LAST TRAIN ―新しい朝―




キングシーサー「セラフィさん、よかったですね・・・!」
ゴジラ・レッド「アイツの境遇には同情するが、それに負けない強さを持っている。だからオレは特に心配はしていなかったがな。」
スペース「子の親殺しよりマシだ。最近の人間はそれが多いらしいと聞くが・・・」
ゴジラ・レッド「そうらしいな。だから人間って生き物は・・・」



ゴジラ・レッドが言いかけた瞬間、隣を歩くキングシーサーの鋭いミラクルアイの目線が突き刺さった。



ゴジラ・レッド「・・・放っておけないんだ。」
キングシーサー「はい、そうですよね?ゴジラさん。」
スペース「・・・ここもタジタジのようだな。」
ラゴス・ゴジラ「そう言いながら、アニキもレッドも来てくれてるんだよな~。」
スペース「ジュニアがせがむから行ってやっているだけだ。そうでなければ誰が人間共がいる場所になんて・・・」
ラゴス・ゴジラ、「‐」ゴジラ「『またまた、そんなこと言っちゃってさ!!』」
スペース「お前達・・・!」
機龍「これってデジャヴ、かな?」
キングシーサー「どの世界にも、人間が嫌いなゴジラさんがいらっしゃるのは悲しいですが・・・私、いつか皆さんが人間を好きになってもらえるように頑張りたいです。」
「‐」ゴジラ『おう!おれだって同じだ!だからがんばろうな、シーサー!』
ラゴス・ゴジラ「オレもオレも!応援してるぜ!」
キングシーサー「はい!と、言うわけでゴジラさん?今日は人間への悪口は一切禁止ですよ?破ったら・・・今度の逢瀬は無しです!」
ラゴス・ゴジラ「オレはアニキがこっそり隠してる『アレ』、食べちゃおうっかな~!」
ゴジラ・レッド、スペース「「なっ!!」」
「‐」ゴジラ「おれのとこはバランか・・・しゅんかアンバーにしかってもらおっか?おーい!バラーン!ってわけだから、きょうにんげんがきらいって言ったら、しゅんとアンバーにしかってもらうからなー!!」
機龍「・・・そういえば、この手の話題で必ず出てきてかつて仲良くあの二人と『人類撲滅同盟』を組んでた、あいつがいないな?」






「‐」バラン『・・・後方が五月蝿いな・・・』
アンバー『ゴジラ様が貴方とわたくし、そして瞬様を指定なさっているようですよ。』
「‐」バラン『彼奴が言う事だ、面倒な用件に決まって要る。』
アンバー『とりあえず、今日は人間への悪口は極力避けた方がいいかと思いますね。それと、貴方も一応。』
「VS」ゴジラ「・・・そうみたいだな。それより、お前に聞きたい事がある。」
最珠羅「珍しいな、どうしたんだ?」
「VS」ゴジラ「今日、やたらお前達が呉爾羅の中の者達を気にするのが多いと思ってな。何かあったのか?」
最珠羅「気付かれていたか・・・実は今日、あいつが久々にこの出雲に招待された日でもあるんだ。」
護国バラン「2002年に現れた白眼のゴジラは知っていると思うが、その正体は内に眠るまつろわぬ魂からの邪念と、彼らを忘れた現代人への絶望に取り憑かれた呉爾羅なんだ。」
「VS」ゴジラ「白眼のゴジラの事は知っているが・・・驚いたと同時に、なんか納得した。」
婆羅護吽「私達は神に近い存在だから、毎年神在月になるとここ出雲に招待されて、それは呉爾羅も同じだったんだけど・・・2002年の事件の後から、呉爾羅は出雲に呼ばれなくなったの。」
魏怒羅「めんどくさいよな、ほんと・・・」
婆羅護吽「そう、この魏怒羅がこう言ってるくらいで・・・」
魏怒羅「何で毎年、寝る間を惜しんで出雲まで行かなきゃいけないのか。最珠羅は飛べるからいいよな。」
婆羅護吽「ちょっと、何言ってんの!魏怒羅は最珠羅やバランさんより近い方だろ!?」
最珠羅「それに飛べるのはお前も一緒のはずだろう!お前が面倒臭がりなだけだ!」
護国バラン「私も一応飛べるから、一番大変なのは婆羅護吽と呉爾羅なのか・・・もしかして呉爾羅、最近サボっていたのか?」
最珠羅「いやいや、2002年の事件の影響って言ったの貴方ですって!バランさん!ややこしくなるんで、もう変に口出ししないで下さい!」
「VS」ゴジラ「・・・」
最珠羅「・・・すまない。話を続ける。ただ、その事件の兆候はあったんだ。呉爾羅はまつろわぬ魂の塊になってから、出雲大社の敷居を跨げなくなっていたんだ。だが、それに気付いた時にはあいつは邪神と化していた・・・」
婆羅護吽「呉爾羅も事件以降は行方不明だったんだけど、私達が初めて「招待」されたのを切欠に再会して、段々呉爾羅の邪念が薄れて行ってるのが分かったんだ。」
護国バラン「そして、今日の「招待」・・・これは最大の機会なのだと感じ、護国聖獣は集ったと言うわけだ。現に今日も早朝から出雲を歩いているが、それだけで確実に邪気が減っている。この地で生まれた魂達が共鳴しているようだ。」
最珠羅「こんな事であいつの罪が、因果が解けるとは思っていない。単にあいつの気持ちに気付けなかった自分への罪滅ぼしがしたいだけだと言われたら、そうかもしれない・・・だがせめて、もう一度あいつと参拝がしたい。それだけなんだ・・・」



拳を硬く握り締め、搾り出すように最珠羅は呟く。
それを見た「VS」ゴジラは前の姿の時に聞いた魏怒羅の言葉、そして人類への報復を誓ったあの日の言葉がフラッシュバックしていた。






『・・・本当にめんどくさいよな、呉爾羅って。だからって誰も代わってやれないし、辛いよな。』



『俺は、奴らを許さない・・・
何で・・・何でだよ。何でこんな事が出来るんだよ・・・!
奴らは幸せを奪い、踏み躙り、そして消し去った!!・・・悔しい・・・悔しいよ・・・!
だから、奴らにも俺のこの思いを、無念と怒りと苦しみを知らしめて、刻んでやる・・・!
その為なら、血の雨だって浴びてやる!



・・・新堂さん、ごめん。俺はもうあんたと行けない。
だって、悪いのは全部人間だ・・・!悪魔の火を焚いた、人間なんだ!
俺は、間違ってなんかいないんだ!!』
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好釦