イッツ・ア・スモールワールド




己の重力波を受け、全身に痛みが走りながら倒れるクリスだったが、残った結晶から宇宙エネルギーをかき集め、痛みを打ち消し再び立ち上がった。



クリス「あら、スペゴジ君にチェンジってわけ?私としてもあんな陳腐な女より、色々とやる気が湧いて来るわぁ・・・」
スペース「そうか、ならオレと戦え。同族として!」
クリス「同族・・・忘れるわけないじゃない?世界は違えど、ほとんど同じ存在なんだから・・・ただ、ここまでおイタをする悪い子とは思わなかったけどね!!」



声色は明らかに怒りに震えているのに関わらず、不気味な笑みを浮かべながらクリスはロッドからほとばしる電撃を繰り出し、スペースに向かわせる。
しかし、スペースはバリアを張って電撃を受け止めるとクリスへ突撃し、結晶剣を振るう。
クリスもすかさずロッドで剣を受け止め、お互い互角の状況だ。



スペース「何だお前は、どうして笑っていられる!」
クリス「だって、折角他の怪獣を抱き込んで盛大に仕掛けた私のハーレム計画がこうも簡単に崩されたのよ?こんなの、笑うしかないじゃなぁい!!私、そういう顔してるでしょ・・・!?」
スペース「狂っているな・・・だが、お前はオレが倒す!レッドには悪いが、それが同族としての使命だ!」
「‐」ゴジラ『待てっ!おれもやるっ!!』



と、そこに青く光らせた拳を振りかざした「‐」ゴジラが二人の間に割って入って来た。
双方共に「‐」ゴジラのパンチをかわす形になった事によって膠着状態が解かれ、一旦距離を取る。



スペース「何をする!邪魔するな!」
「‐」ゴジラ『お前こそ、かってな事言うな!クリスはみんなのてきなんだ、だからみんなでたおすんだ!おれもクリスを、ぜってぇゆるさねぇ!』
愛美華「そうね。私もそのゴジラさんに賛成よ・・・だって!」
シュウ「オレもあの[ピー]女に、百倍返しでお礼しないといけねぇんからなァ・・・!!」



更に頭の薔薇を外し、その心を体現したかのような乱れ髪の「植獣」モードになった愛美華と、鬼も裸足で逃げ出さんばかりのおぞましい形相をしたシュウが、ゆっくりと二人の後ろから歩いて来た。
今、この二人は怒りの沸点を軽く凌駕し計測不能の領域にまで達していた。



スペース「お前達まで余計な事をするな!あいつはオレが・・・」
シュウ「あァん?オレの邪魔するってんなら、お前も一緒にやっちまっていいんだぞォ?[ピー]や[ピー]して百倍返しが終わったら、お前にもやらせてやるからよ・・・!!」
愛美華「いいえ、あの女を『殺(や)る』のは私よ?それとも、先にあんたをおとなしくさせましょうか?さっきから汚過ぎる事ばっかり言ってて、耳が穢れるわ・・・」
シュウ「やれるもんならやってみろォ!!めんどくせェから、全員相手になってやるよ・・・この『最終戦争』の勝者の、オレがなァッ!!」
愛美華「つまりは、邪魔する人全員の血で真っ赤な薔薇を咲かせればいいって事ね?簡単じゃない・・・ふふふっ、楽しみだわ。だって皮肉じゃない?悪党の血の方が、キレイな花が咲くんですもの!!」



吹っ切れた二人は、真っ直ぐクリスへ向かって行った・・・が、その瞬間に愛美華を紘平が、シュウを「‐」ゴジラが背後から羽交い絞めにして静止する。



愛美華「あっ、兄様!離して!あの女だけは生かしてはおけないわ!!兄様だって、同じ気持ちでしょう!?」
紘平「確かに百発はぶん殴りたい気持ちは一緒だが落ち着け!愛美華!今のお前、色々ヤバい事になってるから!子供に見せられないから!」
愛美華「じゃあ、兄様も殺(や)って私も一緒に死ぬ、それでいいでしょう!?」
紘平「ヤンデレんな!めんどくせぇ!」
シュウ「は、な、せェ!!てめェ、ほんとにぶちのめすぞォ!![ピー]されてェのかァ!!」
「‐」ゴジラ『さっきから何言ってんのか分かんねぇけど、お前やっぱおちつけ!!おれはクリスをこらしめるだけでいいんだって!ゆいが見てるのに、お前までひどい事しようとすんな!』
スペース「・・・よく分からんが、その二人は任せたぞ!」
「‐」ゴジラ『あっ!ずるいぞスペゴジ!』



暴走する二人を必死に静止する紘平と「‐」ゴジラをよそに、スペースは再びクリスへ向かって行った。
水晶の剣と黄金の杖が再度激突し、鍔(つば)迫り合いを起こす。



クリス「ふふっ、私ったらモテモテじゃない?あのヤンデレビオランテ以外となら、ベッドで激しく責めて欲しいくらいねぇ♪」
スペース「破廉恥な事を言っている暇が、お前にあるのか!」
クリス「だって、それくらいはしないと・・・この胸の怒りが、収まらないんだからぁ!!」






幸「とうしゃん!ふぁいとー!えみかねぇをおさえるんだ~!!」
チャイルド『とうちゃ~ん!がんばれ~!!』
ゆい「もう、お兄ちゃんったらやめてってば~!」
ジン「どっちが敵なんだか、もう分かんねぇなこれ・・・ってわけで『え班』はあそこで山積みになってる『ん班』を回収。『ば班』は・・・」
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好釦