そうだ 出雲、行こう。




ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
本作は第七弾完成から公開までの間に、みかんさんが「唐突シリーズ」として僕らに送って下さったSSSを加筆・修正した物や、僕が女性陣のイラストに感化を受けたり、第七弾で泣く泣くカットしたエピソードを短編として書き、オムニバスとしてまとめたものです。
位置付けは特別編1、形式は「依頼物置場」にある今までの拍手短編をまとめた「拍手短編集」に近いですが、今回は話は基本バラバラながら第七弾関係に特化した内容で、半分くらいはみかんさんの唐突シリーズが元なので、今までに無い斬新なものになったと思います。
僕としても、ややおざなりになってしまった観光パートや怪獣達の交流の充実、没にしたアロナ・ヒタムの顔見せ、成し遂げられなかった第三弾までの登場怪獣の出演網羅、ちょっとした前日・後日談などバラエティ豊かな話が一つにまとまっていて、とても満足しています。
何より、各短編の執筆のきっかけになったり長編と同じく協力して下さった女性陣には、心から感謝致します・・・!
同時にこんなにもたくさんの可能性を生み出した第七弾を書けた事を、誇りに思います。
本作のタイトルはJRの有名なキャッチコピー「そうだ 京都、行こう。」からで、出雲の良さを伝えるのが第七弾のコンセプトだった事、第七弾関連の話のオムニバスなのでほとんどの話が出雲が舞台なのに変わりはない事から、このタイトルを付けました。
ちなみに、妙に凝って元ネタのCMを再現した目次のタイトルですが、「そうだ、」になっているのは「。(厳密には度(°))」をあの位置に固定する為に付けている事をご了承下さい・・・って、誰も気にしていないですね(汗)






さて、ここからはいつものように各短編の詳細や小ネタなどについて色々と。




・「しめん そか いんが おうほう」

タイトルの由来は初代ポケモンのちょっとマニアックなテキストからで、最初の唐突シリーズであり、本作の始まりになった短編です。
ラゴス・ゴジラにとってはまさにタイトル通り、「四面楚歌」で「因果応報」な話だと思った瞬間にこのテキストが浮かびました(笑)
前半部分はみかんさんが送って来たメールを、後半部分はみかんさんより聞いたシンのヘアゴムの設定を元に僕が書き下ろしたものです。
ちなみにセラフィの「シンゴジがシンとラゴス・ゴジラの子供になれば一番良い」と言う台詞は、柳さんのシン鎌への意見が元だったりしますf^_^
それからシンのヘアゴム設定にはまだ悲しい続きの物語があるのですが、それは何処か別の機会に使おうと思っています。



・「雨ニモ負ケズ、風にも負ケズ・・・」

タイトルは言うまでも無く、宮沢賢治さんの同名の詩からで、第六弾でシンが鎌倉さんに読み聞かせていたのと、今回・・・いや、鎌倉さんの生き様そのものを現していると思い、使わせて頂きました。
実は今回の短編の中では一番二転三転した話で、最初はみかんさんが送って来た「話すのが苦手な鎌倉さんとシンの会話」がメインの前半部分と、みかんさん伝いに柳さんから「鎌倉さんは詩を見て言葉を学んだので、詩的に喋る」と言う設定を聞いた僕が書いた後半部分を合わせ、夏目漱石さんの「我輩は猫である」をタイトル・オチに使っていたのですが、みかんさんから統一性の無さを指摘されて宮沢賢治ネタに変更。
それから柳さんに見せた所、「鎌倉さんはコミュニケーションを重要視していないので喋らないだけで、「苦手」ではありません。」と聞いたので、レジェンド並みに喋っていた鎌倉さんの台詞をほぼ「三点リーダ+記号」に変更、柳さんから合格を頂き晴れて完成となりました。
一番苦労したのは、そんな鎌倉さんの詩的な台詞・・・と言うか詩で、本当に一からシチュエーションに合う詩を考えないといけなかったのがきつかったです(汗)
ですが、ある意味第七弾以上に第六弾からの延長線上にある話であり、第六弾のアンサー的な話となる良いシン鎌が描けたかと思います。



