「禁断の書物」番外戦 エピソード・オブ・バラン~地球に神が降りた日~
本作を見て下さり、ありがとうございました。
本作は「バラン59周年記念」「サイト11周年」を兼ねた記念作となっていますが、正直これは本作を書いて公開する為の方便で(汗)、元から僧バランの不満足期の話は書きたいと思っていました。
そこになんばマルイでのゴジラハロウィンイベントの情報が入り、関西組でオフ会形式で行こうと言う事になったので、みかんさん向けに軽く僧バランが初めて岩屋村に来た時のコミカルな話程度にしようと思っていたのですが・・・みかんさんから僧バランも「紅い悪魔」襲撃後に一度怪獣界に帰還していた設定を聞いて、岩屋村に行く前後のストーリーがどんどん浮かび、それに連れて話の長さやシリアス度が増して行き・・・とても短編集に収まるような内容で無くなったので、単独の作品として公開する事にしました。
それに合わせてみかんさんとのディスカッションも多くなったのですが、なにせみかんさんも詳しく決めていなかった事を扱った分、議論や設定の変更・要望もまた多くなりました。
中でも怪獣界と地球の時事列が一番ややこしくなり・・・
・第四弾での幼獣時代(みかんさん曰く40歳)のラゴス・ゴジラの地球訪問時の回想が戦国時代だったので、現代との時間差を合わせる為に僧バランの初来訪時期を室町~安土桃山時代に設定。
→やはり、怪獣界と地球の時間の進みは同じにして欲しいとの要望。
→それだと第四弾の回想と矛盾するので、現代の地球を江戸時代にしないと駄目になると進言。
→そうなってもいいので、時間の進みは絶対同じにして欲しいとの要望。
→採用によって僧バランの初来訪時代を戦国時代に、「各異世界概説」や怪獣達の文化レベルの意識の変更(第五弾など)。
・・・と言う議論や作業を、14日に公開しようと思っていた時に14日中に一気に行いました。
僕が妙に時事列や設定にこだわり、二度に渡っての入念な日本史の調査や、江戸時代に変更した事によって「怪獣界の怪獣は環境汚染された地球の空気やそれを行った人間を嫌っている」と言う設定が破綻しないか、環境汚染の歴史を調べたり・・・と、重箱の角を針で叩くような事をしたのもいけなかったと思いますが、やはり史実の歴史が絡む以上は蔑ろには出来なかったので・・・
最初は地球での紀年紀(A.D.)も書いていたのですが、一連の変更の影響で戦国~江戸時代と曖昧にしました。
このように作者側は非常に混乱した作品ですが、主に第四・五弾の僧バラン、ラゴス・ゴジラの行動に繋がる伏線を張ったりと、「エピソード0」としては良いものになったと思いますし、タイトルや独白など「禁断の書物」になるべく近付いた作品になるよう努力はさせて頂きました。
最終的にみかんさんからも「私に出来ない事を見事にやって下さった」との言葉を頂いたので、この作品への評価として受け取らせて頂きます・・・!
本作は前述の通り、単に「僧バランが初めて地球の岩屋村に行って「なんとぉー!」繋がりで漫画版ガンダムF91のシーブックの台詞を吐きながら怪獣を倒して、だが・・・奴は弾けた。」な作品にする予定でした。
後から思いついた前後のエピソードとややテイストの剥離があるのはその為ですが、それでも本来はこの部分を書きたかったので、構想そのままで書く事にしました。
ここで登場したセルヴァムはご存知の通り来月公開の「GODZILLA 怪獣惑星」からの先行登場で、本作のサプライズポイントです。
採用自体は僧バランの手頃な相手として、原作ではゴジラの変異種である設定から「創造神」と「破壊神」が関わる設定を付けて出しましたが、これ以上の設定も出番も今の所はありません。完全に出オチかつ投げっぱなしですf^_^
