LAST TRAIN ―新しい朝―







夜になって護国聖獣達は御本殿の側にある神々の為の宿に泊まり、ウノに興じていた。
無論、此処は神の為の場所なので、俗世の者が宿に使ってはいけない場所であり、このウノも護国聖獣達のささやかな夢の一つだ。



護国バラン「ダウト!」
最珠羅「バランさん、ウノですよ。」
呉爾羅「なら、俺の奥義を見せてやるっ!くらえ、革命!」
最珠羅「それはただのドロー2だ。」
魏怒羅「秘技、革命返し。」
最珠羅「だから、ただのドロー4だろう!二人揃って大富豪みたいな言い方をするな!」
婆羅護吽「えっ、最珠羅は大富豪って言ってるの?私とバランさんは大貧民って言ってるけど・・・と言うか『大富豪』と『大貧民』って言う人で分かれてるのって、なんでだろ?」
護国バラン「それは厳しい環境に生きているか、裕福に暮らしているかの違いではないのか?私と婆羅護吽はまさにそうだ。」
最珠羅「いや、だからってこっちも特に裕福じゃありませんよ?それに別に私達の間で差なんて・・・」
呉爾羅「残念だけどな、俺には年上で幼馴染みで外資系OLで看護婦で未亡人で幼妻で年下な嫁がいるから。」
最珠羅「それ、お前の中の女の魂を適当に足しただけだろう。」







「・・・そろそろお別れの時間だ、俺はあんたなんか怖くない。
・・・行かなくちゃ、嘘つきにはなりたくないから。
・・・自分の人生を過ごせないなら、俺は死んでいるのも同然なんだ・・・」



更に時が過ぎた、丑三つ時。
護国聖獣達が宿で眠りに付く中、呉爾羅だけは外に出て夜空を見上げていた。
その目は幾つもの意志を湛えているように見え、その意志達は同じ考えに至っていた。



呉爾羅「・・・よし!決めた!」
最珠羅「何を決めたんだ?」
呉爾羅「えっ・・・なんだ最珠羅か。」
最珠羅「なんだとは何だ。いないと思って探しに来たと言うのに。」
呉爾羅「いやぁ、だってこれで最珠羅が女の子だったらもうイチコロだぜ?」
最珠羅「悪かったな、男で。」



そう言いながら最珠羅は呉爾羅の隣に立ち、共に同じ夜空を眺める。
最近は何処の護国聖獣達の住む地も開発が進み、空に輝く星の数が減っているが、この出雲大社から見る星空は昔からそれ程変わっていない・・・
そう、最珠羅は思った。



最珠羅「・・・昔から変わらない星空だが、今こうして見ているあの光の中にはもう消えてしまった星もあるのだろうか。」
呉爾羅「感じ悪い事言うなよ~。ムードが台無しじゃん。」
最珠羅「こんな時に珍しくまともな事を・・・それ程永い時を私達は生きて、そしてこれからもそうなのだと思っただけだ。」
呉爾羅「ふーん・・・」
最珠羅「星空が巡る間に、大地も、命もまた巡る・・・それでも、この「くに」が消えて無くなっても、私達は一つだ。」
呉爾羅「・・・モチのロン。」
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好釦