「禁断の書物」番外戦 エピソード・オブ・バラン~地球に神が降りた日~







正直、地球に帰るのは怖い。



拙僧に救いを求めていた民を、己が事情を優先して拙僧は見捨てた。



そんな彼らの元へ、あわよくば戻ろうとしているのだから。



虫が良い話だと非難されるだろう。
お前は偽神だと蔑まれるだろう。
罵声の嵐が心を襲うだろう。
最悪、村を追い出されるだろう。



それでも、拙僧は行かなければならない。



何故なら、今はまだ拙僧は岩屋の地の「神」なのだから・・・










地球、岩屋の地。
もう帰る事が無いと思われていた「バラダギ様」が、再びこの地に光臨した。
留守にしている間に特に異変は無かったようだが、村は何故か異様なまでに静まり返っている。



バラン「どうしたんだ?人っ子1人いないではないか?時間もそれほど過ぎていないはずだが・・・?」



民の姿が無いのを不審に思いつつ、村中を回ったバランは最後に村の奥の祭壇の場へ向かう。
すると、その時・・・



神主「バラダギ様の、おか~え~り~っ!!」
村人達「「「バラダギ様!!お帰りなさいませ!!」」」
バラン「・・・おろ?」
神主「よくぞ神の世界より帰られました!バラダギ様!!我らバラダギ様の光臨を聞き、この場でお迎え致す為にお待ちしておりました!!」
村人「私は毎日欠かさず、バラダギ様の帰りをここで祈っていました!」
村人「私はバラダギ様に献上する為、特大の熊を捕らえて来ました!」
村人「私は新しいバラダギ様の御尊像を、魂を込めて作らせて頂きました!」
子供達「「「僕らはバラダギ様に見てもらうために、一日一善を行いました!」」」
子犬「わん!」
神主「バラダギ様が去ってからこの村に不幸が起こらなかったのも、貴方様のおかげです・・・!!卑しき我らに、神の恵みをお与え下さり、有り難き幸せ!!皆の者、バラダギ様に感伏!!」
村人達「「「ははーーっ!!!」」」
バラン「な・・・なんとぉーっ!?」



村人達の想定外過ぎる歓迎に、バランは驚きを禁じ得なかった。
この村を追われるものだと、バランは思っていたからだ。



神主「やはり、我らには貴方様がいなければなりません・・・貴方様がいつ帰られても良いよう、我ら精進を重ねて参りました・・・!!これしきの事ですが、どうか!我らの御心をお受け取りになり、未来永劫我らをお守り下され・・・!!」
村人達「「「ははーーっ!!」」」
バラン「・・・拙僧はまた、この地の神であって良いのか?」
神主「勿論でございます!!バラダギ様は我らの唯一神!!『悪鬼の使い』からお救いになられたかの日から我らは皆!身も心も貴方様のものです!!」
バラン「・・・そうか。ありがとう、岩屋の民よ。ならば、拙僧は今一度・・・岩屋の神となろうぞ!」
神主「寛大なその御言葉、有り難き幸せ・・・!!これで、我ら岩屋の民は不滅となった!!皆の者、再びバラダギ様に!感伏!!」
村人達「「「ははーーっ!!」」」










こうして、拙僧は改めて「神」としてこの地に、地球に留まる事となった。



いよいよ怪獣界にはあまり帰れなくなるだろうが、心配はしていない。



怪獣界には、頼もしい「希望の子」達がいる。彼らが成長すれば、きっと安泰だろう。
それに、いざとなればビオもいるからな。



だから、これからも拙僧はこの地を・・・素晴らしき人間達が住まう世界、地球を守る。



彼女が天国から、笑っていられるように。



・・・なぁ。リエラよ。
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好釦