・「真っ白な嘘」

タイトルは「妖怪大戦争(2005)」に出てくる重要なキーワードが元ですが、単にアンバーが嘘を付く話なので引用しました(笑)
この話もみかんさんが送って来た前半部分に色々付け足して完成させたもので、インテリ枠のアンバーがメインなのと「雨ニモ・・・」以上に宮沢賢治ネタを盛り込んでいるので、ちょっとおしゃれな話に出来たかなぁ、と思います(^^;
この話が完成出来たのも、ふと宮沢賢治さんについて調べてみたのがきっかけですし。
ただ、この話にも大きな変更点がありまして、当初ラストは鎌倉さんの「やまなし、オチなし・・・」の台詞をオチに使っていたのですが、「雨ニモ・・・」と同じタイミングで柳さんに見せたところ、この「やまなし・・・」は「やおい」の語源であり、サブカルチャーを知らない鎌倉さんは言わないとの指摘を頂き、謎の単語「クラムボン」を強調したオチにしました。
ちなみにこの「クラムボン」は短編中では鎌倉さんの「分からない事」の隠喩として使いましたが、実は「クラムボン」自体が未だ詳しい意味の分かっていない単語だったりします。
真相は本人か、アンバーのみぞ知る・・・?



・「Trust you」

タイトルの由来は「機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン」の後期エンディングテーマの曲名からで、そこからなんとなくお分かりの通り、城村さんがみかんさん・ツイッター友達様とゴジラストア大阪出張店に行かれた時に勝手に書いて送ったものです(汗)
ただ第七弾では泣く泣く没にした、ジラのその後とアロナ・ヒタムの初登場及び「VS」モスラ・バトラ夫妻との顔合わせを短編にしたものなので、後述の「1/3の純情な感情?」と合わせて第七弾の心残りが解消出来た短編です。
いやぁ、特別編2で伏線を張っておいて良かったです・・・
タイトルとしては「あなたを信じる」と言う意味なので、最初こそ誤解はあれど互いに相手を信じた事で新たなる縁(えにし)が出来たジラ・アロナ・ヒタムを意識してのタイトルですが、歌詞としては後述のチハヤ・セラフィの短編の方がぴったりだったり?
また、ジラの台詞「飛べないジラはただの偽者・・・」は、映画「紅の豚」の有名な台詞「飛べない豚は、ただの豚さ。」が元ネタです。



・「美人薄幸・・・?」

タイトルは「美人薄命」のもじりで、これまたみかんさんより頂いた「唐突シリーズ」の四コマ漫画を元に書いた話です・・・が、正直元の漫画の要素は前半部分くらいしか無く、後半の岩屋寺の下りは僕が勝手に書き下ろしたものですf^_^
第七弾に出したはいいですが、そういえばちゃんと知っているのがみかんさんだけだったアンバー・初之兄妹を改めて他の女性陣に紹介したかったのと、個人的にこの三人の会話が書きたくなったのが理由です(^^;
と言いますか、「真っ白な嘘」に続いてアンバーが目立っていますが・・・実はアンバーは僕の好みがかなり詰まっているので、間違いなく贔屓です(笑)
でもいいんです、本シリーズは僕の小説でもありますから!(汗)
あと二点補足しておきますと、ラゴス・ゴジラ兄弟には「爬虫類系が好み」と言う裏設定がありまして、元々は恐竜だからアンバーは好みではあった・・・と言うのが、問題の台詞に至るまでの原因です。
なので今後「正真正銘の爬虫類系女子」が出てきた時が、シンの本当の試練の始まり・・・かもしれません。
もう一つ、自分からまず攻撃的にならない鎌倉さんがラゴス・ゴジラに敵意を向けた理由ですが、鎌倉さんは美しいもの・・・柳さん曰く例えれば「シンの心」に強く興味を引かれる設定があり、そんなシンの心を内心信頼しているラゴス・ゴジラが傷付けたので、とても怒っている・・・と解釈した結果です。
実は前半部分はみかんさん・僕と柳さんとの間で、鎌倉さんに対しての解釈の違いがあったのですが・・・この解釈で両成敗として下さい!(汗)



