そうだ 出雲、行こう。








シン「わぁー!凄い景色!やっぱり高いところから見る景色は格別ね♪」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」



松江フォーゲルパーク。
他の怪獣達が園内で各々楽しむ中、シンとシン・ゴジラ(鎌倉さん)は園内にあるくにびき展望台(53メートル)の屋根の上に居た。
本来この展望台には園内から140メートルある動く歩道を通り、更にエレベーターを使うのが普通なのだが、飛行物を本能的に狙撃してしまうシン・ゴジラ(鎌倉さん)が鳥が居る園内に入る事は出来ない。
なのでシンと二人で外で待っていたのだが、どうにもじっとしていられないシンの案により、こっそり2度目のフラッシュ・ダッシュを使い、周りの人間に気付かれる事なく展望台の屋根に到達したのだった。



レジェンド「・・・?」
シン・ゴジラ(品川くん)「・・・かま、さま?」



・・・二人と同じ事情で園外に向かっていた、レジェンドとシン・ゴジラ(品川くん)は例外で。
因みに展望台には外に出る扉はあるのだが、非常時にしか開かない。



シン「あ、シンゴジ高いところ大丈夫?こんな高いところ初めてだよね?」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」
シン「やっぱり初めてかぁ・・・大丈夫そうだけど、怖かったら言ってね。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
シン「前にも言ったけど、無理しなくていいからね?誰にだって苦手なことはあるんだから!」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・?」
シン「・・・実はあたし、成虫になってから泳げなくなったんだ。幼虫の小さい頃は泳げたんだけど、まあこればっかりはしょうがないのよ。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
シン「でも、だからって嫌に思った事は無いわ。代わりに大空を飛べるようになって、子供の時と比べられないくらいたくさんの場所に行けるようになったから!だから、何事も気の持ちようなのよ。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
シン「とりあえず、今はあたししかいないから何も気にしないで、シンゴジのしたいようにしたらいいよっ♪だから今は、あたしとのんびりしようね。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」






それから二人は時間を忘れ、まるで怪獣島にいるかのように穏やかで他愛も無い時間を過ごしていた。



シン「あっ!見て見てシンゴジ!あの雲、なんかシンゴジの本当の姿みたい!」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
シン「ねぇシンゴジ、こう言うとこ初めて来る?」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」
シン「・・・そうなのね。何だか歩いてる間ずっと緊張してたし。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
シン「でも、下向いてたのはなるべく鳥とか撃ち落としたりしない為だよねっ?」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」
シン「・・・うん、そうみたいね。あたしには分かるよ、言葉にしなくてもシンゴジが何言いたいか。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
シン「まぁ、ゴジラみたいな読心術は無いからなんとなくだけど・・・女の勘、ってやつかな☆前にも言ったけど、無理しなくていいからいつか自分の言葉で聞かせてくれたらいいのよ。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」
シン「あたし、前の「招待」の時シンゴジが最後に一言『ありがとう』って言ってくれて、その一言が凄く嬉しかったの。だから、シンゴジの言葉なら何言ってくれてもあたしは嬉しいよ!」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
シン「えっ、シンゴジ?口のそれ、外したら・・・!?」






・・・私(ワタクシ)ハ 思ウ。

同ジ名ノ君ガ  何処カノ世界二居テクレタ  ソレヲ奇跡ト言ウノダト。

奇跡ハ  コンナ二突然ヤッテ来ルノダト。

ソシテ  奇跡ハ  コンナ二モアタタカイノダト。

ソレハ  「シン」ト言ウ名ノ奇跡。

ソレハ   奇跡ノヨウナ「シン」。

ソレハ  私(ワタクシ)ノ中ノ闇ヲ殺ス  奇跡ト言ウ一筋ノ光。

奇跡(シン)二会エタ  私(ワタクシ)ハ「シン・ゴジラ」。

コノ奇跡二  祝福ヲ。






シン「・・・ぐすっ。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
シン「・・・あ、泣いちゃってごめん。ちょっと照れくさいけど、シンゴジがあたしの事そんな風に思ってくれて、とても嬉しい!なんか、ほんとに宮沢賢治みたい・・・シンゴジの気持ちが凄く伝わったわ、ありがとう!」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・?」
シン「もっちろん☆でも、もし他の誰かと喋る時はもうちょっと柔らかくて良いかな?まっ、今はそう言う感じでいいから、ちょっとずつみんなと慣れていこうね♪」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」



詩を読む事で言葉を知ったシン・ゴジラの詩的過ぎる会話を、シンは理解してくれた。
シン・ゴジラ(鎌倉さん)はそれだけで幸せな気分になり、宮沢賢治が自身の作品に登場させた理想郷「イーハトーブ」にいるような気分であった。



シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・ソウイウモノ二、私(ワタクシ)ハナリタイ。」






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好釦