イッツ・ア・スモールワールド




???「そこまで!」



と、その時唐突に聞こえて来た一声が、この場にいる全員を静止した。



全員「「『!?』」」
ゴジラ・レッド「なんだ、アイツ・・・?」
???「僕の箱庭で、無駄な争いはしないでくれないか?ほら、その手を離して。怪獣王ゴジラ。」
ゴジラ・レッド「・・・アンタ、何者だ?」
ブルトン「僕の名は四次元怪獣・ブルトン。とりあえず一言で言えば、平和主義者さ。」



そう、彼らの前に現れたのは時計を持った神秘的な少年・・・ブルトンだった。
自身で作った、ブラックホールのような背後の異次元への入口を閉じながらゴジラ・レッドへ発した言葉に、ゴジラ・レッドはカントの胸ぐらを掴む手を離し、他の者もブルトンから発せられる形容しがたい圧迫感に、身動きが取れずにいた。



初代ゴジラ「あいつ、本当に怪獣か?」
ザウルス「なんだか、ガジャ・ナーガと話した時みたいな感じだ・・・」
レジェンド「・・・只者ではない。」
シン・ゴジラ(品川くん)「しゅご~い・・・」
「‐」バラン『彼奴から、神性を感じる。此れが身動きすら取れぬ理由か・・・?』
アンバー『貴方もですか?わたくしもです。わたくし達四神を生み出した、根源の力と似ているような・・・』
バラゴン『もしかして、招待主とか!
・・・いや、まさかそんなやんごとなき方がこんな簡単に来ないっすよねぇ。』
コング「・・・」


レガシィーーあららぁ、ブルちんったらやっぱし来ちゃったんだねぇ~。



レザーバック「オイ・・・待てよ、あの野郎はまさか!?」
オオタチ「それが本当なら聞いてないわよ、そんな話!」
コタチ「・・・(やなかんじ!)」
ヒジュラス『この我が、あんな小僧に怖じ気付いているだと・・・!?み、認めんぞ!!』



ブルトン「単刀直入に言うよ。そこのラドンと部下のメガギラス達が敵になった理由は、あのゴジラタワーの屋上にドゴラが捕らえられているからさ。」
カント「!?」
ブルトン「ここは僕に任せて、君達はゴジラタワーの屋上に行って。この異次元の扉を通れば、ゴジラタワーの屋上に行けるから。」
ゴジラ・レッド「・・・アンタ、なんでオレ達の味方をするんだ?」
ブルトン「さっき言っただろう?僕は平和主義者で、喧嘩が嫌いなだけなんだ。それにあそこには多分僕の探してるあの子もいると思うし・・・さっ、早く。」
ゴジラ・レッド「・・・分かった。それなら行かせて貰うぜ。待ってろよ、ドゴラ・・・カント。」
カント「・・・」
ゴジラ・レッド「お前ら、バトル中悪いがさっさと行くぞ!」
「‐」バラン『無論だ、別に奴らに構う必要は無いのだからな。』
初代ゴジラ「・・・命拾いしたな、性悪親子。」
ザウルス「あ、ありがとう!ブルトン!」
アンバー『わたくし達も、そのご好意に甘えさせて頂きます。感謝致します、ブルトン様。』
バラゴン『棚からぼた餅、ですね!本当にすみません!』
シン・ゴジラ(品川くん)「わぁ~い、ぐぅぐぅ(ぐるぐる)~。」
レガシィ「あっ、ボクちゃんはここに残ったりしちゃうんで、あとはシクヨロ~。」
レジェンド「・・・?」
コング「好きにしろ。」



ブルトンは右手を掲げて異世界への扉を作り、何故か留まる事にしたレガシィコングを除き、ゴジラ・レッド達は続々と扉を使ってゴジラタワーの屋上へ向かって行く。



ヒジュラス『あっ、姫が何処に行ってしまう!そこの小僧、何故か妙な圧迫感を感じるが・・・やはり、余計な真似なぞさせるかぁ!!』
オオタチ「ちょっと、あんた何する気!?」