・「1/3の純情な感情?」

タイトルの由来は言うまでもなく「るろうに剣心」の有名なエンディングテーマの曲名+?からで、単純に曲名が今回におけるスペースの心情に合っているかな?と思って付けました(^^;
前述した、ゴジラストア大阪出張店に行かれたみかんさん向けに書いたもので、「Trust you」と同じく第七弾で成し遂げられなかった心残り、「第三弾までの登場怪獣全てを再登場させる」目標を解消する為に書いた話ですが、実はスペースが登場するまでの冒頭部分は数年前にみかんさんが送って来たSSSをほとんどそのまま流用したものです。
「唐突シリーズ」の元祖のようなものですから何処かで使えないかと思ってはいましたし、みかんさんからも許可は頂いていますので、元祖「唐突シリーズ」が晴れて陽の目を見た形になりますね。
第七弾で約7年振りに登場させた初代・ザウルス・護国バランに次ぎ、約5年振りに登場させた怪獣界の住人達も書いていて懐かしかったです・・・!



・「チハヤ、降る」

タイトルはお察しの通り有名な競技カルタ漫画「ちはやふる」からで、完全に名前のノリだけで採ったのですが・・・後々チハヤの名の由来も「ちはや(ぶる)」からだったと知って、なんとなく関連性が出来て安心した経緯があります(汗)
やや特別編2のあとがきと重複しますが、この話を書いたきっかけは皇さんが特別編2でのチハヤの台詞に感化されて描かれた、当サイトにも掲載しているセラフィとチハヤの2ショットイラストで、そのイラストの素晴らしさにまた感化された僕はその時のエピソードをちゃんと形にしよう!と思い立ち、気付けば皇さんにこの短編を送っていましたf^_^
それから皇さんに添削して頂いた修正版を「Trust you」と一緒に城村さんへ送り、城村さんからの添削が加わった再修正版を皇さんに見て頂いて・・・と言う念入りなチェックを経て、ようやく完成となりました。
それだけこの話は僕が本作の短編の中で最も力を入れた一作で、唯一過去の話になるのもあって第七弾の時事列順に話を並べていた本作のあえて最後に置いてみました。
基本的に他の話がコミカルでしたから、オムニバスの最後をいい感じで締められたと思います。


本作を書くにあたって、「セラフィとチハヤでブラウニーと戦って封印する」「皇さんの二ショットイラストを一場面として再現する」の二点を絶対条件に話を考えたのですが、一番悩んだのがイラストにおけるチハヤの負傷の理由でした。
普通ならブラウニーと戦ったからでは?となりますが、チハヤは元々UW最強のモスラであってかつ、「UW怪獣は異世界ではパワーアップする」と言う本シリーズ独自設定がありますから、二対一なのにブラウニーにボロボロにされる姿が浮かびませんでした。
そこで「獣人界に飛ばされて来た時点でチハヤは負傷していた」事とし、レインボーモスラを完膚無きまでに叩きのめしたヤング(グランド)ギドラことティフォンに白羽の矢を立て、1億3千年前のヤングギドラ戦後に飛ばされた事にしました。
ついでにチハヤが鎧モスラになった経緯もセラフィと絡ませて勝手に捏造してしまいましたが・・・結果的にそれを受け入れて下さった城村さんはやはり寛大です・・・!
ちなみにこの時点で既にチハヤは鎧モスラになったのに、何故特別編2でまたレインボーモスラに戻ったかと思われた方も多いでしょうが、理由は単にチハヤはよくレインボーモスラで描かれているので、レインボーがチハヤのノーマルフォームと解釈しただけです(汗)
新モスラ組がレオは鎧・エターナル、セラフィ・イシュタルはグリーンがノーマルフォームなので、差別化したかったのもあります。
再びサンドバッグ役になってしまったブラウニーも、皇さん的漫画版モスラ1の残りの名台詞「予知脳」「ま、待ってくれ!」が使えましたし、ゴジラジオに並んでヴィランとしては美味しい活躍が出来たかな・・・と思います(^^;
また、当初ブラウニーは「穴」に追放され、たどり着いた先が「‐」世界だった・・・と言う形でゴジラジオに繋げる構想もありましたが、異世界に迷惑を掛けるのはチハヤ・セラフィとしては不本意かと思い、漫画版モスラ1ラストのオマージュとして大樹に封印される最期にしました。
まぁ、どちらにせよ時事列上はゴジラジオに繋がるのですが・・・
今作のイメージソングとして、「超光戦士シャンゼリオン」のOP「OVER THE TIMES~時(いま)を越えて~」を想定していまして、歌詞の一部が本作のシチュエーション及び、心に孤独を抱えるセラフィを慮るチハヤと、元の世界に戻って再びティフォンに戦いを挑むチハヤを信じるセラフィの心境を、とても現していると思います。
本編は中々にカオスな事で有名な作品ですが(笑)、OPは非常にかっこいい曲なので、聴いて頂いてこの話に思いを馳せてみて下さい。



