イッツ・ア・スモールワールド







懐かしいアトラクションもあれば、最先端のアトラクションもある。それが怪獣ランド。
ここはバーチャルリアリティ・略してVR技術による体感型アトラクション、「キミも怪獣使いになれる! 怪☆獣☆王 ウルトラモンスターズ ラッシュファイト!」
プレイヤーは怪獣を操る者「レイオニクス」となって「怪獣惑星」を巡りながらパートナーとなる怪獣を「モンスカード」で捕獲し、宇宙全ての支配を企むレイブラッド星人に挑む・・・と言う内容で、今は六人が同時プレイ中。
ちょうど捕獲タイムが終わり、レイブラッド星人との戦いに突入していた・・・






レイブラッド星人「良く来たな・・・私は全宇宙を支配する者、レイブラッド星人!私に歯向かう事の愚かさを、思い知るがいい!」



クワガタムシの鋏がそのまま顔になったかのような全身ダークブルーの巨大な影・レイブラッド星人が、プレイヤーのレイオニクス達にプレッシャーを与えて来る。
本当にそこにレイブラッド星人がいるかのような迫力だ。



ラゴス・ゴジラ「うるせぇ!!そんな野望、オレ達レイオニクスが阻止してやるぜ!!」
ジュニア「そうだ!ボク達、レイブラッド星人ゆるさない!」
チャイルド『ぼくのみくらすで、けちょんけちょんにしてやる~っ!!』
リトル「僕も僕も!みんなでやっつけてやる!」
ラドン「僕がいる限り、みんなに手出しはさせないよ!覚悟しろ、レイブラッド星人!」
「‐」ゴジラ『しまが言ってた・・・この世にまずいメシと悪が栄えたためしは無いってな!いくぜ、みんな!』
レイブラッド星人「かかって来い!!」



ラゴス・ゴジラ達は捕獲した怪獣を三体までキープ出来るアイテム「バトルナイザー」を眼の前にかざし、各々のパートナー怪獣を召喚する。
ちなみに先程のラゴス・ゴジラ達の台詞は全てアドリブで、レイブラッド星人との対戦前に一言だけ好きに喋っていい仕様になっている。



『バトルナイザー、モンスロード!』



バトルナイザーの召喚音声と共に現れた、彼らのパートナー怪獣は・・・


ズゥジャアアアアアアアウン・・・


「‐」ゴジラのパートナー、ゴモラ。
『おれ、こいつ見てビビビって来たんだ!ぜったい、パートナーにするって!』


グォモオオオオオウッ・・・


チャイルドのパートナー、ミクラス。
『かわいいけど、かっこいいんだよ!みくらす!』


ギィィゴォオオオオオオヴヴ・・・


ラゴス・ゴジラのパートナー、レッドキング。
「だって『レッド』と『キング』って入ってるなんて、サイコーじゃん!」


キィイイイイイイイッ・・・


ジュニアのパートナー、エレキング。
「お父さんの名前の『キング』、入ってる!電撃、かっこいい!」


シィウイィィィィィン・・・


ラドンのパートナー、リトラ。
「・・・何だか、他人な気がしなくて。」


ゴォムォウウウウウウ・・・


そして、リトルのパートナーのダンカン。
中々出会えない、レア怪獣だ。
「みんながうらやましがってた、ダンカンだ!すごいぞー!かっこいいぞー!」



レイブラッド星人「いでよ、超獣軍団!ベロクロン!バキシム!ドラゴリー!ルナチクス!アリブンタ!そして・・・暴君怪獣、タイラント!!」



レイブラッド星人もまた、配下の怪獣・・・いや、怪獣を超えた「超獣」軍団とボス怪獣のタイラントを差し向ける。
プレイヤーの所持する怪獣のランクに応じてレイブラッド星人の配下は変わるのだが、強化形態であるEX化への可能性を秘めたS級ランク怪獣のゴモラとレッドキング、更にレア怪獣のダンカンがいるからか、一番難しいパターンになっている。
しかし、ラゴス・ゴジラ達は決して怯まない。
この宇宙に、平和を取り戻すまでは・・・!