アンバーが去ってしまう事に焦ったヒジュラスは両手を広げ、灼熱の熱風をブルトンへ浴びせようとする。



ブルトン「やれやれ、僕は平和的に解決したいって言ってるのに・・・仕方ない、ちょっと君の所と繋ぐよ。イフ。」



が、ブルトンは熱風が迫る中でもその余裕を全く崩す事無く、今度は左手を掲げて金色に光る異世界への扉を開く。
すると熱風が全て金色の扉へ吸い込まれて行ったかと思うと、間髪入れずに数倍に勢いを増した熱風がヒジュラスへ吹いて行き、逆にヒジュラスを吹き飛ばす。



ヒジュラス『う、うおおおおおっ!?』
オオタチ「ほら、言わんこっちゃない・・・」
レザーバック「余計な事してんじゃねぇ!バカか、テメェは!」
ブルトン「この扉の先にいるのは、あらゆる攻撃も受け止め、反射し、自分の力とする最強クラスの怪獣・・・『完全生命体イフ』さ。信じられないなら、もっと試してみるかい?僕の世界の怪獣ならともかく、別によそ者の怪獣、しかもならず者がどうなっても興味は無いし・・・」



金色の扉の中で顔を覗かせる、禍々しい紅い悪魔が黄金の鎧を身にまとったかのような姿をした、緋の瞳の怪獣。
ブルトンが言う「完全生命体・イフ」の全てを圧倒するプレッシャーに、悪しき怪獣達は反撃の意思を失っていた。



レザーバック「・・・ヤメだ。オマエが創造主サマから聞いた『あの存在』なら、手は出すなって言われてる・・・『触らぬブッダにタタリナシ』、だしな。」
オオタチ「私も、勝てない勝負をするつもりなんてさらさら無いわ・・・見逃してくれるなら全然歓迎。それなら私は家族サービスの続きがしたいし・・・ねぇ、コタチ?」
コタチ「・・・!(うんうん!)」
ヒジュラス『おのれ・・・!この屈辱、忘れんぞ・・・!!』
ブルトン「いい判断だ、じゃあ君達はそのままおとなしくしててくれないかな?ラドン、君も。もう少し待てば、彼らがきっとドゴラを連れて帰って来るからね。」
カント「・・・」
レガシィ「・・・探し物を早く取りに行きたいからって、ちょっとでしゃばり過ぎじゃないかなぁ、ブルちん?過保護過ぎるの、ボクちゃん良くないと思うよ?」



何故か、異様に親しげにブルトンに話しかけるレガシィコング。
彼の糸目はやや開かれ、鈍く光る黄金色の瞳が瞼(まぶた)の間から覗き込む・・・ただそれだけで、底知れぬ引力に吸い込まれるような得体の知れなさがレガシィコングを包み込み、いつもよりも低い声質がそれをより際立てていた。



ブルトン「そうかな?僕はこんな状況なら、これくらいのサポートはしてあげた方がいいと思うよ?それにそうやって「招待」に混ざるのもマズイんじゃないかな?レガシィ君。」
レガシィ「あれれぇ?ナイスアイデアだと思ったんだけどねぇ・・・ちなみにボクちゃん、このシチュなら別に一人二人死んでも仕方ないって思ってるよ?ボクちゃんドライだから仲間関係でも割り切れるんだなぁ、これが。そうして生きてきたし、これからも・・・ね。
まぁ、色んな世界を巻き戻してごちゃ混ぜにしてやりなおしちゃうくらいのお人好しのキミには、無理な相談かな?」
ブルトン「まぁ、確かにそうだね。だって、君と僕は同じようで違う・・・でも、やりたい事はいつでも一緒だけれど。」


――・・・さて、あの子はどんな顔をして僕の前に帰って来るのかな?一応ここまでは、君の好きにさせたからね・・・
あとは君次第だよ、怪獣王ゴジラ。



ブルトンもまた、レガシィコングに全く怖じ気付く事無く意味深な会話を繰り広げると、「探し物」がいるゴジラタワーを見上げるのだった。
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好釦