プロジェクト・テイル・リバース







それから数日が経過し、「招待」前夜。
建築予定だった都内某所の遊園地を悪しき怪獣達が強引に確保し、既に「怪獣ランド」として作り替えられていた。
また、本来の遊園地にはなかったゴジラタワー・・・悪しき怪獣達によって造られた「退行化装置」こと「テイル・リバース」そのものを、アンティヴァースから派遣された「KAIJU」達が総出で建造している所だった。
厳密には数名の「KAIJU」はおらず、周りの遊具の改造までも「KAIJU」達が担当する事になり、「KAIJU」界において人間社会に最も精通しているナイフヘッド考案の設計図を元に、休み無しで働かされる「KAIJU」達は各々不満を垂れながら作業を続けていた。



オニババ「ほら、そこまだ全然進んどらんじゃないか!さっさとやらんか!」
スカナー「五月蝿い!お前こそ口より手を動かせ、オニババ!」
ライジュウ「オニババ、ずっと設計図持って命令ばっかりしてズルいな~。僕も命令したいな~。」
オニババ「黙らっしゃい!若造が老体相手に、生意気を言うのかい?今夜までに完成させないと、私があんた達の巻き添えでスラターン様に叱られるんだ!だから早くおしっ!!」
スカナー「全く・・・スラターン様の指示とは言え、何故俺達がこんな仕様も無い事をしなければならないんだ・・・」
ライジュウ「ねー、これこっちに運べばいーのー?」
オニババ「今日は何故か二丁目の生意気なライジン達やドローン共もいないんだ、ここで一番貢献すればきっとスラターン様に、私の甲羅を割って頂ける・・・!」
ライジュウ「オニババったら、また顔を赤くしてる・・・そもそも、なんで自慢の甲羅をスラターン様に割って欲しいんだろ?どーかしてるよね〜。」
スカナー「しっ!お前の小声が奴の同調に入ったら余計面倒だ、今は口を慎め・・・!」
オニババ「なんか言ったかい?」
スカナー「い、いや。最近噂の、創造主様が作ったらしい『人間共のブリキ人形』の姿をした『KAIJU』についての話をしていただけだ。」
オニババ「そうかい。まぁ、私には関係無いけどねぇ。」
ライジュウ「それ、僕も気になるな~。確か名前はオ・・・オプ・・・ティマス!!」
スカナー「それは別の星の金属生命体だ。正しくはオプシディアン・・・」



アックスヘッド「オニババ、指示の仕事しかしていないのにやけに張り切ってるね。」
ナイフヘッド「多分、俺達より先に日本に来た事があるからだろ・・・リム。」
アックスヘッド「しかし、人間の真似事を僕らブラザー達にやらせるなんて、本当に酷い話だよ。」
ブレードヘッド「なんなら全部壊しちゃいましょ?おにーさま方?」
ナイフヘッド「それはやめとけ!ムタヴォア!せっかく途中まで並べたドミノを崩すみたいな真似はよ・・・」
ブレードヘッド「あら?もしかしてこの周りのモノ全て、ナイフヘッドおにーさまがアレンジの案を立てたからですか?」
ナイフヘッド「そりゃそうだ!リム!ちなみに俺、ここがオープンしたらこの遊園地のマスコットキャラに・・・」
アックスヘッド「それは許さないよ。大体怪獣芸人をやってる時のブラザーって、憎き人間相手にも媚びた様な甘ったるい声を出してるでしょ。あれがイヤでも僕らの『同調』に入ってくるんだから、早いとこ止めてくれないかな?」
ナイフヘッド「あーハイハイ、兄貴の説教が終わったら考えてやりますよ、リム。」
ブレードヘッド「正直、わたくしから見ても怪獣芸人とやらをやっている時のおにーさま、小っ恥ずかしい上に笑えませんし、馬鹿馬鹿しくて見ていられませんわよ?」
ナイフヘッド「うっ・・・お前に言われると兄ちゃん一番きっつい・・・リム。」




オオタチ「はぁ、こっちもきついわぁ・・・母親にこんな事させるなんて、いくら創造主様やスラターン様からの命令でも嫌なものは嫌だわ・・・」
コタチ「・・・(zzz)」
レザーバック「無理せず休め、オオタチ。コタチを背負いながらはキツイだろ?」
オオタチ「そうね・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・はぁ。レザーの事を手伝いたいけど、アンティヴァースにコタチを置いて行くのも心配だし・・・」
レザーバック「当たり前だ、だからお前はコタチと一緒にそこで休んでろ。お前の分まで、オレがやってやる!うおォォォォォォ!!
ここは、オレ達の家族サービスの場だァ!!ワイフと娘の笑顔を見る為にィ、オレだけでもやってやるぞォォォォォ!!」
オオタチ「頑張ってね、レザー・・・よしよし、コタチはちゃんと寝るのよ・・・」
コタチ「・・・(zzz)」



ナイフヘッドーーはぁ・・・
ここにライジン様とハクジャとシュライクソーンの二丁目トリオに、ドローンブリキ人形共がいれば、もっと楽だってのに・・・創造主様は何を考えてるんだよ・・・
なんか二丁目トリオはリッパーズと相性テストとか言ってた気がするけど・・・合体でもさせんのか?
いやいや、まさかな・・・リム。
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好釦