その他、本作のパロディ・引用ネタなど。

・チハヤの台詞「ライダーロケットドリルキック」は仮面ライダーフォーゼの必殺キックから、「通りすがりのモスラ」は仮面ライダーディケイドの二つ名「通りすがりの仮面ライダー」からです。
なんか、チハヤってニチアサを見てそうなイメージなのでf^_^

・「イヤーッ!」「グワーッ!」の応酬は「ニンジャスレイヤー」の戦闘時の定型文が元です。
原作はもっと長くしつこいので・・・アバーッ!

・ブラウニーの台詞「必殺技の贈り物」は、「帰って来たウルトラマン」主題歌の二番の歌詞からです。

・チハヤの台詞「阿修羅すら凌駕する存在だ!」は「ガンダム00 ファーストシーズン」におけるグラハムの名言が元ネタです。

・ブラウニーの最終奥義「炎龍旋風撃波」とセラフィの封印技「ファイナル・フォール・オブ・ガイア」は、モスラ1の超全集に載っている設定だけの必殺技から引っ張って来たものです。
一応、オリジナル技ではありませんので・・・

・チハヤの「育った環境が違うから」及びセラフィの「好き嫌いは否めない」の台詞は、山崎まさよしさんの曲「セロリ」の歌詞からです。
人によってはSMAPさんの曲かもしれませんが・・・それも育った環境が違うから(省略)

・ティフォンの「何と言う僥倖(ぎょうこう)!若輩時代に一度倒されると言う、生き恥を晒した甲斐があったものだ!」の台詞は「ガンダム00 セカンドシーズン」よりグラハ・・・ではなく、ミスター・ブシドーの迷台詞が元です。


あと、もしかしたら思った方も多いかもしれませんが・・・二人の別れと再会の場面は「君の名は。」を意識したわけでは無い事を強く主張しておきますf^_^
確かに僕は「君の名は。」を見ていますし、未見の皇さん・城村さんからも指摘されましたし、ちょっと最後辺りのチハヤとセラフィをカップルみたいな感じで書いた点は認めますが・・・あくまでドラマチックにしただけです!(汗)
それに僕がオマージュするなら、もっと露骨にやりますし(笑)
あと、この話も「ゴジラジオin京都」に続き一時期皇さんのサイトでも掲載されており、「ゴジラジオin京都」同様書き下ろした登場人物紹介文も掲載しています。
更に更になんと、ゴジラ誕生63周年に合わせて城村さんの手によって本作ラストの再会部分が婆羅陀魏作品としては史上初の漫画化を果たしました!!
「再会、出雲・2017」のタイトルで創造画集に掲載していますので、是非・・・と言うよりもう絶対にご覧下さい!
皇さんのイラストを見てこの話を書いた本作が皇さんのサイトにも掲載され、城村さんによって漫画になる・・・僕にとって、最高の誉れです・・・!
こんな奇跡の連続を成し遂げてくれた本作を書けた事への誇りと感じると共に、最高のお返しをして下さったお二方に心からの賛辞を!!



と、言うわけで今回はオムニバス短編と言う実験的な作品になりましたが、コンパクトながらも中身がギッシリ詰まった、選り取り見取りなお弁当のような作品に出来たと思います。
僕としてもどの話も手抜きや妥協はしていない、自信を持って皆様に見て頂ける話にしたつもりですし、なによりどの話も女性陣の存在やご協力が無くては成り立たないものでした。
改めて、女性陣の皆様に感謝の言葉を送ります・・・!
アイデアと僕のやる気さえあれば出来ますので、またこうしたオムニバス形式の作品を発表してみたいです。
次回作は今のところゴジラ誕生祭に合わせる形で書く予定で、一応はシリアスな長編が続いたので、ゴジラ誕生祭に合わせる点もあって軽い気持ちで読めるコミカルな話にするつもりです。
10/10ページ
好釦