LAST TRAIN ―新しい朝―
――それから私は日出る国・・・後の日本へ向かい、国の行く末を見守り続け・・・
時が経ち、同じく日本に渡っていたウシャスの子孫・東雲の者が現れた。
『偉大なるガジャ・ナーガよ、ご先祖様の言葉を伝えます・・・
シダール弾きのカルナから受け継がれたこの力と命は今もこうして、そしてこれからも受け継がれています。
私は感謝しているのです。貴方もまたカルナの悲しみを、怒りを受け止め、分かち合った者同士・・・
あの時カルナを救えず悲しかったのは、貴方も同じだと思います。
ですが、きっとカルナは貴方がいてくれたからこそ、最後に私に「願い」と言う力を託そうと思い、安らかに生涯を終えられたのだと思います。
だからどうか、安心してお眠り下さい・・・』
――その言葉に私は、魂が洗われるようだった。
カルナを報復者として共謀させ、アグニの地を焼き、カルナを目の前で失ったウシャスは、もしかすれば私を恨んでいるのではないか・・・
そんな心残りが無くなったからか、私は程無くして天寿を全うした。
「‐」バラン『御前も又、ニンゲンに拠って救われたのだな・・・』
「‐」ゴジラ『にんげんってまちがえるけど、ぜったいにまたやり直す。だからおれは、にんげんがだいすきなんだ。おれも・・・そうだったから。』
――肉体を捨て、魂が高位の次元へ昇華された私はやがてこの世界に来た。
最初に見たのは、かつての私と同じ姿の、だった一人の生き残りだった。
私は彼にカルナの「歌」を授け、いかなる事があっても己を見失わないようにした。
「VS」ゴジラ「!?」
機龍「そうか・・・あの日ゴジラザウルスが言っていた『神』は、貴方だったのか。」
――それからしばらくして、この世界に来る前の私と全く同じ者が来た。
「悪魔の火」によって変わり果て、人間を憎み、報復する者・・・
この二人の出会いは善き物になるのかと思ったが・・・実る前に悪魔の火が全てを焼き、三度悲劇は繰り返されてしまった・・・
シン「それ、まさか初ゴジが来て・・・!」
Jr.「ゴジラザウルスが、父さんが今の姿になっちゃった事、だよね・・・?」
機龍、「VS」ゴジラ「「・・・」」
――私はいずれ彼らが行くと考えた日本へ渡り、死した人間達の悲しみの声を聞き、護り続ける聖獣の存在を知った。
だが、愛故に彼は苦しまなければならなくなった。彼の大きな愛の器に入ったのは、まつろわぬ魂達だったのだ。
呉爾羅「!」
最珠羅「紛れもなく、呉爾羅だ・・・!」
――更に時は流れ、予期していた事が現実となった。
器に収まりきらなくなった邪気と、お前のまつろわぬ魂への愛がお前を歪ませた。
どうにか私の力で仲間達と同化しつつあった魂を分離して地上に戻したが、今度は自分だけの世界に籠ってしまい、私の声はお前には届かなかった。
自分から聞こうとしなければ、どうしようも出来ない・・・だからこそ私は「神」ではないのだ。
護国バラン「神に近しい存在ですら手出しが出来ないまでに、呉爾羅の罪の意識は大きかったのだな・・・」
婆羅護吽「再会した時からもういつも通りだったから、想像しにくいけど・・・あんな事をしたんだから、そうなるよね・・・」
イシュタル「もしかしたら、ダガーラもこの時の呉爾羅と同じ気持ちなのかな・・・?」
レオ「かもしれないわね。でも、だからこそ私達が傍にいないといけない・・・そう思うわ。」
――しかし、少女の祷りがお前に光を射し・・・私の声が届いた。
今こそが機会(チャンス)だと思い、私は高位次元にて時空を越えた「招待」を行った。
二体のゴジラを救う為に異界の怪獣の力を借り、少しでも良い未来が来るようにと願って・・・
最珠羅「なら、あの時の「招待」はお前が行ったと言う事か?」
――そうだ。
私自身が深く関わったのは、あの一回だけだが。
かくして「招待」は行われ、続き・・・結果は知っての通りだ。
集いし絆が新たな縁を紡ぎ出し、善き力となった。お前がここにいる事、お前が他人を受け入れられているのが何よりの証拠だ。
「VS」ゴジラ「・・・」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・!」
レジェンド「・・・お前は、この地の主なのか?」
――違う。
私はただ偶然この世界に流れ着いただけの者、何処かの地の主になる権利は無い。
ただ、特に主は居なかった奉納山に腰は据えていたが。
バラゴン『・・・あれ?そういえば行きに奉納山には幽霊がいるとか聞いたんですけど・・・まさか。』
機龍「奉納山の幽霊の正体は、神様だったってわけか。」