ここで初披露した僧バランの怪獣体及び戦闘ですが、後々僧になるので錫杖の「輪」をイメージした攻撃を、叫び声は「‐」バラン・アンバーと出だしは共通に、独自のものを作りました。
また、コアなファンなら気付いたかもしれませんが、本作に登場する岩屋村の神主はもろに「大怪獣バラン」に登場した神主をイメージしています。
「だまらっしゃい!バラダギ様に会おうなど、なんとあきれたお方だ・・・!帰らっしゃい!」の台詞も、オリジナルで発していた神主の個人的に印象に残った台詞を一纏めにしたものですし(笑)
岩屋村の描写もなるべくオリジナルに近づけていますので、是非「大怪獣バラン」をご覧になって確かめてみて下さい。
他に触れる点としては、やはり不満足期の僧バランとラゴス・ゴジラ・スペースの母親であるリエラの登場ですね。
不満足期は過去作でも言われている「‐」バランのようなキャラにしつつ、ふとしたきっかけで外の世界に触れ、傲慢を機に大切な場所と人を失い、変わりたいと強く願う事で後の性格・思想に繋がる己の確立を果たす・・・と言う流れで、これは「テイルズオブジアビス」の主人公・ルークを強く意識しています。
二人の更正前後の性格は入れ替わっている感がありますが(汗)、ルークで言う「親善大使」が不満足期バランで言う「岩屋の神」、ルークで言う「俺は悪くねぇ!」が不満足期バランで言う「岩屋の地の放棄とラゴス島壊滅・リエラの死」、ルークで言う「断髪」が不満足期バランで言う「僧化」と言った感じですね。
他にも更正を分かりやすくする為にゴロザウルスを出演させたり(ちなみにみかんさん曰く100年前のゴロザウルスは約200歳との事)、ラゴス・ゴジラは抜け殻状態だとみかんさんから聞いて、僧バランが彼を救おうとするエピソードを増やしたりもしました。
ラゴス・ゴジラとスペースは第三弾以前も僧バランを忘れていないと言う設定があるので、リエラとの会話も含めてその補強になったかな、と思います。
リエラは前日譚要素を強めるのと、僧バランが地球に行った最大の動機として出してみました。
性格は詳しいプロフィールや設定を元に、アンバーのイメージを足して書いていまして、これで僧バランがアンバーに惚れたのにもちょっと筋が通るかな・・・と思います。
あとリエラを登場させるに当たり、みかんさんから彼女について驚きの裏設定を聞いたのですが、本当にとんでもない事なので今は伏せておきます。
「みんな誰もが自分が何者かを探している、私もそう・・・」の台詞が伏線なのは明かしておきますので、同じくしれっとバラしたビオランテの正体の一つと合わせて考えてみて下さい。
次に本作の起承転結で言う「結」の部分に当たる、オールバラン集合の箇所について。
元は別の短編として書こうと考えていたものを、本作に合流させる事を思い付いて「結」の部分となった過程があるので、この箇所だけは予め皇さん・城村さんにそれぞれフレア・波羅蛇麒の登場許可とプロフィールを伺った上で、前述のハロウィンイベントオフ会用に書いていましたが、オフ会がお流れになったので10月14日のバランの誕生日に女性陣全員に送らせて頂き、添削が終わった最終版を最後に追加しました。
そういう意味ではこの箇所だけは別の話と言えますし、みかんさん以外に送ったバージョンでは本作の1~8ページの部分がまだ未公開だったので、10ページの〆の部分のリエラについて触れる僧バランの台詞や地の文を変更し、単独で完結する形にしました。
女性陣に皆様にはご迷惑をお掛けしましたが、何年も前から僕としても悲願だったバラン一族が一同に会する機会が出来て、心から感無量です・・・!
