イッツ・ア・スモールワールド




オオタチ「レザーったら、激しくやってるわね・・・私もそろそろ行かないと。そう言うわけで、私のオモチャになるのは誰かしら?」
初代ゴジラ「・・・俺が行く。ザウルス、そこで待ってろ。」
ザウルス「やっぱり、今の俺じゃあ一緒に戦わせてはくれないか・・・分かった。頑張って、ゴジラさん。」
オオタチ「あんたが今日のオモチャ?見てからに近距離タイプってとこね、丁度いい・・・この尻尾で頭から砕いてあげる!」
初代ゴジラ「『機龍』だったら、なるべく戦いは避けたが・・・今は違う。ザウルスがいるからな・・・!」
オオタチ「私もそれなら好都合よ?だって、あんたを思いっきり引き裂いて、引き千切って、グチャグチャに出来るんだからぁ!!」
コタチ「・・・!(いけー!ばらばらだー!)」



ゴジラザウルスが見守る中、初代ゴジラとオオタチの激闘が始まった。
初代ゴジラは抜刀するやオオタチに切りかかるも、オオタチは素早い身のこなしで太刀筋を回避し、やや大振りの一太刀をかわした隙に噛み砕くように動く牙が付いた尾で初代ゴジラの刀を掴むと、力ずくで奪い取って右手に持つ。



ザウルス「ゴジラさんの刀が!?」
初代ゴジラ「ちっ・・・!」
オオタチ「あんたはこれでトドメを差してあげるわ。自慢の愛刀で死ねるなら本望じゃない?」
初代ゴジラ「お前、相当悪趣味な奴だな・・・友達いないだろ。」
オオタチ「はっ、なんとでも言いなさいな!せいぜいあんたのテリトリーは海と陸・・・けど私は、陸海空を制する唯一の『KAIJU』!空を飛べないあんたに、勝ち目なんてないんだよぉ!!」




オオタチは両腕の袖のストッパーを外し、まるで翼のような皮膜を両脇に形成したかと思うと、刀を尾で持ち変えて飛翔。
口から強酸性の青い血「KAIJU BLUE」を吐いて初代ゴジラを攻撃する。
初代ゴジラは疾走して「KAIJU BLUE」をどうにか避けているが、コンクリートや鉄板を容易く溶かしてしまうこの死の液体に当たる事は、決して許されない。



初代ゴジラ「くっ・・・」
ザウルス「あんなの当たったら、一巻の終わりだ!」
コタチ「・・・(ふわふわー!)」
オオタチ「ふふっ、楽しい?コタチ。でもそろそろ、邪魔者の絶望する声が聞きたいわよね・・・だから、あっちにもかけてあげましょうねぇぇ!!」



背中におぶったコタチと会話を終え、オオタチが次に見たのはゴジラザウルスだった。
邪悪な笑顔を浮かべ、オオタチはゴジラザウルスに向けて「KAIJU BLUE」を放つ。



ザウルス「!?」
初代ゴジラ「あいつ、ザウルスを!!」


ーー・・・これだけは、ザウルスの前で使いたくなかったが・・・!



何かの意を決した初代ゴジラは両手をお椀の形のように合わせて右脇に構え、掌に白いエネルギーを収束する。
そして両手を前に突き出すや、掌から白い煙のような炎が噴き出し、「KAIJU BLUE」を打ち消しながらそのまま空中のオオタチに向かって行き、彼女を撃墜した。
初代ゴジラの秘技「白熱光」だ。



オオタチ「なっ!?そんな飛び道具が・・・あううっ!!」
コタチ「・・・!(ママ!!)」
初代ゴジラ「俺の刀、返して貰うぞ!」



背中のコタチを庇い、あえてうつ伏せの状態で地面に直撃したオオタチから刀を取り戻した初代ゴジラはオオタチの首筋に刀を突きつけつつ、一瞬だけ振り返ってゴジラザウルスの安否を確認する。
勿論、未然に酸攻撃を防いだのでゴジラザウルスに異常はないのだが・・・



ザウルス「出たっ!ゴジラさんの必殺かめはめ波だ!」
初代ゴジラ「・・・やはり、こう言われるか・・・」






一方、キングコングVSレザーバックは状況が一転。
ゴジラタワーをKAIJU達が建設する際に余ったであろう、その場に落ちていた鉄骨を使ってレザーバックがキングコングを地面に押し込める形で拘束し、身動きが取れないキングコングへ今にもレザーバックが電撃を放とうとしていた。



