LAST TRAIN ―新しい朝―







呉爾羅の記憶の中に蘇る、ある日自分の御神体にやって来た少女。
少女は震えながら御神体に花を添え、手を合わせ、御神体に向けて話し始める。



『・・・あれから、9年経ちました。貴方が現れて、私の両親が天国に行って・・・
私にはこんな事しか出来ないけど、花を贈りますから・・・どうか、怒りをお鎮め下さい。どうか、安らかにお眠り下さい。
どうか、私の両親を、この日本を・・・お護り下さい・・・!』



その花を、涙を流す少女を見て、暗い暗雲に包まれていた呉爾羅の心に光が射した。



呉爾羅――・・・もう過ちは犯さないと、かつて人は石に花を添えてくれた。
でも、今の人間はその石の事さえも忘れてしまった。もう思い出す事もない・・・そう思ってた。
だから、ああして分からせようと思った・・・
だけど、この子はそんな俺に・・・俺達に、石に、花を添えてくれた・・・!
・・・ダメだ、いつまでもここに閉じ込もってたら。
出るんだ・・・思い出すんだ・・・俺自身を。
自分を捨てる方が楽でも・・・変わりたい!
俺は・・・俺達は・・・俺なんだ!!






――・・・私の声が聞こえるか?まつろわぬ護国聖獣よ。


呉爾羅――っ!?
こ、この声、俺が地上に帰って来た時に聞こえて来た・・・!


――お前は変わりたいと願った。その意思が、根源にこそ必要だったもの。
だが、今のお前ではあの鳥居は潜れない・・・成す事を成したいと願うならば、異界の者達と交わり、己の存在そのものを高めるのだ。
・・・聖獣と共に、「招待」を受けよ。


呉爾羅――ま、待てよ!
お前、なんでこんな事ばっか・・・


――答えを知りたければ、あの鳥居を潜ってみせろ。
「招待」の果てに、鳥居の先に、答えはきっとある・・・






呉爾羅「・・・御神体を出たら、いつの間にか手に封筒があった。だから、最珠羅達を誘って「招待」に行った。きっとそうしろって、誰かが言ってる気がして。」
最珠羅「それでお前が久々に現れたのか・・・」
呉爾羅「「招待」される内に、単純に視界が狭かっただけなんだって気付いてさ。この『くに』だけじゃない何処かにこんなすげえ怪獣達がいて、俺を受け入れてくれたのがもう嬉しくて・・・」
シン「「招待」あるあるね。でも、それこそが「招待」の醍醐味じゃない!ねっ、鎌倉さん♪」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・。」
イシュタル「スペゴジが今日ここに来てくれたのだって、色んな異世界のゴジラと仲間になった結果なんだよ?」
フェアリー『違ウ世界二仲間ガイルッテ、スッゴクタノシインダァ。フェアリとイムガ、ソノ証拠ダヨ!』
レオ「それに呉爾羅だって、ゴジラさんや機龍さんの心を救っているわ。持ちつ持たれつなのよ、私達は。」
「-」モスラ『「招待」を経て、わたくし達は必ず強くなれるのです。わたくしもそうですし、きっとセラフィも。』
セラフィ「うん。ずっと心の中にあった孤独が、今はもう全然感じない。理屈抜きで、明日はきっといい日になるって信じられる。それは絶対、あたしがモスラ姉妹に入ったお陰。」
キングシーサー「そして、呉爾羅さんにきっかけをくれた少女の祈りは、まさに美童(ミヤラビ)の祈りです。その方は親を失ってもなお、呉爾羅さんの苦しみを理解し、慈しむ。美しい心を持っているのですね・・・」
チハヤ「その女の子との約束も果たせないで、何が護国聖獣なんだよ。約束も守れない男が、この国なんて守れるわけがないって。男に二言は無い・・・そうだろ?」
呉爾羅「・・・俺もそう思う。だから、俺は今日こそ行くんだ・・・あそこに!!」



いつもの飄々としたものとは違う、決意に満ちた呉爾羅の眼差しが、目と鼻の先に迫って来た銅の鳥居を捉える。
彼を見る一同も、呉爾羅の覚悟と気持ちの強さが痛い程に伝わった。



「VS」ゴジラ「・・・ちょっと邪魔するぞ。」
呉爾羅「えっ、Jr.パパ?なんだよ?」
機龍「ゴジラ?」
Jr.「父さん・・・?」



それに応えるかのように、「VS」ゴジラは突然呉爾羅の隣に立ったかと思うと、何かの歌を歌い始めた。
同時に風に揺れる松の木々が黙り、心地よい凪の空間を作り出す。






「一体無音はいつまで続くのだろう
愛の永遠(とわ)へと言う
花咲く時まで」


呉爾羅「・・・!お前、それ・・・!」


「明日が見えなくても
微かな光を」


Jr.「父さんが、歌ってる・・・」


「例え短い人生だったとしても
自分らしく生きることが出来たなら
それは良い死なのだろう」


ラゴス・ゴジラ「これ、ゴジラザウルスの時に歌ってくれたやつだ・・・」
ゴジラ。レッド「力強さを感じる。これはきっと、アイツの生き様だ。」


「笑いながら
夜明けの光は来る」


「‐」ゴジラ『・・・いいうた、だな。』
レジェンド「・・・そうだな。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
シン・ゴジラ(品川くん)「ぽぽさまも?かまさまも?しんも、いいかんじ・・・」


「闇を振り払い
天則(リタ)に従い
方角を見失わず」


機龍「・・・ゴジラも中々、粋な事をするじゃないか。」


「笑いながら
夜明けの光は来る」


呉爾羅「・・・」
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好釦