こうして本作から登場となった、皇さん宅のバラン・フレアと城村さん宅のバラン・波羅蛇麒について色々と。
フレアは第七弾の初期案の頃、つまり半年以上前から出そうと思っていまして、その頃から「招待」状の配達役などの立ち位置は固まっていました。
皇さんのサイト内のリレー小説で出番があったので、口調や振る舞いなどを十分に予習出来ていたのもポイントです。
他の差別化要素として、名前や没ネーム案にアイヌ語要素が目立ったのでアイヌ語好きとし、没ネームもコードネームとして採用しました。
没個性的になりがちのマジメ君気質も「‐」バランとの相性の良さや、参加出来なかったのではなく「しなかった」と言う形でこれまで出てこなかった事のフォローにしつつ際立ったかな・・・とf^_^
他にフレアを書いている内、どうも僕の頭の中で「オーバーマン キングゲイナー」が過ぎり続けたので、口調やキャラの雰囲気に主人公のゲイナーを、設定上のフレアの技にキングゲイナーの必殺技のオーバーフリーズ(寒風)・オーバーヒート(熱風)を盛り込みました。
冷気と熱気の片方は使えても、それを同時にコントロール出来るのは中々無いので、彼の新たな個性になったかな・・・と思います。
波羅蛇麒は特別編2を書く際に城村さんのpixivのイラストを見まくった時、つまりこちらも半年くらい前からいつかは出したいと思っていました。
イラスト自体は集合画が一枚あるだけですが、登場に当たってかなり昔の落書きイラストを見せて頂いたので、プロフと合わせてイメージは大丈夫でした。
同じ白い女バランのアンバーとそこはかとなく親密にさせたり、逆に僧バランとはちょっと合わないかな?と匂わせてみたりと、ある意味真にクールな彼女の魅力が短い間に伝わる事を目指しました。
ちなみに「札物に強い」「風で気配を察知したり声を届けたりする」設定はこちらで増やした設定で、前者はその場の思いつきで(千早を着ているから?(汗))、後者は「仮面ライダー剣」に登場するタランチュラアンデッドこと嶋さんの能力から拝借しました。
執筆時に東映公式YouTubeで「剣」が配信していた影響もありますが、華麗なる波羅蛇麒に良く似合う素敵な能力だと思いまして。
この二人の次の出番はまだ未定ですが、今回は顔見せ程度なので長編の何処かでまた活躍させたいですね。
他にも第七弾ではあまり触れなかった、護国バランの「2002年の呉爾羅の報復は正しいと判断して、あえて何もしなかった理由と決着」を描けたのも、個人的に今回の話をやった甲斐がありましたし、僕のバランである「‐」バランとアンバーも橋渡し役になれたかな・・・と思います。
ちなみに、このオールバランを実現した「ある招待主」はネタバレ・・・しなくても間違いなく「‐」世界の招待主です(笑)
誰であるかはまだ伏せておきますが、ヒントを出しますと「「G」クロ本編及び関連短編で出した事のあるキャラ」です。
あらかじめ僕の「G」クロ作品を読んで頂きましたら、考察やネタばらしの際にピンと来ると思います・・・!
ここからは、本作の小ネタの解説を少し。
・不満足期僧バランが怪獣体になる時に唱えた「金剛界曼荼羅」は、「デジモンテイマーズ」等に登場するサクヤモンの必殺技が元です。
性別は(「テイマーズ」では一応)違いますが、あちらも錫杖を持つ和風デジモンなので合うかと思ったのと、読経の文を考えるまで手が回らなかったのが理由ですf^_^
・僧になった僧バランがリエラの墓前で言った「多分、初恋だった・・・」の台詞は「コードギアス 反逆のルルーシュ」でのある場面での台詞です。
一応知らない方の為に、この台詞に至った経緯はここでは書きませんが、「相手を失って初めて気付いた本当の想い」「その相手には心を開いていた理由を知った事への後悔」・・・と、僧バランのリエラへの本心を示す切ない台詞として拝借したつもりで、決してギャグとして書いたわけではありません。
と言うのも、みかんさん曰くは「リエラは人妻なのに!」と大爆笑だったそうなので、もしかしたら僕の意図した事が他の方にも伝わっていないかもしれないと思い、書かせて頂きました。
・再び岩屋村に帰還した僧バランの台詞「おろ?」は、もちろん「るろうに剣心」の主人公・剣心の口癖が元です。
僕の中で不満足期僧バランの外見イメージは、髪型も合わせて実写版での灰を基調にした(原作でお馴染みの緋色基調ではない)方の衣装ですね。
最後に、本作は今まで出来なかった・やらなかった事が続々と出来た、挑戦・意欲作でした。
本作を踏まえて過去の作品や「禁断の書物」を読むと、また違った感じで読めると思います。
また、本作を書くに当たってイメージソングとして「機動武闘伝Gガンダム」の後期OP「Trust You Forever」を頭の中で流しながら書きました。
二番の歌詞のように「太陽が落ちるまで拳を握り殴りあったり」、「傷だらけの友と似た者同士と笑って」はいませんが、それ以外は兼ね本作での僧バランの心境や境遇に合った歌詞になっていると思いますので、知らない方は聴いてみてから読み直して下さると嬉しいです。
遂に集合したバラン組こと「同志の集い」、今回だけとは言わずこれからも出して行きたいですね。
そして・・・誕生日おめでとう!バラン!
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