レザーバック「こうなりゃ、ご自慢の怪力も形無しだなぁ?安心しな、オレ相手にここまでやった礼として、一撃で楽にしてやるからよ・・・!」
コング「この、下衆が!」
レザーバック「いいねぇ、アンタ等の罵倒はオレ達KAIJUにとっちゃ褒め言葉だぜ。さぁて、覚悟はでき・・・!?」
コタチ「わああああん!!」
レザーバック「はっ、コタチ!?オオタチィ!!」



・・・が、向こうから愛する我が子の泣き叫ぶ声が聞こえた瞬間、妻の危機を悟ったレザーバックの力が僅かに弱まり、自らの反撃を阻んでいる鉄骨の戒めが緩んだその一瞬の間を、キングコングは見逃さなかった。



コング「今だ!うおあぁあァァァッ!!」
レザーバック「しまっ・・・!?」



キングコングの咆哮がレザーバックの聴覚を劈き怯ませた途端、鉄骨は歪なV字を描いて空中に放り出され、更にコンマ数秒置いてから鈍い音が上がった。
キングコングが右腕を激しく捻らせて放ったコークスクリューパンチが、レザーバックの腹を捉えた音だ。



レザーバック「ぐはっ・・・!!」
コング「卑怯者め・・・!そんな手をオレに使って、生きて帰れると思うな!」



レザーバックが反撃前に転ずる前にキングコングの拳は再び相手の腹部を捉え、次は顔面、その次は左肩の角・・・と、殆ど相手に反撃の余地を与えない拳の猛攻は容赦なくレザーバックの全身を襲い、瞬く間に彼の戦意を喪失させる。



レザーバック「この、ふざけやが・・・ぐふっ!!」
コング「はぁあ!!」



キングコング渾身のストレートがレザーバックの頭部の真ん中を打ち据えた直後、彼の両足は立つ力を無くし、ドッ・・・という音と共に呆気なくその巨躯をうつ伏せに横たえた。



レザーバック「っぐ・・・コタ、チ・・・」



自分でも惨めだと思いつつ必死でそこから這おうとするも、頭が悪酔いでもしたかの様な感覚に襲われていて上手く進めない。
その代わりに辛うじて動く右手が、未だ響く愛娘の泣き声の方へ伸びる。
恐らくこの右手も、容赦なくキングコングにへし折られるだろう・・・覚悟さえ決めたレザーバックの頭を、走馬燈が走る。






『はぁ・・・何時まで待たせんだ、オレの相方・・・は?』
『え・・・彼が私と組む相手か・・・大丈夫かな?』
『隣座れよ。』


精神統合率の調査の為の相手として、オオタチと初めて出会った時。






『・・・ってワケだ。もう別に子作りの為の存在じゃねぇし、呼び方変えようぜ?そうだな・・・ワイフ、とかか?』
『・・・///』


彼女との間にいつしか愛が芽生え、オオタチを初めて「ワイフ」と呼んだ時。






『ほら、聞こえる?レザー。私のお腹の中からの鼓動・・・』
『ホ、ホントだ・・・!やったぜぇぇぇぇ!!』


オオタチの腹の中に、新しい命が生まれた時。






『こんなザマじゃあ、もう「アイツ等」を両手で抱きしめられねぇわ・・・オレはここまでだが・・・せめて、全て終わったあとで、子を無事に産んで・・・くれよ・・・
オオ、タチ・・・』


オオタチと共に出撃し、彼女の帰還と我が子・コタチの誕生を待つ間も無く、人間が造ったブリキ人形・イェーガーによって命を絶たれた時。





『・・・!!(あっ、パパだ!パパ~!)』
『これで、創造主様も喜んでくれるかしら・・・?』
『創造主サマとか、そんなの関係あるか・・・!オレはただ、もう会えるって思ってなかったコイツに・・・お前に会えただけで幸せなんだよぉ!!』


世界の時間が戻ってオオタチと再会し、コタチを初めて見た時。






『うぉぉぉぉぉっ!!こりゃタノシーぞぉぉぉぉぉ!!』
『全力で楽しむレザーったら、素敵よ~!コタチはど~う?』
『・・・(こたち、たのしい!)』


つい数時間前、悪しき怪獣達に黙って怪獣ランドのメリーゴーランドで、妻子と共に楽しんだ時・・・
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好釦