ラゴス・ゴジラ「オレ達を誰だと!!」
「‐」ゴジラ『思っていやがるっ!!』






所変わって、ゲスト達の食事と休息の場であるフードパーク。
いつもなら昼前程から引っ切り無しにゲストが訪れる場所だが、プレ・オープンなのでほとんどがら空きであり、中央辺りの机に「VS」ゴジラ、「‐」バラン、スペースが座っていた。
目的は勿論、「招待」終了までの時間潰しだ。



「VS」ゴジラ「・・・人間の遊具に乗って、何が面白いんだよ。」
「‐」バラン『同感だ。高所からの落下、上下運動、高速移動・・・何れも私達カイジュウならば造作も無い事だろうに・・・』
スペース「ここにゴジラ・レッドがいないのが残念だな。もしあいつが居たら『人類撲滅同盟』が揃ったんだが・・・」
機龍「あれ?それはもう『反人類撲滅同盟』によって形骸化してるって思ってたけど?」
アンバー『それに、あまりそんな物騒な言動をしてはいけませんよ?何事も平和的に進めるに越した事は無いのですから。』



そんな三人の会話に入る、飲み物を買って戻って来た機龍とアンバー。
この二人も無論、時間潰し中の三人に付き合って一緒にここにいる。



「VS」ゴジラ「勘違いするな、俺も平和を望んでる。俺はその為なら、障害を全て消し炭にするだけだ。」
機龍「お前はそれが多過ぎるから、勘違いされているんだけどね・・・」
「‐」バラン『ニンゲンが愚行を重ねる限り、其れを糾弾し、時に実力行使も辞さ無い・・・其れが我ら「人類撲滅同盟」だ。』
アンバー『・・・では、百歩譲ってそれが正しいとしても、場所は弁えましょう。ここは「楽しむ」為の場所なのですから。』
スペース「まぁ、アンバーの言う事にも一理ある。弟達の目もあるし、ここはなるべく・・・おっ、来たか。」
メガニューラ『『どうぞー。』』



と、そこへ従業員のメガニューラが二匹がかりで何か大きな物を持って来たかと思うと、スペース達の机に置く。
それは一人分と言うにはあまりに大きい、机の半分を占領する超巨大イチゴパフェだった。



「VS」ゴジラ「・・・」
「‐」バラン『・・・スペース、何だ此れは?』
スペース「モンスターサイズのパフェだ。最大級の人間の甘味がどんなものなのか、試してみたくなってな・・・いただきます。」
機龍「甘党だとは思ってたけど、やるねぇ。」
アンバー『あの、スペース様。一口だけ頂いてもよろしいでしょうか?わたくし、気になります。』
「‐」バラン『!』
スペース「あぁ。構わないが、一口だけだぞ?」
アンバー『心得ておりますよ、スペース様。ではお言葉に甘えまして、いただきます♪』
「VS」ゴジラ「・・・あいつ、ゴジラ族でもないのにやけにあっさりと分け与えたな?」
機龍「前に好きとまではいかないけど、元爬虫類系女子のアンバーさんは確かにキレイな女だ、とは言ってたような?」
スペース「・・・人間にしては悪くないな。このイチゴもクリームと合わさって、いい味を出している・・・これを食べる為に、地球に行くのもやぶさかではないか・・・?」
アンバー『本当にそうですね・・・心まで癒されそうです・・・!』
「‐」バラン『・・・』
機龍「女性は今も昔もスイーツ大好き、って事かな?バランは自分も頼めば、って思ったりした?」
「‐」バラン『う、五月蝿い!あんな糖分の塊を良くも嬉々と食せるなと、感心して居ただけだ!』
機龍「そうかい?まっ、色々頑張りなよ。」
「VS」ゴジラ「少なくとも、俺には無縁な話だな・・・そうだ。昔はあんなに皆飢えてたってのに・・・」
機龍「いや、これもまた現代が平和な証拠だと俺は思うな。あの頃に比べたら、民衆の満足度は確実に上がってるし・・・」
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好釦