イッツ・ア・スモールワールド
次は最近見かけなくなった懐かしのアトラクション、フリーフォール。
ドロップタワー型のライドにはチハヤとセラフィ・イムが搭乗しており、二人を乗せてライドは激しいスピードで降下する。
セラフィ・チハヤ「「わあーーーーーーーっ!!」」
ライドは絶妙なブレーキ加減で安全に停止し、レバーを上げて二人はライドから出る。
飛行可能なモスラ一族とは言え、やはりフリーフォールによる降下は一味違うようだ。
メガヌロン『おつかれしたー。』
チハヤ「はぁ、びっくりした。」
セラフィ「自由に飛べて急降下も経験してるのに、びっくりするのが不思議ね・・・イムもそう言ってる。」
イム『・・・。』
チハヤ「確かに。でも僕、セラフィと初めて出会った時の事を思い出してたよ。」
セラフィ「そう言えばあの時、このフリーフォールみたいに急降下して来たわね。チハヤって。」
チハヤ「じゃあ、もう一回乗って僕の気分で急降下してみる?」
セラフィ「ふふっ。それ、賛成!」
シン「このままどんどんいっちゃえぇ~~っ!!!」
チハヤ、セラフィ「「えっ?」」
シン「いえぇ~い・・・あっ!!チハヤにセラフィじゃな~い!!楽しんでる~~~?」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
セラフィ「シン姉さんに、鎌倉さ・・・」
チハヤ「そ、それって・・・」
そこに何の脈絡も無く現れたのは、遊園地中を回るように敷かれた線路をゆっくりと走る、ポップな爆弾の絵がプリントされた無人の新幹線型の小型ライド機に乗るシンと、同じくポップな爆弾の絵がプリントされている無人の在来線電車型の小型ライド機に乗るシン・ゴジラ(鎌倉さん)だった。
親子が乗る事を想定している為に小型ライド機はある程度大きいものの、それでもシンでなんとか違和感の無い風体で、長身のシン・ゴジラ(鎌倉さん)には誰が見ても不釣り合いであり、何とも言えないシュールさにチハヤとセラフィは言葉が出ない。
シン「見て見てっ!他の地球にはこんな乗り物があるのね~☆おもしろ~い!!」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
チハヤ「そ、そうですねぇ・・・」
セラフィ「二人共、楽しそうで何よりです・・・」
シン「でしょー!!他にも色々あったから、二人も乗ってみて☆じゃっ!しゅっぱ~つ、しんこ~う!!!」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)が今置かれている違和感から生じる二人の様子に最後まで気付く事なく、シンは彼と一緒に線路の行くがままに去って行き、すっかり気分を削がれたチハヤとセラフィはそれをただ見守る事しか出来なかった。
イム『・・・?』
チハヤ「・・・フリーフォール、もう一回行こっか。」
セラフィ「・・・そうね。」
フリーフォールのすぐ近くにある、これまたレトロなアトラクションに位置するコーヒーカップ。
今、カップはアロナ・ヒタム、「VS」モスラ・バトラの二大モスラ夫婦を乗せ、ゆるやかに回り回っていた。
アロナ「くるくる回ってますね、ヒタムさん。」
ヒタム「あぁ。」
アロナ「あなたと二人っきりで、こうして回るのもいいですね。」
ヒタム「そうだな・・・」
アロナ「チハヤったら、本当にセラフィさんと仲がいいですよね・・・まさか、付き合ったりしているのでしょうか?」
ヒタム「・・・それは無いと思うぞ?」
ゆっくり回りながらゆっくりする、アロナとヒタム。
「VS」モスラ「こうして回っていると、あなたと分かりあえた時の事を思い出すわね。」
バトラ「俺とお前の、初めての共同作業だな。ゴジラの奴が噛み付いてこなきゃ、あのままランデブー出来たのによ。」
「VS」モスラ「もう、そんな事言ったらゴジラがまた怒るわよ?」
バトラ「あいつは変に繊細なスイッチが付いた不発弾みたいなもんだ、その爆発に巻き込まれるこっちの身にもなって欲しいっての・・・あいつやっぱり、俺達のアツアツさをひがんでるんだって。」
「VS」モスラ「そうかしら、ふふっ。」
「VS」ゴジラが不本意ながらも結果として恋のキューピッドとなった、1992年の戦いを回顧する「VS」モスラとバトラ。
二つの夫婦の愛のループは、まだ終わりそうに無い。
遊園地でカップルに人気のアトラクションと言えば・・・そう、お化け屋敷。
今はレジェンド、シン・ゴジラ(品川くん)、シュウ、ゆいが中に入っている。
ゆい「うぅ・・・こ、こわいよ・・・お兄ちゃん・・・」
シュウ「まだお化けも出てねぇだろ、弱音を吐くな。お前の精神を鍛える為に来たんだし、こいつらも平気そうにしてんだろ?」
レジェンド「・・・」
シン・ゴジラ(品川くん)「おばけ、あいあ(た)いあ(な)。」
ゆい「え~っ!おじさんと品川くんなら当たり前だよ!」
シュウ「つべこべ言うな。ほら、覚悟を決めろ!」
ゆい「ええっ!?そ、そん・・・」
???「わあ~っ!!」
ゆい「っーーー!?」
ゆいが言い終わる前に、全身青白い色をしたカーテンのようなドレスを着た、前髪で目が見えないやや不気味な少女のお化けが出てくる。
ゆい以外は恐怖心なんて物を持ち合わせていない連中なので全く動じなかったが、不意を疲れたゆいへの精神ダメージは大きい。
ドゴラ「・・・あれ、おどろいてない・・・わあ~!わあ~!」
お化け役である、ラドン旅館に住んでいる宇宙怪獣・ドゴラは予想外の反応に必死に驚かそうとするも、ゆい以外には失敗。
ちなみにドゴラの衣装は普段通り・・・つまり、素の状態である。
レジェンド「・・・珍しい気配だ。」
シン・ゴジラ(品川くん)「あはは、おもしお(ろ)ぉい。」
シュウ「悪ぃな、こんな子供騙しにビビるかっての。おい、ゆいも何か言ってや・・・」
そう言ってシュウがゆいをドゴラへけしかけようと彼女の肩を持った・・・その時、シュウは気付いた。
ゆいの肩が、異常なまでに震えている事を。
ゆい「・・・っ・・・!!」
ゆいの顔こそ見なかったものの、兄である彼には分かった。
ゆいは自分の期待に応えようと、必死に涙を堪えているのを。
そして、妹思いのシュウの心に怒りの炎が静かに湧き上がった。
ドゴラ「あっ・・・この子はなきそ・・・」
シュウ「おい、てめェ・・・よくもゆいを泣かせやがったなァ・・・?」
ドゴラ「ひ!」
レジェンド「・・・シュウの背後に、般若が見える。」
シュウ「大罪を犯したからにはァ・・・覚悟は出来てんだろうなァ?あぁん?」
レジェンド「・・・来た目的と矛盾しているぞ。」
シン・ゴジラ(品川くん)「・・・げきおこ?おこさま?」
ドゴラ「ご、ごめんなさ~いっ!!」
その後、レジェンドの決死の静止によってドゴラは無事に逃走。
被害はお化け屋敷だけで済んだと言う・・・
ドゴラ「ふぅ・・・とりあえず、カントさんの所に戻らないと・・・!?」
???「あら?迷子の迷子の子猫ちゃん・・・かしら?」
???「じゃあ、迷子センターに連れて行ってやらねぇとなぁ?」
ドゴラ「・・・!!」