イッツ・ア・スモールワールド




レジェンド「・・・」
ゴジラ・レッド「どうした?もしかして、コングの行方が気になるのか?」
レジェンド「・・・何故、分かる。」
ゴジラ・レッド「何故って、お前がアイツの事あんなに気にしてたからに決まってんだろ?オレもあの異常なまでのパワーとか、なんか世間離れし過ぎた雰囲気は気になるけどな。」
レジェンド「・・・奴は、己と同じ『王』になる可能性のある。だが、『王』は只一人・・・だからこそ、敵対した時の事を考えてしまう。」
ゴジラ・レッド「お前、色々極端過ぎるんだよ。鎌倉さんの時みたいに。蒲田くんだって最後は良いヤツになってくれたんだ、敵になるかもってだけでこのまま敵になる可能性は低いんだろ?だったらそれでいいじゃねぇか。お前もゴジラなら、もっとどっしり構えてりゃいいんだよ。」
レジェンド「・・・分かっている。己も、奴が『縄張り』から出ない限りは敵対する気はない。」
ゴジラ・レッド「むしろ、オレからすればあのレガシィコングってヤツの方が分からねぇ。お前も見ただろ、オレ達を助けた時のアイツを・・・アイツ、本当にただのコングの亜種なのか?」
レジェンド「・・・本当の『神』。己はそう思う。」
ゴジラ・レッド「神技を使ってたのは確かだな・・・まぁ、誰だろうが関係ねぇ。オレの世界にちょっかい出すってなら、相手が神だろうがオレはその喉笛に噛み付いてやるぜ・・・!」



ブルトン――・・・「神」が相手でも、一触即発。
流石だね、ゴジラ・レッド。
君が怪獣の王である限り、この箱庭の怪獣達は大丈夫だろう。
あとは・・・あそこで僕を見てるあの子は、もしかして気付いてしまったかな?
「僕ら」の存在に。






ラゴス・ゴジラ「・・・」


ーー・・・なんだろ、この感じ。
ブルトンを見てると、なんか変な感じがする・・・レガシィコングってのを一瞬見た時も、同じ感じがしたし・・・
懐かしさとか、親しさとか、不安とか怖さとか、なんか色んな感情が混ざったこの感じ・・・あっ!!
この感じ、ガジャ・ナーガと会った時と同じだ!
もしかして、あの時ガジャ・ナーガが言ってた他の招待主、って・・・?











一方、UW・南太平洋の何処かに浮かぶ島「髑髏島」。
GNウォールの嵐に覆われた、何者にも知られる事も、辿り着く事も無いこの島の断崖絶壁に、「招待」から抜け出したキングコングとレガシィコングが立っていた。
キングコングの体は「テイル・リバース」の影響が消え、本来の年齢に合わせた「元の姿」に戻っている。



レガシィ「それにしても、ホントに途中で抜け出しちゃって良かったの?ボクちゃん、もっと遊びたかったなぁ~!」
コング「なら、お前だけ戻れ。」
レガシィ「それはノンノン。一応ボクちゃんってばキミのオマケだから、本体がいないといる意味ないっちゅーか・・・
・・・うんうん、どうやら騒動は治まったようだね。バラゴン君にゴジラ親子・・・それからレジェっちも無事だよ。」
コング「そうか。」
レガシィ「キミも残って、一緒にチャイルド君と遊べばいいのにねぇ?いい加減バラゴン君の社会性を見習いなさぁい!」
コング「その必要は無い・・・今回が特例だっただけ。オレは本来、外の世界と関わる気など無いのだからな。」
レガシィ「ほんっとお堅いねぇ、ボーちゃんったら!まっ、だからこそキミはここでずっと生き延びられたんだろうけど、さ。とりあえずボクちゃんは『天上』に戻って『みんな』に今日の『招待』の事を報告したり、ブルちん達と今後の事を話し合って来るからさ、次呼ぶ時までゆっくりしときなよ。それじゃ、チャオッ☆」



レガシィコングがキングコングへ軽く手を振り、糸目を開いたと同時に彼の全身が青緑色の粒子へと変換されたかと思うと、みるみる内に肥大化。
粒子で形成された巨大な類人猿の姿に変わり、そのままGNウォールの嵐の中に消えて行った。
この「粒子の巨大類人猿」こそがゴジラ・レッドの言う、自分達をゴジラタワーから助けた時に見せた「神技」で、彼の懸念通りレガシィコングが只ならない存在である事を示していた。



コング「・・・次にお前と会う時、それは恐らくお前と・・・ゴジラ族との長きに渡る因縁に、決着を着ける時・・・コング族の歴史と誇りに賭け、ゴジラ族の生き残りのお前だけには、絶対負けない。その時は覚悟しておけ・・・ゴジラ・レジェンド。」



キングコングもまた表情一つ変えずにレガシィコングを黙って見送り、振り返って巨大な爪跡が残された岩山を見つめながら、これまでこの島で起こった出来事を回顧する。
そう・・・彼がこの島の「王」となるまでの、島にひしめく怪獣達との孤独な死闘の数々を。
約40年前に起こった、親を殺めた憎き「髑髏の悪魔」と決着を付けた、忘れえぬあの日の戦いを・・・






『・・・いきましょう!コングさん!』



『・・・話しているとなんとなく分かるんですよ・・・この人は誰かとの繋がりを欲してる、って。』



『・・・禁則事項が多いので、話せない事ばかりですけど・・・今から40年くらい後に「招待」って言う良い怪獣達の集まりがあるんです。だからもし覚えていたら、是非来て下さい!俺っちが案内しますから!
約束っすよ!』






コング「・・・それから、バラナス・ドラゴンよ。あの日のお前との約束、果たしたぞ。」
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好釦