そうだ 出雲、行こう。








出雲「招待」中、一行が稲佐の浜へ向かっていた時の事・・・



アンバー『・・・ですので、婆羅護吽様は間違っていませんよ。』
婆羅護吽「そうなの!?良かったぁ・・・ほんと、アンバーお姉様はなんでも知ってい・・・あっ。」
魏怒羅「ニューお姉様なう。」
婆羅護吽「う、うるさいなっ!いいから魏怒羅はあっちでチャイルドとジュニアの相手してなよ!」
魏怒羅「・・・zzz」
アンバー『婆羅護吽様。どうか落ち着いて下さい。わたくしは・・・』



ラゴス・ゴジラ「・・・アンバーって、美人だよな。」
シン「!?」


――えっ・・・!?
ゴジラって、アンバーみたいな女性が好みなの!?
確かにあたしよりずっとキレイだけど・・・
ゴジラって爬虫類系女子が好きみたいだし、アンバーは元々恐竜だったみたいだから本来の姿は爬虫類に近いし、まさか・・・
でも、ゴジラが美人なんていうのきいたことないし・・・
まさか、まさか・・・!!?


シン「・・・ぐすっ。」
イシュタル「お、お母さん!?」
フェアリー『シ、シン!?』
レオ「シン姉さん、どうしたんですか!?」
セラフィ「なんか、ラゴスの一言聞いてから急に泣き出したみたい・・・」
チハヤ「アンバーって美人だよな、とか言ってたよ。」
「‐」モスラ『・・・なるほど。その一言でだいたい分かりましたわ・・・この薄情者!ラゴス!貴方、女性を泣かせるとは何事ですか!』
イシュタル「お母さんには今までそんなの言った事ないのに、なんでアンバーには平気で言うの・・・?」
フェアリー『ソウソウ!シンガ、カワイソウダヨ!』
レオ「ラゴスの鈍感さは私も会った時から知ってるけど、それでもその言葉は配慮が無さすぎるわ!」
セラフィ「貴方みたいな、悪意の無い犯罪者・・・あたし、許せない!」
チハヤ「タチが悪いとは思ってたけど、ここまで来ると筋金入りだよ。」
婆羅護吽「ラゴス、酷い!最低!」
ラゴス・ゴジラ「な、なんだよみんなして!オレは美人って言葉が使ってみたくって、そしたらアンバーが見えてちょっとそう思ったから言ってみただけで・・・」
「‐」モスラ『お黙りなさいっ!それこそが貴方の罪なのです!』
「‐」バラン『ラゴス、貴様!話を聞いておけば・・・貴様までアンバーを誑(たぶら)かすか!』
ゴジラ・レッド「一途にお前を愛する、シンと言うヒトがいながら・・・!見損なったぞ!ラゴス!」
ラゴス・ゴジラ「バランにレッドまで、もうなんなんだってよ~!」
アンバー『あの、何やらわたくしの名前が聞こえたのですが、一体何どうしたのですか?』
「‐」バラン『気に掏るな。御前は下がっていろ。』



シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・?」
シン「うん・・・ごめんね、シンゴジ。心配かけて。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」






奇跡ガ、涙ヲ流シテイル・・・


私(ワタクシ)二ハ、ソノ理由(ワケ)ノ見当ハ付カ無イケレド・・・
ラゴス・ゴジラノ言ノ葉デ、奇跡(シン)ガ悲シンデイル。
ソレダケハ、伝ワッテ来ル・・・


即チ・・・


コノ嘆キノ元凶ハ、


奇跡を涙デ濡ラシタノハ、


信頼ヲ容易ク裏切リ、私(ワタクシ)ノ胸ヲコンナ二モ怒リデ包ムノハ、


ラゴス・ゴジラ・・・!






シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!!」
ラゴス・ゴジラ「うわっ、シンゴジまで!?」
「‐」モスラ『当たり前ですわ!』
スペース「ゴジラ、今すぐシンに謝れ!今すぐだ!」
ゴジラ・レッド「ここで死にたくなければ、早くしろ!」
ラゴス・ゴジラ「へえっ!?ったくもう、なんなんだかさっぱりわけわかんねぇよ~!!とりあえずシン!!ゴメン!!」
シン「・・・!謝るくらいなら、最初からすんなぁ~!!!」
ラゴス・ゴジラ「うわあああぁーーっ!!!」










アンバー『・・・と、言う事もありまして・・・』



出雲「招待」から数日後。
愛媛県・久万高原の岩屋山に戻ったアンバーは勾玉を介して岩屋寺の初之隼薙・穂野香に「招待」先での事を話しており、ちょうど通称「美人薄幸」事件について話している所だった。



隼薙「なんか、怪獣同士の癖にめんどくせぇな・・・」
穂野香「そう?私はいっつも聞いてて人間臭くて面白いって思うけどな~。別世界の怪獣も、ほんとにアンバー達みたいに私達と変わらないのね~!」
隼薙「いやいや、いくら穂野香の言う事でもそりゃおかしいだろ!あんな図体で痴話喧嘩なんかされたら、たまんねぇっての!」
アンバー『隼薙、「招待」中は誰も怪獣の姿になったりはしませんから、そこは安心して下さいね。しかし、決して自画自賛ではありませんが・・・わたくしの外見で、こんな事が起こるとは・・・』
穂野香「美人は逆に損するって言うけど、アンバーはとびっきりだしね。私はそんなに実感無いから、アドバイス出来ないかなぁ。」
隼薙「何言ってんだ!穂野香が世界で一番可愛いに決まってんだから、穂野香を見てチヤホヤしねぇ奴の方がおかしいんだよ!」
穂野香「もう、お兄ちゃんったら!そう言う事言い出したら話がややこしくなるから、黙ってて!」
隼薙「お、おう・・・」
アンバー『ふふっ。確かにわたくしとしても穂野香は快活で眩しい、わたくしとは違う魅力に溢れた美人な女性だと思いますよ。』
穂野香「あ、ありがと・・・なんかアンバーに言われると、変に照れちゃうな・・・」
アンバー『どういたしまして。しかし、先程の話の件はどうしましょう・・・次会ったら、シン様とラゴス・ゴジラ様とシン・ゴジラ様に謝罪するべきでしょうか・・・?』
隼薙「別にいいんじゃねぇか?お前が美人なのがきっかけで揉めてんだろうけど、お前は美人なんだから仕方ねぇだろ。」
アンバー『えっ・・・?』
隼薙「別にお前がカマ掛けたわけでもねぇんだし、お前の創造主はお前が世界で一番美しくなるように創ったんだから、どうしようもねぇよ。そうやってお前が気にしてたらそいつらも遠慮しちまうし、今まで通りにしとけばいいって。」
アンバー『は、はい・・・』


穂野香――お、お兄ちゃん・・・!
やっとアンバーの気持ちに気付いてくれたのね・・・!


隼薙「あっ、けど本当に世界で一番キレイなのも穂野香だからな?つーかそんなしょうもない事で揉めんなよ、怪獣の癖に・・・」
穂野香「前言撤回っ!やっぱりお兄ちゃんは女の気持ちが全然分かってないっ!!」
隼薙「ま、待て穂野香!分かった、すまねぇ!謝るからこんな俺を許してく・・・」
穂野香「まず私より先にアンバーに謝る!それから謝るくらいなら、最初からすんな~!!」



アンバー――・・・穂野香、わたくしはあの一言だけでも嬉しいのですよ?
わたくしは今、隼薙にそう言って頂けるようにわたくしを美しくお創りになって下さった創造主・バイフー様に、心から感謝しています・・・!
それに世界を超えて人間も怪獣も分け隔て無く、同じように時に悩んで、時に同じ事を楽しんでいる・・・
「招待」はそれを知る事が出来る、本当にいい活動です。
勿論、貴方達との出会いもですよ・・・穂野香、隼薙。
たとえ、この想いが最後まで知られなくとも・・・わたくしの心は、永遠に貴方と一緒です・・・



隼薙「と、とりあえずすまねぇ!アンバー!穂野香が言う通り、やっぱお前が世界で一番キレイだからなっ!!」
アンバー『・・・はい。心得ました♪』






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好釦