもない・・・奴らは倒したが、次は人間共の問題だな・・・もしまた土足で踏み込んで来たら、レガシィに頼んで『先代の加護』でこの島を閉じてやろうか?」
バラゴン「先代の加護?」
コング「オレもよくは知らんが、レガシィだけが使える超常的な力らしい。『この島に誰も入れたくなくなったら言え』としか言われていない。」
バラゴン『そうなんですか・・・もしそうなったら、残念っすね。俺っちも行けなくなりそうですし・・・』
コング「お前は・・・地下からいつでも来ればいい。」
バラゴン『えっ?いいんですか!?』
コング「あ、ああ。お前はオレが・・・友と認めた男、だからな・・・」
バラゴン『や・・・やった~っ!俺っち、これで本当のコングさんの友達になれたんっすね~!もう、嬉しすぎるっすよ~!!』
コング「そ、そんなに騒ぐような事じゃないぞ・・・」
バラゴン『騒ぐような事、ですよ!俺っち、これで真にコングさんを救えたんですから!あっ、騒ぎと言えばコングさんにお伝えする事があったんだった・・・
うーん・・・禁則事項が多いので、話せない事ばかりですけど・・・今から40年くらい後に「招待」って言う良い怪獣達の集まりがあるんです。だからもし覚えていたら、是非来て下さい!俺っちが案内しますから!
約束っすよ!』
コング「・・・分かった。覚えていよう。」
バラゴン『ありがとうございます!じゃあこれで、俺っちの目的は果たしましたし、結構疲れましたんで・・・そろそろ元の世界に戻りますね。』
コング「そうか。達者でな。」
バラゴン『絶対また、ここに来ますね!約束っすよ!』
コング「・・・ああ。」



細くすらりとした、差し伸べられたバラゴンの手に、太く筋骨たくましいキングコングの手が重なる。
そしてバラゴンは、「‐」世界へ帰って行った。



コング「・・・島の外、か。外にはいるんだろうか?バラナス・ドラゴンや、あの人間達のような者達が。
だが、まだオレはこの島を離れるわけにはいかない。何故なら、オレはこの島の・・・」









――ぐすっ・・・!
パパ・・・ママァ・・・!!



――あ~あっ、キミ達もやられちゃったのかぁ・・・ナムアミダブツ。
そうなると、あとはそこのボウヤだけってワケ・・・ね。



――・・・だ、だれっ・・・?



――ボクちゃんはレガシィコング。名前くらいは知ってるでしょ?
それよりキミ、いつまで泣いてるつもり?



――えっ・・・?



――泣いてる暇があったら、強くなりな。
キミはこの島の・・・










コング「・・・最後の守護神、なんだよ。
あいつにそう言われてから、オレは「神」であり続ける為にひたすら強さを求め続けた。あの日からずっと・・・そして、これからも・・・!
・・・もしも、この島と世界から悪意が去り、真の平和が訪れたならば・・・行けるのだろうか?この『楽園』の外・・・『王の一族』の縄張りに。
ならば今は一先ず、オレは待っていよう・・・「招待」が来る、かの日を。」



幼少期の忘れえぬ記憶――両親を失った時と、レガシィコングと初めて会った時――を脳裏で回顧したキングコングは固く両拳を握り締め、バラゴンと約束した「かの日」を心待ちにしながら、森へと走り去って行った。










そして、それから47年の月日が流れ・・・



レガシィ「ってわけで、ボーちゃんも「招待」に参加しちゃったりしちゃな~い?」
コング「・・・いいだろう。」
レガシィ「・・・へ、へ~~~~っ!?ウッソ、ホントに!?ソノウソホントォ?ボクちゃん、絶対に一回は断られるって思って理論武装してたのに!」
コング「お前にそんな大層な武装が出来るか。昔約束した相手に会いに行くだけだ。レジェンドとか言うゴジラ族の男にも興味はあるが。」
レガシィ「なにはともあれ、イィヤッターーー!!流石はボクちゃんの心の友よ~!」
コング「離れろ、暑苦しい・・・とにかく、その相手かレジェンドとやらに会ったら帰る。」
レガシィ「遊園地に行くんだから、もっと楽しんだらいいのにねぇ~。まっ、とにかく「招待」は明日の、えっと・・・そう!太陽が真上に昇る時だから、遅刻は厳禁だゾ~?」
コング「時間など分からん。時が来たらお前が来い。」
レガシィ「ちょっと、なにソレ~!全部ボクちゃんに丸投げじゃんか~!」
コング「言いだしっぺはお前だ。お前が責任を持て。」
レガシィ「ちえっ、可愛げ無いねぇ~?最近のキミったら。ボクちゃんと出会った時は泣き虫で弱虫だったってのにねぇ~?」
コング「いつの話だ・・・」
レガシィ「んん~っ、ボーちゃんがいつにも増してつ・め・た・い・なっ!なんだかボクちゃん、昔のボーちゃんが恋しくなって来たな~。一度だけでいいから、魔法の力でまたボーちゃんが子供に戻ったりしないかなぁ~?」
コング「そんなバカな事があるか。それにたとえ老いたとしても・・・あいつならば分かる筈だ。
そうだろう・・・?バラナス・ドラゴン。」



「神」を超え、「王」となった彼は異世界の地で、「友」との再会を果たす事となった・・・
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好釦