LAST TRAIN ―新しい朝―
歌が終わり、黙っていた松の木々が風に揺れ、再び音を奏で始める。
しかし、それとは正反対に呉爾羅達の心は穏やかで安らかなものとなっていた。
「VS」ゴジラ「・・・昔から、これを頭の中で流したら落ち着いた。ラゴス島で米軍と戦った時も、新堂さんをこの手に掛けた時も、メルトダウンから生き残った時も・・・
俺も少しは変われたんだ、だから・・・お前にも出来る。」
呉爾羅「・・・ありがとな。お陰で落ち着けた。」
ラゴス・ゴジラ「それにしてもJr.パパにはびっくりしたな~。まさか歌うなんてさ!やるじゃんか!」
「VS」ゴジラ「お前に歌ったわけじゃない。」
Jr.「いや、これは息子としていつも一緒にいる俺も驚きだなぁ・・・いつ練習したの?」
機龍「まさかお前、カラオケに誰も誘ってくれないからこっそり・・・」
「VS」ゴジラ「絶対違うからな?」
「-」ゴジラ『なんだよ、それならしまにたのめば連れてってくれるのに・・・』
バラゴン『おお!怪獣カラオケ大会、いいっすね~!』
シン・ゴジラ(品川くん)「かあ(ら)おけ?」
シン「はいは~い!!あたし達も行くわよーー!!」
イシュタル「わたしも、いくいくーっ!!」
レオ「デスギドラ達さえ来ないなら、私も行きたいな。」
「‐」モスラ、セラフィ、チハヤ『「「同じく!」」』
アンバー『わたくしは基本的に穂野香の中で伺っていますが、カラオケは羽目さえ外し過ぎなければ、ストレス発散に効果的ですよ。』
婆羅護吽「そうなんですか!?私もずっと気になってるし、誰かさんのせいですごくストレス発散したいし・・・!だから行く!」
最珠羅「おい!お前達!本件を忘れるな!」
「VS」ゴジラ「お前ら、調子に乗るなよ・・・!」
呉爾羅「ははっ。でも、前のお前ならみんな消し炭にする!とか言いそうだし、変われるのはほんとなんだな。」
「VS」ゴジラ「・・・してやりたいのは山々だが、お前がそう言うならしない方がいいな。」
アンバー『冗談はさておき・・・呉爾羅様はずっと、自分の存在を問いかけ続けていました。ですが、それは間違いではありません。「我思う、故に我有り」。自分がそこにいるのかを問いかける意思こそが、自分が存在する確かな証・・・呉爾羅様は、自分を見失ってなどいなかったのです。』
「-」バラン『其して、私達全員が御前は確固として其処に居ると言って要る・・・其れ為らば、自分を疑う必要は何処に有る?』
バラゴン『人生なんて長すぎる道みたいな感じなんですから、迷う事なんて何回もありますよ。だから、前後左右をちゃんと見て歩いて行けばいいって、俺っちは思いますよ~。』
呉爾羅「・・・だな!」
そして遂に一行の前に最後の銅の鳥居が、眼前に現れた。
呉爾羅の顔が再び険しくなるが、自分でそれに気付いた呉爾羅は周りを見渡し、自分の「居場所」を確かめる。
呉爾羅――・・・不思議だ。
ここの鳥居を見るだけで胸がキリキリしてたのに、あいつらの顔を見たらそれが無くなっていく・・・
俺の中の人達が、静かにしてくれてる・・・
そうか、そう言う事だったんだ・・・中の人達が拒んでるんじゃない。
拒んでたのは・・・俺だったんだ。
俺の中の誰かのせいにして、進めない自分を曖昧にして・・・
そこにあった瞬間を、もうずっと無駄にしてたんだ・・・!
以前なら立っている事すら無理だった鳥居の前で、足を止める呉爾羅。
そんな彼に怪獣達は彼の肩を持ち、背中を押し、後ろで見守り、寄り添う。
ラゴス・ゴジラ「ファイトだぜ!呉爾羅!」
機龍「いつまでもこんな所にいたって、満足なんて出来ないだろう?」
「VS」ゴジラ「だから行くぞ・・・俺達と一緒に。」
護国バラン「今こそ『神』に会いに行く時だ。知るべき事を知った、今のお前なら出来る。」
魏怒羅「レディゴー覚悟。」
婆羅護吽「さっ、行こっ!」
最珠羅「お前には、私達がいる。だから・・・!」