LAST TRAIN ―新しい朝―












――・・・役者は揃った、か。
では見せて貰うぞ。「招待」と言う名の可能性を・・・










それから数分してようやく顔合わせが終わり、奉納山を出た一行は護国聖獣達を先導に勢溜の鳥居方面へ向かって歩き始めた。



最珠羅「はぁ・・・ようやく案内の始まりか・・・」
「‐」バラン『自意識が強い者共が群がるのも、問題だな。』
最珠羅「いや、お前は確実に自意識の強い方に入っているぞ?」
護国バラン「強い己の意志をひた隠し、人に知られる事なく生きていく・・・流石だ、同志。」
アンバー『最珠羅様は生真面目な方のようですから、大変そうですね・・・』
最珠羅「・・・分かってくれるか。」



チャイルド『ほら、ぎどらさん!いくよ!』
ジュニア「早く、歩いて!レッツ、ゴー!」
魏怒羅「ゴーゴーゴー、ゴースト・・・」
バラゴン『魏怒羅さん、チャイルドとジュニアの前にタジタジだね~。』
婆羅護吽「万年寝太郎には、ちょうどいいんじゃない?」
Jr.「凄いのか凄くないのか、よく分からない人だなぁ・・・」
レジェンド「・・・あまり彼を引っ張って歩くな、危ない。」
チャイルド・ジュニア『「は~い!」』
バラゴン『前会った時も思いましたけど、レジェンドさんって本当に子供の面倒見が良いですよね~。』
レジェンド「・・・」
婆羅護吽「すといっく、って言うのかな。こう言う人。でもイケメンで優しいのも、嫌いじゃないわ!
・・・ところで呉爾羅、何してるの?」



婆羅護吽がふと後ろの呉爾羅に目をやると、彼は何故かバラゴンから借りたインスタントカメラを使い、何かを様々な角度から撮影していた。



シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
シン・ゴジラ(品川くん)「・・・まぶし。」



そう、呉爾羅のマントを頭に被って下を向き、シン・ゴジラ(鎌倉さん)に連れられるシン・ゴジラ(品川くん)を。
それはまるで、重大な犯罪を犯した容疑者が警察の手でパトカーまで連行されているかのようだ。



呉爾羅「激撮!警察24時!」
Jr.「って、おいいいいいいっ!なにやってるんだよ、呉爾羅!」
呉爾羅「えっ?だってこれ、なんかすごいピッタリじゃん!」
Jr.「そう言う問題じゃなくて、こんなのこっちのシンゴジさんに失礼だって!きっと訳あって腕を縛られてるだけで、自分からこうなったわけじゃないんだから!」
シン・ゴジラ(品川くん)「・・・?」
呉爾羅「ちえっ、分かったよ・・・じゃあレジェンドにバラゴン、ちょっとこいこい。」
バラゴン『はいはい、お呼びですか~?』
レジェンド「・・・どうした。」
呉爾羅「そうそう、それでバラゴンにカメラ返して、かぶいてる方のシンゴジに来て貰って・・・二人で持ち上げるみたいに俺の腕を持ってくれよ。」
シン・ゴジラ(鎌倉さん)「・・・」
レジェンド「・・・こうか?」
呉爾羅「よしっ!じゃあバラゴン、撮影頼む!」
バラゴン『はいはい~!』



呉爾羅「・・・連行される宇宙人!」



Jr.「・・・って、だからおいいいいいいっ!!」
シン・ゴジラ(品川くん)「あはは、おもしお(ろ)ぉい・・・」
婆羅護吽「はぁ・・・こっちの心配とか思惑とか、馬鹿みたいね。」



シン「そうそう!今日セラフィとチハヤが来たから、モスラ姉妹の完全集結も近くなって来たわね~♪」
レオ「セラフィとチハヤの世界には、他にモスラ一族はいないの?」
チハヤ「えっと、お母さんとお父さん、それから双子の子持ちモスラに、男か女か分からない武闘派モスラがいたっけ・・・護国聖獣のもカウントしていいの?」
「‐」モスラ『護国聖獣の方は・・・一応カウントしておきましょうか。』
セラフィ「・・・」
イシュタル「あれ?どうしたの、セラフィ?」
セラフィ「・・・実はあたしの世界には今の所、モスラ一族はあたし一人しかいないんだ。ギドラ一族に全滅させられて・・・」
イシュタル・レオ・シン「「「ええっ!?」」」
「‐」モスラ『そんな・・・!』
チハヤ「・・・やっぱりか。」
レオ「ご、ごめんね。セラフィ。貴方には辛い事を聞いてしまって・・・」
セラフィ「ううん、あたしにはイムがいるし、怪獣島に友達もいるから大丈夫。だから気にしないで。」
フェアリー『デモ・・・』
「‐」モスラ『・・・わたくしにも、親や同族はいませんの。たった一人のモスラ一族なのは、わたくしも同じですわ。』
セラフィ「えっ・・・?」
「‐」モスラ『だからこそわたくしにも貴女にも、モスラ姉妹が必要なのです。限りはありますが、この時だけは間違いなく、わたくし達は家族なのですから。かと言うわたくしも、レオのお母様に記憶の中に残った母への未練を解消して頂きましたし。』
レオ「姉さん・・・」
シン「そうよ、生まれた世界なんて関係無い!!あたし達絶対無敵最強可憐モスラ姉妹は、誰がなんて言おうと絆で繋がったウルトラな姉妹なのよ!」
イシュタル「セラフィもモスラ姉妹なんだから、今はわたし達を本当の姉妹だと思っていいんだよ?」
フェアリー『イムダッテ、セラフィガ笑ッテクレルナラ姉妹二ナッテッテ言ッテルヨ!』
レオ「だからセラフィ、今日は私達とたくさん楽しんで。これは私達全員の願い。」
「‐」モスラ『わたくしも貴女も、同じ強さと優しさ・・・「愛」を持った仲間ですわ。そして、その強さは絆によるものなのも、貴女には分かりますわよね?』
チハヤ「君と偶然会って、また会おうって約束したあの日から時間は過ぎたけど・・・こうして約束を果たせた。それだけでも嬉しいのに、更にこんなに姉妹が増えて・・・
だからさ、セラフィ。君はもっと幸せにならなきゃ駄目だよ。君の親友の、僕はそう思う・・・かな。」
セラフィ「・・・み、みんな・・・本当に、ありがとう・・・!」
チハヤ「ほら、ハンカチ。これから観光に行くのに、そんな顔してたら色々周りが面倒な事になるからさ。」
セラフィ「チハヤも、ありがとね・・・うん、あたしは大丈夫だから心配しないで、イム。」



悲しみに勝る喜びの涙を流すセラフィを見て、「‐」モスラは以前怪獣界に「招待」され、ほんの少しの間だけ「母」に再会した時の事を思い出していた。



「‐」モスラ――・・・この子もきっと、心配ありませんわ。
わたくしが乗り越えられたのです、だから貴女も必ず・・・
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好釦